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読破した人は日本に何人?「超難解本」4選


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読書好きの皆さんのこと、多くの小説を読んでいることだろうと思いますが、いわゆる『超難解本』にチャレンジした経験はあるでしょうか。

本日取り上げた作品は、桁違いに難しいです。これまで日本三大奇書やドストエフスキー、プルーストなど、読むのが困難な作品を取り上げてきましたが、それらの難易度を遥かに超える難しさです。

今回紹介した作品を読破した人は、日本に何人いるのでしょう…?自信のある方は、ぜひチャレンジしてみてください。

 

世界で最も難解と言われる本
『フィネガンズ・ウェイク』

『フィネガンズ・ウェイク』表紙

フィネガンズ・ウェイク
ジェイムズ・ジョイス(著)、河出書房新社

今世紀最大の文学的事件、現代文学の偉大なる祖、ヴェールにつつまれた幻の大傑作、ジョイス死後50年を経て、ついに日本語に!!(帯より)

読了不可能、翻訳不可能とされた作品。世界で最も難解だと評されている作品です。あまりにも大変な作品であることから、刊行が2ヶ月遅れたというエピソードまで残っています。

 

では、本書の冒頭部分を引用してみましょう。

川走、イブとアダム礼盃亭を過ぎ、く寝る岸辺から輪ん曲する湾へ、今も度失せぬ巡り路を媚行し、巡り戻るは栄地四囲委蛇たるホウス城とその周円。(翻訳原文のまま)

……。
つい黙り込んでしまいませんか?
このように訳がわからない言葉が続くため、原著でも読了が困難とされているのです。翻訳者の力量や語彙力には本当に驚いてしまいますね。

聞いたところによると、本書の朗読CDが発売されているのだとか。私は試したことがありませんが、聴きながら読めば、読了も夢じゃないかもしれませんよ。

 

脱線に脱線が続く難解本
『トリストラム・シャンディ』

『トリストラム・シャンディ』表紙

トリストラム・シャンディ
ロレンス・スターン(著)、岩波文庫

怪癖放縦(かいへきほうしょう)にして病的神経質なる「スターン」を後世に伝ふべきものは、怪癖放縦にして病的神経質なる「トリストラム、シャンデー」にあり、「シャンデー」程人を馬鹿にしたる小説なく、「シャンデー」程道化たるはなく、「シャンデー」程人を泣かしめ人を笑はしめんとするはなし
(夏目漱石『トリストラム、シヤンデー』より)

夏目漱石が愛した奇書。ちなみに、日本で初めてスターンの作品を紹介したのは漱石だと言われています。

この作品を一言で言うと「主人公であるトリストラム・シャンディの自伝」。しかし、それにもかかわらず、シャンディは翻訳前の原作全9巻(執筆途中に作者が亡くなってしまい未完)のうち3巻まで生まれてきません。
なぜなら、本書の特徴は「脱線また脱線」だからです。一つのことを述べていたと思ったら別の話になり、それがあまりにも無駄で長く続くため、作者が何を伝えたいのか読解することが大変難しくなっています。

また、真っ黒に塗られたページがあったり、まるまる一章を飛ばしたり、線でストーリーを伝えるなど、斬新すぎる表現方法も本書を難解なものにしています。

ただ、シャンディを「しこむ」時、両親のムードが悪かったから自分の出来が悪いんだ!と嘆く主人公には笑ってしまいます。

 

もはや問題作!の難解本
『重力の虹』

『重力の虹』表紙

重力の虹
トマス・ピンチョン(著)、国書刊行会

キーンという音が大空をよぎる。V2ロケットの来襲だ。第2次世界大戦も末期のロンドン、アメリカ軍中尉タイローン・スロースロップは、ドイツ軍の猛爆撃もなんのその、ガールハントに余念がない。ところが、彼の行動をひそかに監視している者がいる。彼らの調査によれば、スロースロップが女とセックスした場所へ、後刻、必ずV2ロケットが落ちるというのだ。
(中略)
あらゆる境界線を破壊するパラノイア的想像力が生み出した文学史上最高最大、究極のスーパーフィクション。(表紙裏より)

難解なあまり、新訳の発売日が延期となった作品。

アメリカの大学生に『読んでいないが読んだフリをした作品』のアンケートを取ると、必ず上位に挙がる一冊でもあります。アメリカ文学史において価値が高く、にもかかわらず読み通すのが困難である作品だというのが、この結果からも分かるのではないでしょうか。

「『重力の虹』を難解にしているのは、一つには『百科全書』が語りを務めているかのような、そのあまりに膨大にして広範囲に及ぶ知の数々にある」と解説で書かれているように、さまざまな学問と多くの外国語が混ざっていることが、本書を難解にしています。

航空力学、文化人類学、心理学、曼荼羅、ゲルマン神話、経済学、ドラッグ、ポルノ、タロット、降霊術など、作者の幅広すぎる知識が読者を混乱させるのです…

なんと作者本人までも、脱稿不能状態に陥ったのだとか!
問題作と呼べる一冊です。

 

話が進まないがゆえに難解に…
『死霊』

『死霊』表紙

死霊
埴谷雄高(著)、講談社

半世紀をかけた畢生の傑作
埴谷雄高作品、初の文庫化(帯より)

日本文学で最も難解な作品、として取り上げられることが多い本書。

ドストエフスキーの影響を強く受けた作者が、約50年もの年月をかけ取り組んだ魂の作品でもあります。(全12章の予定でしたが作者が亡くなり未完の状態となっています)

日本語で描かれているにも関わらず、この作品を読了することが難しい理由はなぜなのでしょうか?

理由としては、本書が「我が国初の形而上小説」であること。(テーマの一つは「自同律の不快」(自分が自分であることが不快という概念))

あまりにも観念的な観点で描かれた作品であり、かつ、登場人物たちが持論や妄想をひたすら話すのみで、ストーリー展開が遅すぎる。つまり、話が一向に進まないため、諦めてしまう読者が多いのです。

ただ、一部では神様のように崇められていたり、三島由紀夫が「埴谷雄高氏は戦後の日本の夜を完全に支配した」と絶賛するなど、多くの文学者に愛されたことでも知られる作品でもあります。日本文学的価値が高い作品を読みたい方はぜひ。

 

超難解本にチャレンジ!

TRY

難解すぎるあまり、多くの人が知らずに終わる作品ばかり。自信のある方はチャレンジしてみてくださいね!

 

今回ご紹介した書籍

フィネガンズ・ウェイク
ジェイムズ・ジョイス(著)、河出書房新社

トリストラム・シャンディ
ロレンス・スターン(著)、岩波文庫

重力の虹
トマス・ピンチョン(著)、国書刊行会

死霊
埴谷雄高(著)、講談社

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。