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江戸川乱歩の魅力を堪能できるおすすめ作品|人間の狂気と欲望を描き出す傑作


更新日:2019/1/15

江戸川乱歩の魅力を堪能できる作品

大正から昭和にかけて、多くの作品を世に送り出した江戸川乱歩氏。没後50年が過ぎた今も、輝きを失うことなく、多くの人々を魅了しています。

独特の世界観を持つ江戸川乱歩作品の魅力とは、どのようなものなのでしょう?

今回は、そんな江戸川乱歩氏の作品の中でも、魅力を堪能できる作品を厳選してご紹介します。

 

江戸川乱歩作品の魅力

江戸川乱歩作品は日本の推理小説の原点とも言えますが、トリックやストーリー展開はわかりやく単純なものが多いのが特徴です。

しかし、描き出される世界は怪しげで不穏な雰囲気であり、もちろん怖さもあります。

怪奇、グロテスク、エロティック、猟奇など、江戸川乱歩作品を形容する言葉は数多くありますが、行き着くところは「人間が持つ狂気」だと考えます。
それも、誰もが持つような狂気で、ほんの少しその欲望を理解できるところが乱歩作品の魅力なのではないでしょうか。

おそらく多くの人が、不気味だと感じながらも、共感する部分を見いだすことでしょう。「人間の狂気」と「独特の世界観」を堪能できる作品をご紹介します。

 

心の中に眠っている狂気と欲望
『鏡地獄』

『鏡地獄』表紙

鏡地獄
角川書店

1926年に雑誌に掲載されたミステリー・ホラー作品。簡単に言えば、少年時代から「鏡」に異常な嗜好を持つ男性が、鏡の世界に魅了され狂ってしまう物語です。
どっぷりと狂気の世界を味わうことができますよ。

冒頭から何かが起こりそうな不気味な雰囲気が漂いますが、怪奇、妄想、エロス、狂気……全てが凝縮された乱歩作品となっています。
この男性が持つ狂気は、私たちの中に眠っている欲望だと気づくと背筋がゾッとするかもしれません。

読後は、得体の知れない感覚に陥るかもしれませんが、それも乱歩作品の魅力の1つです。

 

他人の生活をのぞき見できる椅子とは
『人間椅子』

『人間椅子』表紙

人間椅子
春陽堂書店ほか

1925年に雑誌に掲載された大正時代の作品。
椅子職人の男が、人間が入れるスペースのある椅子を作り、その中で人間椅子として生活する不思議な物語です。

男は人間椅子としての生活にはまり、愛欲と妄想の日々を過ごします。これが読めば読むほど背筋が凍るような展開で、ホラー要素も満載です。
多くの読者が「気持ち悪い」と嫌悪感を示しながらもその面白さに惹かれるのは、心のどこかに他人の生活を覗いてみたいという気持ちがあるからではないでしょうか。

もちろん普通そう思っていても覗き見することはないでしょうが、無意識のうちに男性の狂気を理解できる部分が誰にもあるのかもしれませんね。

 

屋根裏を散歩して他人の秘密を覗く
『屋根裏の散歩者』

『屋根裏の散歩者』表紙

屋根裏の散歩者
春陽堂書店ほか

こちらも大正時代に雑誌に掲載された短編小説。

乱歩作品を読んだことがない方でも、名探偵「明智小五郎」の名前くらいは聞いたことがあるでしょう。
本書はその「明智小五郎」シリーズの初期の物語で、恐ろしさの中に推理という要素が盛り込まれた作品です。

この物語の主人公である郷田は、あらゆることに興味が持てず、退屈な日々を送る若者。そんな覇気のない郷田が、明智と出会うことで「犯罪」に興味を持つようになります。そんな中、ひょんなことから「屋根裏の散歩」が始まり、他人の秘密を覗き見するように。そして、覗き見の興奮に酔いしれるようになり、郷田の狂気が目覚めていきます。

本書でもやはり、「人間の狂気」が描かれていますが、他の乱歩作品同様に、多少なりとも理解できる狂気のように感じます。

これまで数回にわたり映画化、テレビドラマ化、漫画化されている江戸川乱歩氏の代表作です。

 

推理好きにはたまらない
『D坂の殺人事件』

『D坂の殺人事件』表紙

D坂の殺人事件
春陽堂書店ほか

こちらも大正時代の作品で、明智小五郎が本書の語り手である「私」とともに、密室殺人事件に挑む本格探偵小説です。

明智小五郎と「私」の両者がともに事件を解決するというより、「私」の推理を明智が覆していく形の「推理合戦」のような作品。
また、両者の推理に対するアプローチが異なるところも面白さと言えるでしょう。

食い違う目撃証言、密室での不可能犯罪、発見された明智の指紋、唯一の逃走経路となる路地からは誰も出てこない……など、推理好きにはたまらない謎だらけです!

もちろん、乱歩作品に欠かせないおどろおどろしい世界観や、江戸川乱歩氏の真骨頂とも言える独特の語り口も楽しめますよ。

 

最高傑作との呼び声高し
『孤島の鬼』

『孤島の鬼』表紙

孤島の鬼
春陽堂書店ほか

江戸川乱歩作品の中でも最高傑作との世評がある本書は、昭和初期の長編探偵小説。
当時はまだタブーとされていた「同性愛」が、ストーリーを推し進める力になっているのは興味深いところです。

衆人環視の殺人や密室のトリックなど、本格ミステリー作品ではあります。しかし乱歩作品の中でも突出した異常さがあり、怪奇的な要素も満載。さらに、ちりばめられた伏線の回収は見事としか言いようがありません。

まさに、江戸川乱歩氏の魅力が凝縮された作品で、不気味で恐ろしいのにワクワクするところが本書の面白さと言えるでしょう。
江戸川乱歩氏の世界を堪能したい方におすすめの1冊です。

 

誰にも裁かれずに人を殺せるのか
『赤い部屋』

『江戸川乱歩傑作選』表紙

江戸川乱歩傑作選』より「赤い部屋」
新潮社

一面深紅に染まった部屋に集まった「秘密クラブ」の会員7人の、奇妙な会合が描かれます。新規会員の男が、過去に99人の人間を殺したと語り始めるのですが……。

退屈に飽きた男の善意のフリをした悪意のなんと恐ろしいこと。

人によってはラストに待ち受ける不気味な展開に衝撃を受けるでしょう。しかしそこには、乱歩氏らしさも感じられます。エンタメ性の高い作品です。

 

怪しげで不穏な乱歩ワールドで「人間の狂気」を堪能しよう!

江戸川乱歩作品はそれぞれに独自の世界観があり、あっという間にその世界に引き込まれてしまう語り口の上手さが特徴です。

怪しげで不穏な雰囲気を語らせたら右に出るものはいないと言っていいほどの怪奇的な世界が、人間の心の奥底に眠っている狂気とともに描かれ、間違いなくあなたを夢中にさせるでしょう!

 

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