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今年読んだ本Best5 (2017~2018年発売の新刊限定)


更新日:2018/12/7

読書好きの一人として、昨年に引き続き、個人的な「今年読んだ本Best5」をまとめてみました。

・今年のBest5ということで、2017年~2018年11月に発売された新刊から選書しました。

・作品の順番はランキングではありません。

・できるかぎり異なるジャンルから選書しています。

・『友だち幻想 人と人の<つながり>を考える』に関しては、10年前に発売された本です。ただ、メディアを通して今年話題になった作品であること、そして、私が今年読んだ本の中でも特に素晴らしい作品でしたので、特別に選んでいます。

 

もし興味を持っていただけたなら、ぜひ手に取ってみてくださいね。

 

小説
垣谷美雨『老後の資金がありません』

書籍『老後の資金がありません』表紙

老後の資金がありません
垣谷美雨(著)、中央公論新社

「老後は安泰」のはずだったのに! 後藤篤子は悩んでいた。娘の派手婚、舅の葬式、姑の生活費…しっかり蓄えた老後資金はみるみる激減し、夫婦そろって失職。家族の金難に振り回されつつ、やりくりする篤子の奮闘は報われるのか? ふりかかる金難もなんのその、生活の不安に勇気とヒントをあたえる家計応援小説。(帯)

 

Best5に入る理由
お金の不安に寄り添う“家計応援小説”という、新しいジャンル

本書の主人公は50代の中年女性。
老後に向けて1200万円あった貯金は、想定外の出費で残り300万円に。
そんな時、夫婦揃ってリストラ。姑の介護施設代は月9万円。どうすればいいの!?

私が思うに、これまでになかったタイプの小説です。
「家計」とか「貯金」にフォーカスした小説って、意外とないんですよね。(ハウツー本はたくさん出回っていますが)。
“家計応援小説”というキャッチフレーズも、秀逸だなと思います。

 

「こういう本が読みたかった」と思える面白さ

巻末の解説で、室井佑月さんが「面白く、ためになる、素敵な小説だった。あたしはずっとこういう本が読みたかった」と書いていますが、まさしくそんな一冊です。

エンタメとして面白いだけじゃなく、お金の不安に効くヒントが書かれていて、読む前と読んだ後では価値観が変わります。
希望が見える結末には、元気と勇気をもらえるはずですよ。

私のように、将来が不安で、穴があくほど通帳を眺めている(でも増えない)……。
そんな方にぜひとも読んでほしい作品です。

 

新書
菅野仁『友だち幻想 人と人の<つながり>を考える』

書籍『友だち幻想 人と人の<つながり>を考える』表紙

友だち幻想 人と人の<つながり>を考える
菅野仁(著)、筑摩書房

友だちは何よりも大切。でも、なぜこんなに友だちとの関係で傷つき、悩むのだろう。人と人との距離感覚をみがいて、上手に<つながり>を築けるようになるための本。(表紙裏)

 

Best5に入る理由

無意識に刷り込まれた「常識」が、覆される驚き

「一年生になったら」という歌があります。子どもたちは誰でも友達になれて、誰でも仲良くできる。
……果たして、そうでしょうか? 皆、この人とは合う・合わないという経験しているはずなのに、子どもの世界にだけ協調性を強要するのはなぜなのでしょう?

また、「人は一人では生きていけない」という言葉があります。
……果たして、そうでしょうか? 極端な話、お金さえあれば、生きていけるのでは?

これらは一例ですが、ハッとした方もいるのではないでしょうか? 私は、ページをめくるたびに、驚きの連続でした。本当にスゴい本です。

 

人付き合いの難しさに効く、処方箋のような眼差し

人の心の動きを、社会学の手法や考え方を使って冷静に考察を進めながら、子どもと同じ目線に立って優しく語りかける。絶妙なバランスの作品です。

この本と出会えて良かった、と思います。

 

まず、昔から抱えていた疑問がすっきりしました。

例えば、「なぜいない人の悪口を言うのか」。

これは社会学の「スケープゴートの理論」。キーワードを与えられることで理由が分かり、納得できたことが多々あります。

そして、私なりに、他者とのつながりを築くにはどうすればいいのか。その答えにたどり着くための道筋を教えてもらいました。

 

絵本
ヨシタケシンスケ『それしか ないわけ ないでしょう』

絵本『それしか ないわけ ないでしょう』表紙

それしか ないわけ ないでしょう
ヨシタケシンスケ(著)、白泉社

考え方ひとつで楽しい未来が見えてくる!
MOE絵本屋さん大賞4冠作家、待望の新作絵本(帯)

 

Best5に入る理由

凝り固まったアタマとココロが、開放される気持ちよさ

本書は、タイトル通り「それしか ないわけ ないでしょう」というキーワードに基づいた作品なのですが、いやはや、子ども向け絵本だと軽く見ていたら、ただただ圧倒されます。

