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『キミスイ』だけじゃない!住野よるさんの魅力とは?


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デビュー作『君の膵臓をたべたい』で一躍人気作家の仲間入りを果たした住野よるさん。

もともとライトノベル作家を目指していたという住野さんですが、これほどまでに支持されているのはなぜでしょうか?

私が思うに、住野さんの魅力として「読者の興味を惹きつけるタイトル」「スラスラと一気に読ませる軽い筆致」「男性だと思わせない中性的な視点」「多くの人が共感するであろうほろ苦い痛み」「クスッと笑えるアソビ心が詰まった対話と仕掛け」などが挙げられるのではないかと思います。

2017年7月28日には映画も公開されています。

ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょう。

 

通称『キミスイ』
君の膵臓をたべたい

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『君の膵臓をたべたい』
双葉社

ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて―。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!(表紙裏)

 

2016年本屋大賞2位。通称『キミスイ』。住野さんの名前を世に広く知らしめた作品です。

テーマは『生きる』。

タイトルを見ると、グロテスクなホラー小説を想像する人もいらっしゃるかもしれませんが、作品自体は、爽やかで読後感の良いものに仕上がっています。

友達がおらず他人に興味がない「僕」と、クラスの人気者「桜良」。互いに方向性が合わないと感じながらも、二人の間に芽生える友情が、二人のかみ合わない会話とともに描かれています。

ありがちな恋愛小説では決してありません。

そしてクライマックスで出てくる「君の膵臓をたべたい」という言葉の意味。
その意味を知ったとき、私は涙を止めることができませんでした。

 

「幸せとは何か」を考える
また、同じ夢を見ていた

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『また、同じ夢を見ていた』
双葉社

きっと誰にでも「やり直したい」ことがある。学校に友達がいない“私”が出会ったのは手首に傷がある“南さん”とても格好いい“アバズレさん”一人暮らしの“おばあちゃん”そして、尻尾の短い“彼女”だった― (帯)

 

デビュー作『キミスイ』が話題になったぶん、おそらくハードルが高かったと思われる第2作ですが、今作も涙が止まらない一冊に仕上がっています。

テーマは『幸せ』。

小学生の奈ノ花は、国語の授業で「幸せとは何か」を考えることになります。学校では孤立していて友達がいない奈ノ花が出会ったのは、個性的な面々で……?

なお、奈ノ花は「人生とは△△のようなものね」というのが口癖なのですが、それがまた真理を突いていてハッとさせられるのです。作中、この決め台詞が数回出てくるのですが、私が面白いなと思ったのは「プリン(底に苦いカラメルがあるから甘さが引き立つ)」。
小学生ならではの柔軟な発想には驚かされることが多いです。

なお、細やかな伏線がところどころに散りばめられているのも巧いですね。

このタイトルがつけられた理由には、「なるほど!」と声をあげてしまいました。

 

本当の“僕”はどっちだろう
よるのばけもの

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『よるのばけもの』
双葉社

夜になると、僕は化け物になる。化け物になった僕は、夜の学校で、ひとりぼっちの少女と出会う―

彼女との夜休みが、今日も始まる――(帯)

 

“僕”は、昼間は人間、夜は化け物に変身して生活している少年。ある日、化け物の姿で忘れ物を取りに学校へ行くと、クラスメイトの矢野と鉢合わせしてしまいます。その日から、二人は夜の学校で会うようになります。

テーマは「いじめ」。

矢野はクラスでいじめに遭っていました。“僕”は、昼間は矢野に声をかけられても無視を貫きますが、夜になると矢野と二人で遊ぶ……。どちらの“僕”が本当なのか?

クラスメイトの行動など、心が痛くなる描写も含まれます。ですが、決してありきたりな「いじめ小説」ではないところが本書の一番の特徴ではないでしょうか。

住野さんならではの視点が面白い一冊に仕上がっており、深い余韻が残る作品です。

 

タイトルに隠された5人の「かくしごと」
か「」く「」し「」ご「」と「

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『か「」く「」し「」ご「」と「』
新潮社

みんなは知らない、ちょっとだけ特別なちから。そのせいで、君のことが気になって仕方ないんだ―きっと誰もが持っている、自分だけのかくしごと。

5人のクラスメイトが繰り広げる、ここは、特別でありふれた物語。共感度No.1の青春小説!(帯)

 

『か、く。し!ご?と』『か/く\し=ご*と』『か1く2し3ご4と』『か♠︎く♢し♣ご♡と』『か↓く←し↑ご→と』の5編から成り立つ連作短編集。

このタイトルには、5人の登場人物たちの『特殊能力(かくしごと)』が隠されています。私は推測しようと思いましたが結局わからずすべて読み切ってしまいました。

どういう意味なのか、謎解き気分で読み進めても面白いと思います。

住野さんの作品のなかでは、最も軽快な読み心地の作品です。

なお、書籍の購入者限定で、本書Web上のスペシャルストーリー「『か「」く「」し「頁』」を読むことができます。書籍のどこかにQRコードが隠されているので、すみずみまで探してみてください。

こういう仕掛けがなされているのも、住野作品の面白い試みですね。

 

『キミスイ』だけじゃない住野作品の魅力

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いかがでしたでしょうか?

興味を持っていただけたなら、ぜひ一度手に取ってみてくださいね。

 

今回ご紹介した書籍
君の膵臓をたべたい双葉社
また、同じ夢を見ていた双葉社
よるのばけもの双葉社
か「」く「」し「」ご「」と「新潮社

 

『君の膵臓をたべたい』は2016年本屋大賞2位となりました。
全国の書店員がおすすめする歴代の本屋大賞はこちらから!

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。