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今年読んだ本Best5(2015~2016年発売の新刊限定)


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こんにちは。フリーランスのライター・I.Megumiです。趣味は読書で、1日1冊ペースで本を読んでいます。読書好きが高じて、定期的にコラムを執筆しております。

さて、今年も残り1ヶ月を切ったということで、今年の総括として「今年読んだ本Best5」を発表したいと思います。

今年のBest5ということで、2015年~2016年11月に発売された新刊限定でチョイスしてみました。
なお、これらはランキングではありません。順不同です。ジャンルごとに最も良かった作品を並べているので、興味のある本はぜひ手に取ってみてくださいね。

 

『第五番 無痛Ⅱ』久坂部羊(サスペンス)

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2015年に「無痛~診える目~」のタイトルでテレビドラマ化された『無痛』の二作目。
元々はテレビドラマにハマり、一作目の『無痛』を読んだのですが、とにかくその面白さに驚愕しました。(ちなみに、原作とドラマの内容はやや異なります)

そして、続編である本書はさらにぶっ飛んでいて面白く、626ページというボリュームにも関わらず一日で読み切ってしまったほど。


あらすじ

エボラ出血熱、AIDS、変種型クロイツフェルト・ヤコブ病、SARSに次ぎ、「新カポジ肉腫」という奇病が日本中で流行した。発症すれば、数日で全身に転移し死に至る。

どんな薬も効かず、治療法も見つかっていない緊急事態に人々は恐慌する。

その頃、天才医師の為頼はウィーンに移住しており、衝撃的な事実を聞かされていた…。


Best5に入る理由

◆エンターテイメントの極み

本書は、現代社会の闇やタブーがテーマとなった医療サスペンス。エキサイティングなエンタメでありながら、様々な観点から現代社会に警鐘を鳴らしています。

たとえば新型のウイルス=故意に誰かがばらまいたものである説、WHOや日本医師会のスキャンダラスな一面、医療の矛盾など、事実とフィクションが絶妙に織り交ぜられており、書かれている内容の真偽について考えながら読むとどんどんハマっていきます。(私はフィクションだと信じていますが、これらが事実だったとしたら…背筋が凍る恐ろしさを感じます)
私は本書を読んで、医師に任せっきりの危険を感じ、医療リテラシーを身につけるべく勉強するようになりました。

◆現役医師ならではの表現力

作者の久坂部羊さんは、作家でありながら現役医師でもあります。
医師ならではの綿密で専門的な表現と、膨大な知識量は、他の作家さんでは味わえません。

 

『快挙』白石一文(恋愛小説)

2016-best5-kaikyo2010年に「ほかならぬ人へ」で直木賞を受賞し、小説を通して様々な問いかけを世に投げかけている白石一文さんの新作。

私が最も影響を受けた作家でもあります。

本書のテーマは「結婚に愛は存在するのか」。
結婚における愛の在処を探る傑作となっており、読んだ後も深遠な余韻が残ります。


あらすじ

あの日あなたを見つけたこと――。それこそが僕の人生の快挙だ。

それほどの相手と結婚したはずなのに、月日が過ぎていくにつれ私たちの夫婦関係はすっかり変質してしまっていた…。

とある夫婦の出会いから約20年を描いた長作。


Best5に入る理由

◆普遍的な問いに答えを出している

テーマは「結婚に愛は存在するのか」。

本書の中では、結婚、妊娠、病気、仕事、天災など、夫婦の間にさまざまなドラマが起きます。山あり谷あり、嬉しいことも、悲しいことも、幸せも不実も。
案外、夫婦ってこんな感じなのかもしれません。紆余曲折をギリギリ乗り越えていく二人の姿には涙してしまいます。

きっと読み終わった頃には、「結婚における愛の在処」に自分なりの回答が出ているはず。
また、作中で引用される三好兵六の句「夫婦とは なんと佳いもの 向かい風」は、私にとって大切な言葉となりました。

◆人生の中での「快挙」を考えるきっかけとなる

普通に暮らしていて、一般人が「快挙」という言葉を使うことはほとんどありません。
なぜなら「快挙」という言葉は、スポーツ選手や研究者など、限られた人たちが新しい記録を打ち立てた時などに使われる言葉だからです。

でも本当は、それぞれの人生に必ず「快挙」と呼べる瞬間はあるはず。

そう、本書は、一般人の「快挙」にスポットライトを当てた作品です。決して、エンタメ色が強い小説ではありません。淡々と夫婦生活が描かれているのみです。でも、だからこそ現実味があるし、共感できる。
私自身、自分の人生において「快挙」と呼べる瞬間はいつだろう、と考え直すきっかけとなりました。

 

『読書で賢く生きる。ビジネススキル探しを超えて』
中川淳一郎・漆原直行・山本一郎(新書)

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3人の文筆家による「ビジネス書ぶった斬り」本。

文学作品と同じぐらいビジネス書が好きな私ですが、この本は目から鱗の連続で、忘れないためにもいつも手元に置いています。

私自身、読書術や読書論の書籍も多く読んできましたが、「賢い読者になるための読書」を知るにはまずこの一冊だと断言できます。


あらすじ

「ビジネス書を読むと年収が上がる」と思っているのは大間違い!?

