【閲覧注意】後味の悪い漫画
更新日:2019/10/8
場合によっては、読んでいるこちらもズンと気分が落ち込んでしまう後味の悪い作品。
やるせなさ、どうしようもない切なさ、時には精神的にえぐってくる展開に後悔するかもしれない。でもBAD ENDだと知っていても何故か読んでしまう……!そんな作品を選んでみました。
【注意】作品によってはグロテスク、性的表現があるものがありますのでご注意ください。
『藤子・F・不二雄異色短編集』
『藤子・F・不二雄異色短編集』
藤子・F・不二雄(著)、小学館
代表作である『ドラえもん』のほのぼのとしたイメージが強い藤子氏ですが、この作品は意外にもダークな物語を中心としたSF短編集。
コミカルな話からの急展開や、実際に起こりそうな出来事に思わずゾッとしてしまいます。
はっきりと最後が描かれていない作品も、その後の展開を想像してしまい、筆者も初めて読んだ時は「うわぁー……」と声が出てしまいました。
非常に考えさせられるものが多いので、読んだことがない人は是非!
『ミスミソウ』
『ミスミソウ』
押切蓮介(著)、ぶんか社
卒業まであと少し。家族に心配をかけまいと、いじめを必死に耐えていた春香。
しかし、いじめはエスカレートし、ついには家に火が放たれ、妹が意識不明の重体、両親は命を落とす事態に。
復讐の鬼と化した春香や、いじめを行う同級生たちが感情の赴くまま行動する姿は恐ろしく、子供とは思えないほどです。
怒り、憎しみ、裏切り……負の連鎖が生んだ最期は、悲しいもので、まさに後味の悪い漫画でした。
『にげまどうし』
『にげまどうし』
三友恒平(著)、小学館
人生に行き詰まりを感じ「逃げたい」と願う人の前に、“にげまどうし”は現れる。そしてこの世ではない“どこでもない場所”へと逃がしてくれる――。
「逃げる」という選択肢を与えられた人々が、抗い、葛藤する姿を描いた作品。
現実から逃げ出したい。そう願う、追いつめられた人々を主人公にしたオムニバス。第3話「晴れの日」のホームレスになってしまう男性の話は、切なくて印象的でした。
『ぼくらの』
『ぼくらの』
鬼頭莫宏(著)、小学館
「襲ってくる敵を倒し、地球を守るゲーム」
そう言われて契約した中学生の少年少女たちには、ゲームに勝っても負けても「死」が待っていたのです。
ロボット・ジアースに搭乗し、戦うごとに死んでいく仲間。自分の死を目の前にしたとき、少年少女たちはどう向き合うのでしょうか。
なんとも言えない後味の悪さがつきまといつつも、死生観について考えさせられます。救われないけれど綺麗にまとまった余韻のある作品です。
『デビルマン』
『デビルマン』
永井豪(著)、講談社
大切な人を次々と失い、主人公の明は人間に失望してしまい……。
タイトルだけで「アメコミヒーローのような漫画」かと思いきや、こんなにもトラウマを残してくれる作品なのかと驚くことでしょう。
暴徒と化した人間たちの行動が恐ろしい、まさに人間の”業”を表現した作品です。
デーモン軍団との戦い後にむかえる救いのないラストは、アニメ派だった人にとって衝撃的なのではないでしょうか。
『大好きが虫はタダシくんの』
『大好きが虫はタダシくんの』
阿部共実(著)、秋田書店
『空が灰色だから』の作者が描いた短編集。
表題作の「大好きが虫はタダシくんの」は、聞いたことを復唱しないと理解できない女子高生が主人公です。可愛らしいタッチのイラストとは相反し、話が進むにつれて読者の心をざわつかせ不安でいっぱいにさせます。
ほのぼのとした日常に「ドキッ」とさせられる一コマが、どこか悲しくもあり、後味の悪い漫画です。
表題作ほか、「あつい冬」「デジタル人間カメラ」も何とも言えない怖さがあります……。
『なるたる』
『なるたる』
鬼頭莫宏(著)、講談社
『ぼくらの』と同じ鬼頭氏の作品ですが、より精神的なダメージが大きいと有名な「トラウマ注意」作品です。
小学生・シイナは、「竜の子」という宇宙にいる生き物と出会い、生活が少しずつ変わっていくのですが……。
爽やかで繊細なタッチの作風からは考えられないほどの、凄惨ないじめや復讐、残酷なシーンの数々。初めて読む人は、読む前に心の準備をしておくことをおすすめします。特に偶数の巻にはご注意を!
