湊かなえ『Nのために』のあらすじ・魅力|愛の在り方とは……。
更新日:2019/12/5
『Nのために』
湊かなえ(著)、双葉社
イヤミス(嫌になるミステリー)作品を多く執筆している作家、湊かなえさん。
そんな湊さんが2010年に発表した『Nのために』は、2014年に榮倉奈々さん、窪田正孝さんら出演でドラマ化され話題となりました。
ここでは『Nのために』のあらすじや、魅力に迫っていきます。
『Nのために』あらすじ
東京都内の高級マンションの一室で、夫婦の変死体が見つかった。
現場に居合わせたのは、杉下希美、安藤望、西崎真人、成瀬慎司の男女4人。それぞれの証言から衝撃的な真実が明らかに……。
そして彼らが「N」と出会ったとき、悲劇は起こる――。
『Nのために』登場人物
杉下希美(すぎした のぞみ)
推理小説好きな英文科の4年生。趣味は将棋。
安藤望(あんどう のぞみ)
M商事に勤めている。かつて希美、西崎とともに野バラ荘に住んでいた。
成瀬慎司(なるせ しんじ)
国際経済学科の4年生。趣味を通じて希美と親しくなる。
西崎真人(にしざき まさと)
法律学科の4年生。野バラ荘に住んでいる。
『Nのために』の魅力とは
「究極の愛」の在り方に触れられる
本作では、登場人物のそれぞれが、大切な人がどうすれば傷つかずにすむか? と考えています。
たとえ自分が傷ついても、大切な誰かを守りたい。そう思う人々のすれ違いと人間模様が丁寧に描かれています。傍から見れば異常な愛だとしても、本人たちにとっては純愛なのです。
愛する人のために自分を捧げる……究極の愛の在り方に触れられます。
角度を変えると別の見え方ができる
殺人事件の真実を、モノローグ形式で情緒的に解明していく本作。湊さん初の純愛ミステリーとなっており、現在と過去を交錯させたストーリー展開です。
同じ出来事でも、角度を変えると異なった捉え方ができる。視点を変えて物語が語られるのは、湊さんの作風であり、おもしろさでもあります。
また、登場人物から語られる話によって真実が浮かび上がる……という構成は、見事としかいいようがありません。
イヤミスの女王が描いた新たな作品を
主要な登場人物全員にイニシャル「N」がつき、それぞれが思いを寄せる「N」のために行動しますが、物語の根底にあるのは「愛のあり方」。
湊さんも“大切な人を思い浮かべながら”本書を楽しむことを願っているそうです。
湊さんのファンはもちろん、湊さんの作品を手にしたことがない人でも楽しめる小説ですよ。
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今回ご紹介した書籍
『Nのために』
湊かなえ(著)、双葉文庫
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