2020年 本屋大賞決定!大賞・ノミネート作品をまるごと紹介!
更新日:2020/4/7
2020年4月7日に、本屋大賞が発表されました!
ここでは大賞に選ばれた作品のほか、ノミネートされた作品を一挙にご紹介します。
日頃から本に親しんでいる書店員が選んだのはどんな作品なのか? そして、どの作品が大賞を受賞するのか!? 楽しみですね!
2020年 本屋大賞!! 『流浪の月』
『流浪の月』
凪良ゆう(著)、東京創元社
親戚の家に引き取られたものの、家人に性暴力を受け、居場所を失った更紗。家に帰れずにいた更紗に、1人の青年が声をかける。そして青年の家についていくが――。
当然のように引き離された2人は、「誘拐された被害少女」「逮捕された誘拐犯」というレッテルを貼られたまま生きていくことに。物語は、それから数年経ち、更紗が成人したところから再開します。
友達とも恋人とも家族とも違う、更紗と青年の複雑な関係性に切なさと美しさを感じました。
2位『ライオンのおやつ』
『ライオンのおやつ』
小川糸(著)、ポプラ社
余命宣告を受け、瀬戸内のホスピス「ライオンの家」で余生を過ごそうと決めた雫の、切なくて温かい物語。自分の死生観について、見つめ直すきっかけをくれた一冊です。
ライオンの家では、「入居者が生きている間に食べたいおやつ」をリクエストできる時間があります。そのおやつに込められた思い出の数々に、自然と涙がこぼれました。
死が近づいてくる状況の中で、あなたならどんなおやつを頼みますか?
3位『線は、僕を描く』
『線は、僕を描く』
砥上裕將(著)、講談社
両親を亡くした青山霜介は、アルバイト先で水墨画の巨匠・篠田湖山に見いだされ、その世界に入り込んでいく――。
登場人物たちの心の機微が静かに繊細に、そして美しく綴られています。
また、言葉にするのが難しいと思われる水墨画の美しさをも、巧みに表現。目の前に情景が浮かんでくるようで、思わずため息が出てしまいます。
生きる気力をなくしていた霜介が線を描くことで成長し、命と向き合っていく姿に注目してくださいね。
4位『ノースライト』
『ノースライト』
横山秀夫(著)、新潮社
建築士の青瀬は、依頼人・吉野から注文を受けて「Y邸」を造った。しかしY邸には、誰かが住んでいる気配はなく、家具すらない。家を見て喜んでいたはずの家族に何があったのか――。
横山秀夫さん6年ぶりの新作。家の中に唯一あった建築家ブルーノ・タウトの椅子を手掛かりに、吉野一家を探そうとする青瀬が描かれます。
警察の登場しないミステリーであり、ヒューマンドラマとしても秀逸な作品です。
5位『熱源』
『熱源』
川越宗一(著)、文藝春秋
第162回 直木賞にも選ばれた『熱源』は、北海道の樺太を舞台に、アイヌと東ヨーロッパの民族問題を描いた作品です。
主人公は、樺太出身のアイヌ民族のヤヨマネクフと、ロシア占領下の旧リトアニアで生まれたポーランド人ピウスツキ。激動の時代を生きる彼らは、故郷・家族・友人などを奪われていきます。
時代の波に翻弄されながらも、強く生き続けた2人に待ち受ける運命とは……?
6位『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』
『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』
相沢沙呼(著)、講談社
推理作家の香月史郎と、霊媒の城塚翡翠がタッグを組んでさまざまな事件に挑みます。
「すべてが、伏線。」という帯にふさわしい内容です。読んでいくうちに嫌な予感が膨らんでいき……読み終わった後は、もう一度最初から読まずにはいられなくなります!
あまり語りすぎるとネタバレになってしまうので、まずは一度読んでみてください。
7位『夏物語』
『夏物語』
川上未映子(著)、文藝春秋
「自分の子どもに会いたい」と思うようになった38歳の夏子は、パートナーなしの妊娠を望むが――。
川上未映子さんの芥川賞受賞作『乳と卵』の登場人物たちが、作中でふたたび生き生きと描かれています。
第1部では、『乳と卵』の登場人物たちが紡ぐ、豊胸手術を望む姉・巻子の物語。第2部ではその続編となる、妹・夏子の物語が展開されます。
女性の出産・子育てや、LGBTに対する固定観念や倫理観にも切り込んだ、読み応えある作品です。
8位『ムゲンのi』
『ムゲンのi』
知念実希人(著)、双葉社
眠ったまま目が覚めない「イレス」と呼ばれる難病患者が、東京都内で4人同時に発生。医師の識名愛衣は、そのうち3人を担当することになった。
治療法がわからず苦悩していたとき、祖母の導きによってユタ(沖縄の霊能力者)の力を手に入れる。そして、患者の夢に入り込み魂の救済をする「マブイグミ」に挑むことに――。
トラウマを抱える愛衣が過去と向き合っていきながら、患者、とある連続殺人事件、そして23年前の事件の犯人・少年Xとの繋がりに迫っていきます。
医療、ミステリー、ファンタジーの要素が巧みに絡み合った、上下2巻の傑作です。驚きの連続でした。
9位『店長がバカすぎて』
『店長がバカすぎて』
早見和真(著)、角川春樹事務所
本を愛する書店員・谷原京子の奮闘記『店長がバカすぎて』。普通のお仕事小説とは違い、ミステリーの要素もあって楽しめました。
どこかズレていて掴みどころのない店長をはじめ、小説家や営業マンから客に至るまで、登場人物はとにかくクセもの揃いです!
日々起こるトラブルに「退職」の2文字を浮かべながらも、なんとか仕事をこなしていく京子。その原因である店長は、本当にバカなのでしょうか?
京子に感情移入しながら、怒って笑える作品です。
10位『むかしむかしあるところに、死体がありました。』
『むかしむかしあるところに、死体がありました。』
青柳碧人(著)、双葉社
「桃太郎」や「一寸法師」が、実はミステリーだった!?
表紙のイラストが目を引く本作は、誰もが知る昔話をモチーフにした5つの短編小説です。
コメディー作品と思うなかれ。正義のヒーローだと思っていた主人公に裏の顔があったり、おじいさんが殺されたり、超ブラックな展開が続きます。
密室、アリバイなど、読者が気になるトリックがふんだんに盛り込まれているので、本格的な推理小説としてしっかり楽しめますよ!
次の本屋大賞はどの作品に……!?
次の本屋大賞も楽しみですね!
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