『ブラッドハーレーの馬車』
『ブラッドハーレーの馬車』
沙村広明(著)、太田出版
孤児院で暮らす少女たちにとって憧れの存在である「ブラッドハーレー聖公女歌劇団」。しかし、選ばれた少女たちが連れて行かれるのは、地獄のような暗い暗い塀の中――。
救いのない悲しい展開、人間の負の側面が描かれています。
中世ヨーロッパを彷彿させる世界設定が、さらにエロ・グロを強調させ、報われることのない希望を抱く少女たちを直視できませんでした。
まさに「読まなければよかった」と思わせる、後味の悪い漫画です。
『奇子』
『奇子』
手塚治虫(著)、角川書店
『奇子(あやこ)』は、手塚氏の問題作とも言われる作品です。
罪をかさね続けた大地主、天外家一族。
腐りきった人間関係の中に生まれ、20年以上土蔵の地下室に幽閉されていたという一人の少女、奇子を描いた作品となっています。
GHQ占領下である激動の時代に、“家族”という閉鎖的な社会で生まれるドロドロとした欲望、人間の醜さがなんとも生々しい……。
※GHQ……第二次大戦後、連合国軍が日本占領中に設置した総司令部
『虹ヶ原ホログラフ』
『虹ヶ原ホログラフ』
浅野いにお(著)、太田出版
小学生のアマヒコは、いじめられたのが原因で病院に入院中、世界を滅ぼすことのできるブリキの缶を老人から貰います。
一方、アマヒコの双子の妹である有江もまた、いじめが原因で意識不明のまま長い時間を病院で過ごしていましたが……。
現在と過去が複雑に絡み、まるで難解なパズルのよう。登場するのが加害者と被害者だらけのため、人を選ぶ作品ではありますが、非常に濃い内容です。
『うずまき』
『うずまき』
伊藤潤二(著)、小学館
女子高生・桐絵の住む町で、ある日を境に奇妙なことが起き始めます。
草木がとぐろを巻き、人間の髪の毛はクルクルと巻かれ、目は高速回転し、挙げ句の果てにはカタツムリへと変貌を遂げ……。
日常が突如、非日常に変わってしまうことへの恐怖。不安な気持ちにさせられる独特な作風が、読了後もずっとつきまとう感じがあります。
桐絵など、登場する女の子の可愛らしさが人形のようで、それが余計に後味の悪さを強調させます。
『隣人13号』
『隣人13号』
井上三太(著)、幻冬舎
いじめられっ子だった十三(じゅうぞう)は、硫酸を顔にかけられたことをきっかけに、別人格の「13号」を生み出してしまいます。
そして、大人になった十三は「13号」としていじめっ子だったトールに復讐を開始し……。
弱々しい十三に対して、残忍で暴力的な13号は、欲求のまま次々と人を殺してしまいます。
暴力では何も解決しないかもしれませんが、そこに頼るまで追い詰められた十三に考えさせられました。意外すぎるラストも衝撃的です。
『スパイダーマン』
『スパイダーマン』
池上遼一(著)、メディアファクトリーほか
”スパイダーマン”といえば、ニューヨークを爽快に飛び回るあのアメコミヒーローを思い出しますよね。しかし、池上氏の描く『スパイダーマン』は一味違います。
放射能グモに噛まれて、特殊能力を授かった小森ユウ。ユウはその力を利用して人助けに奮闘するも、人々に「偽善者」などと罵られてしまいます。
また、出会う女性が次々に死んでしまうなど、とにかく救いようのない不幸が続く、なんとも後味の悪い漫画です。
『聖伝 ―RG VEDA―』
『聖伝 ―RG VEDA―』
CLAMP(著)、新書館ほか
幼いながらも最強と謳われる阿修羅王と、天界最強の武神将・夜叉王は、天帝・帝釈天を討つために旅に出るが……。
魅力的なキャラクターたちに加え、笑いの要素も多い作品ですが、物語が進むにつれて読むのが辛くなってくることでしょう。
裏切りや仲間の死、それぞれが心に抱える深い闇。読んでいくうちに、一体何が「正義」なのかわからなくなってきます。
