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『時をかける少女』原作と2016年ドラマの違いを徹底解説!|あらすじ・内容とは?


更新日:2016/6/23

『時をかける少女』原作と2016年ドラマの違いを徹底解説!

2016年7月に日本テレビでドラマ化された『時をかける少女』。

筒井康隆さんの著書である原作本は、初版が1967年に発売された作品です。これまで4度のドラマ化、4度の映画化(内1本はアニメ映画)、舞台化を果たしている不動の名作といえる作品ではないでしょうか。

今回は、『時をかける少女』のあらすじに加え、原作と2016年版のドラマで異なる点を解説します!

初心者さんも往年のファンも、改めて原作を読み直してみてはいかがでしょうか。

 

「時をかける少女」あらすじ

『時をかける少女』表紙

時をかける少女
筒井康隆(著)、角川文庫

~あらすじ~

中学3年生の和子は、放課後に同級生の深町一夫、浅倉吾朗とともに理科室の掃除をしていました。
掃除が終わり、和子は1人、校庭の裏庭にゴミ捨てに。そして理科室に戻った和子は、不思議な甘い香りを嗅いだ途端に意識を失ってしまいます。

それから、和子の周りでは奇妙なことがつぎつぎと起こるように……。思い悩んだ和子は一夫と吾朗に相談しますが、信じてもらえません。
ところが、一夫と吾朗がそのことを信じざるをえない事件が起こったことで、2人も和子に手を貸すようになります。

理科教師の福島先生も巻き込んでいくうちに、和子の奇妙な体験は、テレポーテーション(身体移動)とタイム・リープ(時間跳躍)という特殊能力からくるものだということが判明。

放課後に嗅いだ不思議な甘い香りがきっかけで、和子は特殊能力が使えるようになってしまったことから、3人は不思議な香りの正体から事件の真相を探ろうとするのですが……。

 

本書は、SF小説だけでなく、青春小説としても展開されていきます。
結末は爽やかで、どこか懐かしく、甘酸っぱい気持ちになれる読後感となっています。

 

原作とドラマの違い

♦登場人物名が異なる

まず、原作と今夏放送のドラマでは登場人物の名前が変わってきます。

原作の主人公は「芳山和子」。同級生は「深町一夫」「浅倉吾朗」の2人でした。
しかし、ドラマでは主人公の名前は「芳山未羽」。同級生のひとり「深町一夫」は、「深町翔平」という名前になっています。

ちなみにドラマの主人公・芳山未羽役は、黒島結菜さんが演じられました。

 

登場人物の設定が異なる

原作では登場人物は中学3年生ですが、ドラマでは高校3年生となっています。

そのため、未羽は「来年に迫った受験が憂鬱な高校3年生」「最近写真部に入ったばかり」、吾朗は「成績優秀で医学部も合格圏内だが将来は実家の理髪店を継ぎたいと思っている」など、原作には描かれなかった大学受験が設定に盛り込まれています。

また、原作では、吾朗は和子にたいして「芳山くんは、まるでぼくたちを、赤んぼうみたいに思っているようだぜ。ふん!」などと皮肉をこぼすことも多く、和子への恋愛感情はまったく描かれていませんでした。
しかし、ドラマでは「未羽のことをずっと想い続けている」設定になっており、今回新しく恋愛模様が描かれることが想像できます。

 

「未来」の西暦が異なる

原作で「現在」と「未来」を行き来する和子ですが、その未来というのは「2660年」を指していました。
ドラマでは「2122年」となっており、西暦の設定が約500年ほど早くなっています。

 

新しい登場人物が登場する

ドラマでは、原作には存在しない登場人物が2人登場します。

まず、未来人「ゾーイ」。ドラマオリジナルのキャラクターとなっており、未来から2016年へやってきた女性研究員という設定になっています。

次に、担任教師「矢野和孝」。こちらもドラマオリジナルのキャラクターで、未羽たちのクラス担任教師という設定です。熱血でノリが良く、生徒から慕われる小洒落た教師ということで、青春ストーリーが繰り広げられることが期待できますね。

 

オリジナルストーリーが入る

原作「時をかける少女」は約100ページの短編小説。そのため、これまで4度のドラマ化、4度の映画化(内1本はアニメ映画)、舞台化が果たされてきましたが、どれも2時間ほどの単発作品となっていました。

連続ドラマ化されるのは今回が初。大筋の内容は変わらない可能性が高いですが、現代版にリメイクされたオリジナルストーリーが盛り込まれることが予想されます。

 

不動の名作『時をかける少女』を読んでみよう

約50年という長い期間をかけて読み込まれてきた「時をかける少女」。
これほど長い期間、多くの人に愛されてきた小説というのも少ないのではないでしょうか。
ドラマと合わせて、ぜひ原作も読んでみてください。

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ご紹介した書籍

時をかける少女
筒井康隆(著)、角川文庫