「それしか ないわけ ないでしょう」「たいへんな みらいしか ないわけ ないでしょう!? いろんな みらいが あるでしょう!?」
……たしかに。あれ? なんで、私、「こうするしかない」と決めつけてたんだろう? たくさんの選択肢があるのに。

目からウロコが落ちる作品です。

 

不安な未来をワクワクする未来に変えてくれる、魔法の一冊

本書を読むと、不安な未来がワクワクする未来に変わる。そんな魔法がかけられた作品のように感じます。

ユニークな未来。ゆるいイラスト。ウィットに富んだやり取り。クスリと笑える最後のオチ。読むたびに新たな発見があります。
悩みを抱えた時に、本棚から取り出して読み返したくなる作品ですよ。

大人になると、絵本を読む機会はあまりないかと思いますが、この作品だけは、大人のみなさんにぜひとも手にとってほしいです。

 

ビジネス書
新井紀子『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』

書籍『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』表紙

AI VS. 教科書が読めない子どもたち
新井紀子(著)、東洋経済新報社

人工知能はすでにMARCH合格レベル
人間が勝つために必要なこと
AIが神になる? ……なりません!
AIが人類を滅ぼす? ……滅ぼしません!
シンギュラリティが到来する? ……到来しません!(帯)

 

Best5に入る理由

巷にあふれる“AI本”とは、一線を画する切り口で書かれた本である

昨今のAI(Artificial Intelligence)ブームに伴い、AIにまつわる書籍が巷にあふれています。
私自身、ITの仕事に就いていた経験もあって、AI VS 人間という構図はたくさん読んできました。

山ほどあるAI本の中から、私が本書を選んだのは、「教育」という新しい切り口で書かれた考察の中に、数えきれない気づきと発見があったからです。

作者の新井紀子さんは、東大合格を目指す「東ロボくん」のプロジェクトディレクター。今の教育現場の問題が炙り出されていました。

 

AIが苦手な「読解力」にまつわる例題が、危機感を与えてくれる

作者の新井さんは、AIの苦手なものの一つ(人間が勝るスキル)に「読解力」を挙げています。
後半部分、幾つか「読解力」の例題が掲載されているのですが、実際に解いてみて、即答できなかったものもあり、私は危機感を感じてしまいました……。

一つ引用するので、みなさまも一度考えてみてください。(本書いわく、某新聞社の論説委員も、経産省の官僚も、なんと不正解だったとか……。)

アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから一つ選びなさい。
セルロースは()と形が違う
①デンプン ②アミラーゼ ③グルコース ④酵素(p204)

※答えは本コラムの最後に書いています。

 

小説
辻村深月『かがみの孤城』

書籍『かがみの孤城』表紙

かがみの孤城
辻村深月(著)、ポプラ社

ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2017 1位
王様のブランチ ブック大賞2017 大賞
話題沸騰の筆者最高傑作! 一気読み必至!(帯)

 

 Best5に入る理由

過去の自分を救ってくれ、母として考えるきっかけをくれた

2018年本屋大賞受賞作。学校でのトラブルが原因で、不登校になってしまった中学生・こころの物語です。

私は、本書を読んで、過去の自分が救われた気がしました。

そして、二児の母として深く考えさせられました。大人になった今なら、学校だけが居場所じゃない。行きたくないのなら、行かなくてもいい、と思います。
ですが、学校は世界のすべてだと考える子どもたちは多いのです。私ならどんな言葉をかけてあげようか。考えるきっかけとなりました。

 

500ページを超えにも関わらず、一気読みしてしまうエンタテインメント性の高さ

まるで長編映画を見ているようでした。人間ドラマ、ファンタジー、ミステリと、複数のジャンルが同時進行で進みます。
500ページを超える長編なのに、終わる間際には、もっともっと読みたいと思っていました。

張り巡らせられた伏線が、鮮烈に回収されていく様にはドキドキさせられます。
丁寧な心理描写につい感情移入してしまい、ラストシーンはしばらく涙が止まりませんでした。

 

2017~2018年の名著たち

今回は、2017~2018年に発売された書籍をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

どの作品も非常にオススメですので、何を読もうか悩んでいる方はぜひ! 手に取ってみてください。

(ちなみに、新井紀子さんの『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』例題の答えは、①です。)

 

今回紹介した書籍

老後の資金がありません
垣谷美雨(著)、中央公論新社

友だち幻想 人と人の<つながり>を考える
菅野仁(著)、筑摩書房

それしか ないわけ ないでしょう
ヨシタケシンスケ(著)、白泉社

AI VS. 教科書が読めない子どもたち
新井紀子(著)、東洋経済新報社

かがみの孤城
辻村深月(著)、ポプラ社

2017年のBest5はこちら!

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。二児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。