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夏の風物詩。何百年と話し継がれてきた『日本三大怪談』に挑戦してみよう


夏の風物詩である、怪談話。

普段は怖い話を読まないけれど、この時期だからこそ読みたくなるという方も多いのではないでしょうか?

 

今回ご紹介するのは「日本三大怪談」。

古くから存在し、演劇など多くの形で愛され、人から人へ、親から子へ、言い伝えられてきた怪談です。読者のみなさんも、聞けばきっと知っているはず。

これまで何百年と、多くの人々に支持されてきた作品です。文学的価値が高いことは言わずもがな、ストーリーの素晴らしさにはつい惚れ惚れしてしまいます。

 

この夏、日本を代表する三大怪談を、ぜひ読んでみませんか?

 

鶴屋南北の最高傑作!

『東海道四谷怪談』表紙

東海道四谷怪談
鶴屋南北(著)、岩波書店

「お岩様」の怪談として人に知られている四谷怪談は,「怪談もの」の傑作であるばかりでなく,歌舞伎脚本史上に「生世話物」の分野を確立した南北一代の名作である.その作劇法の縦横の駆使と大胆な描写はまさに驚くべきものがあり,特に《地獄宿の場》《隠亡堀》など奇趣,陰惨を極めている.本書は新発見の原作本から校訂した。(表紙)

『お岩さん』という幽霊で広く知られる作品。鶴屋南北作の歌舞伎狂言として、上演されていたものになります。

私も本書を読んで初めて知ったのですが、実は、お岩さんは実在したのだそうです!お岩さんといえば、毒薬のため醜くなってしまった顔半分と、祟りのイメージが強いですよね。完全なるフィクションだと思っていたため、驚きでした……。

本書は、実在するお岩さん夫婦と、元禄時代に起こった事件、上演当時江戸時代で起きていた事件などが合わさって出来上がった作品とされています。

内容は、現代風に言うと「イヤミス」の要素を含んでいます。もちろん、怪談特有の怖さもあるのですが、人間の怖さをまざまざと感じさせられるのです。

夫の伊右衛門と近所に住む「お梅」の恋愛。邪魔者扱いされ、顔が醜くなる毒薬を飲まされたお岩さん。お岩さんは鏡を見た瞬間、自分の顔が醜くなってしまったことに気づきます。そして……?

続きはぜひ手にとってみてください。

 

「日本の怪談って面白い!」と思える一冊

『現代語で読む「江戸怪談」傑作選』表紙

現代語で読む「江戸怪談」傑作選』より
『番町皿屋敷』

かつて、夏の夜には怪談が付き物だった。怨霊の襲撃を堪え忍ぶ「耳なし芳一」の挿し絵や、おどろおどろしい声色で一枚、二枚と数えあげる「番町皿屋敷」の一節を知らない人はないだろう。古きよき日本の幽霊ばなしの定番である。(表紙裏)

「いちま~い、にま~い、さんま~い」と、井戸の底から聞こえる、悲しげな女の声。本書は、お皿を数える『お菊さん』の話です。

貧しいながらも美しいお菊さんは、奉公先で、主が大切にしていたお皿をなくした疑いをかけられます。そして、指を切り落とされるのです……。

お菊さんという人物が実在したという記録はないようですが、全国各地でこのような事件は頻繁に起こっていたようです。そのため、皿屋敷と呼ばれる怪談話は数多く存在するのだとか。

今回ご紹介した岡本綺堂の『番町皿屋敷』は、全国各地に残る皿屋敷の怪談話を芝居にしたものです。

一般的には創作物とされていませんが、お皿にまつわる幽霊の目撃情報もあったようで、あながちフィクションと言い切れない一冊になっています。

 

忠臣への敵討ち

『怪談 牡丹燈籠』表紙

怪談 牡丹燈籠
三遊亭円朝(著)、岩波書店

旗本の娘お露の死霊が,燈籠を提げカランコロンと下駄を鳴らして恋人新三郎のもとに通うという有名な怪異談を,名人円朝の口演そのままに伝える.人情噺に長じた三遊亭円朝(1839-1900)が,「伽婢子」中にある1篇に,天保年間牛込の旗本の家に起こった事実譚を加えて創作した.改版.(解説=奥野信太郎/注=横山泰子)(表紙)

カランコロンと駒下駄の音を響かせて、男の元へ通う幽霊『お露さん』の話。

幽霊といえば「うらめしや(恨めしや)」を決まり文句に登場することが多いですが、お露さんの場合は、恋しくて恋しくて男の前に現れるのが面白い作品です。

浪人の新三郎に恋した、旗本の娘のお露さん。身分違いの恋に心を病み、なんと死んでしまいます。死んで自由となったお露さんは、幽霊となり、新三郎のもとへ通うのですが……?

タイトルの『牡丹燈籠』は、お露さんの女中・お米が手に提げている提灯の絵柄を指します。灯りを提げ、足がある幽霊という物珍しさから、当時人気を呈したのだそう。

本書にあたっては、実話に基づいた怪談というよりは、男女の悲しい恋を描いた怪談というのがふさわしいかもしれません。純愛モノが好きな方にもおすすめできる一冊です。

 

 

日本三大怪談のすばらしさ

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いかがでしたでしょうか?日本三大怪談と呼ばれるだけあり、どの作品も大変素晴らしく、文学的価値が高いです。

暑いこの時期だからこそ、ぜひ日本三大怪談に挑戦してみてくださいね。

 

今回ご紹介した書籍

東海道四谷怪談
鶴屋南北(著)、岩波書店

現代語で読む「江戸怪談」傑作選
堤邦彦(著)、祥伝社

怪談 牡丹燈籠
三遊亭円朝(著)、岩波書店

 

怖すぎる!? お化け、妖怪、怪談など、こわい本が99冊。あと1冊は……。

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。