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星新一さんの代表作4選|ショートショートの神様の代表作を読む


『ショートショートの神様』 星新一さん。作家としての活動期間は、1949年から1996年と約50年にわたり、多くの読者を虜にし続けてきました。その名前を知らない人はまずいないでしょう。

1997年に亡くなってから20年が経った今も『ショートショート=星新一』という方程式は変わっていません。小・中学校の国語の教科書にも掲載されていますので、誰もが一度は彼の作品を目にしたことがあるでしょう。

新鮮なアイデア、シュールな登場人物たち、完全なプロット、アッと驚くオチ。星さんの魅力は到底数え切れません。2017年の現在でも古さや時代を感じさせない作家は数少ないと思います。読めば読むほど、星さんの先見性の鋭さに驚くばかりです。

 

みなさんも、久々に星新一さんの作品を読んでみてみませんか?今回は、改めて読み直したい星さんの代表作を紹介したいと思います。

 

一番の代表作『ボッコちゃん』

『ボッコちゃん』
新潮社

スマートなユーモア、ユニークな着想、シャープな諷刺にあふれ、光り輝く小宇宙群! 日本SFのパイオニア星新一のショートショート集。表題作品をはじめ「おーい でてこーい」「殺し屋ですのよ」「月の光」「暑さ」「不眠症」「ねらわれた星」「冬の蝶」「鏡」「親善キッス」「マネー・エイジ」「ゆきとどいた生活」「よごれている本」など、とても楽しく、ちょっぴりスリリングな自選50編。(表紙裏)

星新一さんの一番の代表作。何百とある初期作品の中から、星さんが選んだ珠玉の作品が集められたショートショート集です。SFや社会風刺など、実に幅広いジャンルの作品が楽しめます。

教科書に掲載されていた名作『おーい でてこーい』も収録されており、懐かしい気持ちになりました。

『おーい でてこーい』は、ある村に径一メートルぐらいの穴が出来たことからはじまる物語。穴の中におもりを垂らしたり、拡声機で音を鳴らしたりするも、すべて飲み込んでしまう穴。深さが分からない穴は、いっぱいになる気配を示さず、やがて原子炉のカスや機密書類、死体までもが投げ込まれるようになっていきます。そして……。

当時、教科書に掲載されていた時には、このオチを理解できませんでした。でも、大人になった今なら、オチの意味がわかります。そういう意味では、自分の成長をも感じさせられる作品と言えるのかもしれませんね。

 

「ノックの音がした」で始まる15のショートショート

『ノックの音が』
新潮社

ノックの音とともに、二日酔いの男の部屋にあらわれた見知らぬ美女。親しげにふるまう彼女の正体は? いったい、だれのところへ、どんな人が訪れてきたのか。その目的は。これから部屋の中で、どんなことがおこるのか……。サスペンス、スリラーからコメディーまで、「ノックの音」から始まる様々な事件。意外性あふれるアイデアと洒落たセンスで描く15のショートショート。(表紙裏)

「ノックの音がした」という出だしから始まる15のショートショートを収録した作品。次はどんな人のもとに、誰が訪れるのだろう?と子どものようにワクワクさせられる一冊です。

誰かが誰かの部屋にやってくる、という構成は同じなのに、サスペンス・スリラー・コメディーなど、作品によって面白さが全然違うことに驚きを隠せません。

ついくすくす笑ってしまったのは『華やかな室』。ある女性の部屋から聞こえた3回のノック音。女性のもとに現れたのは、恋人、愛人、愛人の妻でした。それぞれがバッタリ鉢合わせをしないよう、女性がドタバタ劇を繰り広げるのですが、そのオチが秀逸なんですね。星さんならではのくすりと笑えるユーモアが光る一冊です。

 

星新一の寓話の世界

『未来いそっぷ』
新潮社

『アリとキリギリス』『ウサギとカメ』など、誰でもごぞんじの寓話の世界。語りつがれてきた寓話も、星新一の手にかかると、ビックリ驚く大革命。時代が変れば話も変るとはいえ、古典的な物語をこんなふうに改作してしまっていいものかどうか、ちょっぴり気になりますが―。表題作など、愉しい笑いと痛烈な風刺で別世界へご案内するショート・ショート33編。(表紙裏)

誰もが知っている寓話を、星新一さんがアレンジし再構成したショートショート集。寓話といえば、教訓的な内容を子ども向けに描いた作品ですが、星さんの手にかかれば、その教訓も正反対の意味を持つようになります。

たとえば『アリとキリギリス』。

冬に向けて、真面目にこつこつ食べ物を運んでいたアリ。冬のことは冬に考えればいいと、バイオリンを弾き歌い、遊んで暮らしていたキリギリス。そして、冬がやってきて食べ物がなくなった時、キリギリスは自分の愚かさに気づく……というのが本来のお話です。

でも、星さんのアレンジだと……キリギリスは遊びながらいろんなスキルを身につけていました。その知識を活かし、食料を手に入れ、アリにお酒の美味しさを教授したりします。真面目にこつこつ、という人間だけが評価される時代は終わったのです。個性を大切にし、それぞれの才能を活かした生き方を説いているのですね。一味違う視点は、子どもにとっても大人にとっても、自身の枠を取っ払う作品となっています。

 

ファンの間で人気の「処刑」も収録

『ようこそ地球さん』
新潮社

文明の亀裂をこじあけて宇宙時代をのぞいてみたら、人工冬眠の流行で地上は静まりかえり、自殺は信仰にまで昇華し、宇宙植民地では大暴動が惹起している――人類の未来に待ちぶせる悲喜劇を、皮肉げに笑い、人間の弱さに目を潤ませながら、奇想天外、卓抜なアイデアをとりまぜて描いたショートショート42編を収録。現代メカニズムの清涼剤とも言うべき大人のための寓話集です。(表紙裏)

1971年に発刊された『ボッコちゃん』に収録されなかった、初期作品を一冊にまとめたショートショート集。42篇が収録されています。

ファンの中で人気投票をすれば上位にあがる『処刑』も収録されています。

『処刑』とは、死刑囚の処刑方法がテーマ。現在の日本では絞首刑となっていますが、この作品では、死刑囚を火星に送ります。そしてとある方法で処刑が行われます……。

その斬新なアイデアもさることながら、死生観についても多く触れられた作品です。死とは?なぜ人は生きるのか?ショートショートという短さのなかで、ここまで考えさせられる作品というのは、本当にすごいなと星さんの才能に驚嘆するばかりです。

 

久々に読みたい星新一さんの作品たち

星さんの作品は、大人になった今だからこそ、改めて面白さを感じられるのではないでしょうか?久々に読む方は、面白さが凝縮された代表作から読むことをおすすめします。

 


今回ご紹介した書籍

ボッコちゃん
ノックの音が
未来いそっぷ
ようこそ地球さん


 

短いながらもがっつり楽しめる短編小説はまだまだあります。

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。