葉室麟著『鬼神の如く 黒田叛臣伝』あらすじ・内容
『鬼神の如く 黒田叛臣伝』
葉室麟(著)
新潮社
発売日:2015/08/01
あらすじ・本内容
自藩が大名家の取り潰しを狙う幕府の標的となっていることを悟りながら、黒田家首席家老・栗山大膳は、主君・黒田忠之を「謀反の疑いあり」と幕府に訴えます。
黒田藩と隣接する細川家やルソン出兵を目論む将軍・家光、そして、主君・忠之に命を狙われる大膳ですが、泰然自若とし動じる様子もありません。
果たして、忠臣として振る舞い続ける大膳の思惑は…。また、主君を告発した真意は…。
有名なお家騒動が題材の作品
本作は、有名な福岡藩の黒田騒動を題材にした、葉室麟氏による長編歴史小説です。
大名家のお取り潰しを狙う幕府に対して、黒田家首席家老・栗山大膳は、あろうことか、主君・黒田忠之を「謀反の疑いあり」と告発します。大膳の行為は謀反なのか、意図は別にあるのか、謎のまま大膳の武士としての生き様が記されていきます。
黒田騒動は栗山大膳事件とも呼ばれ、10年にわたって繰り広げられたお家騒動ですが、なぜか福岡藩はお家取り潰しを免れました。
このお家騒動を題材にした歌舞伎なども多く上演されています。葉室氏は、その歴史の真実を武士の忠義として描きました。
葉室麟氏は、2005年『乾山晩愁』の歴史文学賞受賞を皮切りに、『いのちなりけり』などで、四度直木賞候補に挙がり、2012年『蜩ノ記』で直木賞を受賞しています。本作『鬼神の如く 黒田叛臣伝』では、2016年に司馬遼太郎賞を受賞しています。
有名な史実を題材にしているため、その真実の解明に興味をひかれ、また、大膳の武士としての忠義や生き様に惹きつけられる一冊です。
豊臣秀吉の朝鮮出兵やキリシタン弾圧などの事件、そして、天草四郎や宮本武蔵など歴史上の人物の登場と、歴史好きには嬉しい小説であり、長編なのにどんどん読み進められる読み応えのある歴史小説になっています。
今回ご紹介した書籍
『鬼神の如く 黒田叛臣伝』
葉室麟(著)、新潮社
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