読者の茫漠とした危機感、不安感などの心理にうまく入り込み、あざとく本を売り抜けようとするビジネス書も多く存在します。
これ以上本や人々に振り回されないために、本当に役に立つ知恵を学んでいける一冊。


Best5に入る理由

◆これまでの価値観をガラリと変えてくれるブッタ斬り

「読書なんて、ナンボのもんじゃい」「セルフブランディングなんて死ね!」「胡散臭い奴ほどWin-Winと言う」といった過激な見出し、「純粋な向上心を持っているサラリーマンをカモにしているようなビジネス書」の出版社や作家を実名でけなす…など、ビジネス書への見方が変わりそうな内容がこれでもか!というほど盛り込まれています。

「ビジネス書界隈の呆れた舞台裏」の章のブッタ斬りには、ほとほと絶句しました…。

◆これからの人生に役立つ知見と技術

「駄本を見極め、古典を読破する技術」「人生を変えていく読書術とは」「捨てるべきビジネス書、読むべきビジネス書」など全6章から成り立つ本書。
相当の書籍を読んできている3人の言葉だからこそ、説得力のあるものとなっています。

ものすごくタメになるので、大量に購入して家族に配りたいとこっそり考えています。

 

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』最果タヒ(詩集)

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デビュー作が中原中也賞を受賞し(最年少の21歳での受賞)、精力的に活動を続け、今や日本の詩壇には欠かせない詩人となった、最果タヒさんの最新作。

本書の帯コメントは、あの作詞家の松本隆さん!
これだけでも、世代問わず多くの人に支持されていることがわかりますよね。

大好きすぎて、本当は誰にも教えたくない…私にとってはそんな作品です。


内容紹介

都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。

塗った爪の色を、きみの体の内側に探したって見つかりやしない。

夜空はいつでも最高密度の青色だ。――『青色の詩』(最果タヒ/リトル・モア)より抜粋


Best5に入る理由

◆現代詩の骨頂を存分に愉しめる

縦書きと横書きが混在している編集の仕方や、WebやSNSとの連動など、まさに「現代詩」を体現している一冊となっています。斬新で見たことのない表現方法はまさに現代詩の骨頂。
言葉は要りません、とにかく手に取ってみてほしいと思います。

◆新鮮な言語感覚

リズミカルでテンポがよく、面白みがある言語感覚は、クセになること間違いなし。

描かれている世界観は叙情的で難解ではあるものの、時に共感できる部分がある(「生命感があふれるひとほど、フィクションに見える感覚。(ゆめかわいいは死後の色)」など)のがまた嬉しかったりします。
装丁もポップアートのようで、インテリアとしても使えますよ。(私もその一人です)

 

『ママのスマホになりたい』のぶみ(絵本)

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「ママがおばけになっちゃった」で一躍ブームを引き起こした絵本作家・のぶみさんの新作。

シンガポールの小学生の実話を元に作られた作品です。

元々絵本は好きでたくさん持っていますが、これほどまでに衝撃を受けた作品はありません。人生初です。


あらすじ

幼稚園児・かんたろうのママは、いつもスマホをさわっている。

かんたろうが上手にブロックを組み立てて、「ママ〜!これ見て〜!」と声をかけてもぜんぜんきいていない。

さみしくて仕方ないかんたろうがしたこととは…?


Best5に入る理由

◆強いメッセージ性

「ママのスマホになりたい」。この言葉、子どもを持つ親なら誰もがどきりとするのではないでしょうか。

ストレートなメッセージに心を打たれます。
とはいえ、のぶみさんは、この本でママを責めているわけではありません。

「ごめんね」とママが謝るだけでは終わらない仕掛けになっているのが、また素晴らしいですね。
ぜひ、多くの大人に読んでほしい絵本です。

◆涙と笑いの融合

とにかく泣けます。私は何十回と読んでいるのに、毎回この作品を読むと号泣します。
そして、とにかく笑えます。かんたろうとママの掛け合いが面白くて。

涙と笑いのバランスが秀逸すぎる作品となっています。

 

ぜひ読んでみてください

今回、2015~2016年の書籍をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
メジャーなものからマイナーなものまで、私が本当に感銘を受けた作品を集めてみました。

どの作品も名著です。保証します。気になったものはぜひ読んでみてくださいね。

今回ご紹介した本はこちらから購入できます。

◆『第五番 無痛Ⅱ』久坂部羊 (幻冬舎)
◆『快挙』白石一文(新潮社)
◆『読書で賢く生きる。』中川淳一郎、漆原直行、山本一郎(ベストセラーズ)
◆『夜空はいつでも最高密度の青色だ』最果タヒ(リトル・モア)
◆『ママのスマホになりたい』のぶみ(WAVE出版)

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。