ラストもハッピーエンドとは言い難い、裏切りのある作品です。
『岳』
『岳』
石塚真一(著)、小学館
陽気で山のように大きな三歩は、日々山岳救助を行なっているのだが――。
「山岳救助」という過酷な現場がテーマである『岳』。登山は楽しいだけでなく、場合によってはクライマーの判断一つで死へと繋がるのだという恐怖を教えてくれました。
そういった描写も包み隠さず描かれており、美しい山々が急に憎らしく感じるエピソードもあります。
感動を誘う作品というより、現実をしっかりと見せつけられる厳しい作品です。
『座敷女』
『座敷女』
望月峯太郎(著)、講談社
アパートで一人暮らしの大学生のヒロシは、隣の部屋を訪ねてきた髪の長い長身の女「サチコ」につきまとわれるように。
なんとこの女、家や大学に電話をかけてきたり、勝手に作った合鍵でヒロシの自宅に侵入しようとしたりする。そして……。
サチコはいわゆる「ストーカー」。サチコのヒロシに対する愛や執着心は、読み進めるのが怖くなるほど深いのです。気付けばヒロシの周囲の人々も巻き込まれてしまいます。
正体不明の人に突然生活を壊されていく恐怖が、非常に生々しい作品です。
『予告犯』
『予告犯』
筒井哲也(著)、集英社
新聞紙を頭に被った男「シンブンシ」は、ネット上に犯行予告動画を流して実行する予告犯。その正体は、会社を不当に解雇された奥田という男だった。
実際にわたしたちの身近で起こり得るようなことが描かれてあり、リアリティを感じられる作品です。
シンブンシは弱い者を殺めたりするのではなく、社会の悪に対して制裁を与えていきます。何が動機で彼は犯行に及ぶのか、彼の目的とは?
シンブンシの行為が正しいのかどうか、読者であるわたしたちも考えさせられるでしょう。
『ハッピーピープル』
『ハッピーピープル』
釋英勝(著)、集英社
やはり、どんなものよりも「人間」が一番怖いのかもしれないと思わせる作品『ハッピーピープル』。人の醜い部分がこれでもかと詰め込まれています。
この作品は、「これは漫画だから」と非常線を張って、心を落ち着かせて読むのがおすすめです。
身近に起こりうる出来事をテーマにしており、「実際に同じことが起こるんじゃ……」という恐怖をあおります。表紙のイラストが頭から離れなくなる、近くに置いておくだけで怖さを醸し出す漫画です。
『人間仮免中』
『人間仮免中』
卯月妙子(著)、イースト・プレス
壮絶な過去を持つ卯月氏のエッセイ漫画。
統合失調症を発症しながらも、友人や恋人などの優しさが彼女を支えている。そんな泣ける漫画なのかと思いきや、卯月氏の過去が徐々に明らかになっていき……。
エキセントリックなキャラクターである卯月氏が、さまざまな苦難に悩まされている姿は、胸が苦しくなるほど衝撃的でした。
生きていくことが苦しい、それでも生きていかなくてはならないという矛盾に直面したときに、手に取ってほしい一冊です。
『アシュラ』
『アシュラ』
ジョージ秋山(著)、幻冬舎ほか
飢餓に苦しみ、人が人の肉に手を出すような平安時代に産まれたアシュラ。アシュラの母もまた、空腹に耐えかねて我が子を食べようとして……。
極限状態の無秩序な人間社会で生きる人々の姿は、とても醜いものです。希望の光が見えてこないこの作品を、みなさんは最後まで読めるでしょうか?
愛情を与えられず言葉もわからず、どんな気持ちでアシュラは生きてきたのか。考えずにはいられません。
弱っているときには読まないで!
気になった漫画はありましたでしょうか?
これらの作品は、後味が悪いと分かっていてもなぜか読む手がとまらなくなる作品です。
心の状態が弱っているときに読むのはおすすめしません。どうか、気持ちが安定しているときに……。
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