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新海誠監督の小説 【『君の名は。』含む3作品すべて紹介】


20161023-shinkaimakoto-shousetsu-top ※イメージ画像

今夏公開された映画『君の名は。』は大ヒット作として、社会現象を巻き起こしました。監督である新海誠さんは、映画を制作する傍ら、小説版『君の名は。』も同時に執筆されていたことをご存知でしょうか?

これまで新海監督は、3冊の書籍を書かれています。それらはすべて、“映画では描けなかった部分”を書きたいと、監督自らがペンを取ったもの。そう、小説と映画は、相互補完的な役割を果たし合っているというわけです。新海監督の映画を完全に理解するには、どの作品も必須の一冊といえます。

映画をみた人はもちろん、映画をみたことがない人でも楽しめる、新海監督の切ない世界を味わってみませんか?

 

『小説 君の名は。』

20161023-shinkaimakoto-1『小説 君の名は。』
出版社: KADOKAWA/メディアファクトリー

<あらすじ>
千年ぶりに彗星がやってくるのを一ヶ月後に控えた日本が舞台。
田舎町で暮らす女子高生の三葉は毎日が憂鬱だった。「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」と考える三葉だったが、ある日自分が東京の男子高校生として生きている夢を見る。

一方、東京で暮らす男子高校生・瀧も、自分が山奥の街で女子高校生として生きている夢を見る。繰り返される不思議な夢に、二人は気づく。「私/俺たち、入れ替わってる!?」と。

<書籍紹介>
2016年夏に公開されたアニメーション映画『君の名は。』の小説版。

本書は映画と同時進行で書かれた小説であり、こういう小説の書き方は新海誠さんは初めての試みだったのだとか。発売日は書籍の方が少し早くなっています。

内容においては、小説と映画で物語上の大きな違いはありません。しかし、《語り口が異なっている》ので、新鮮さを感じる人も少なくないでしょう。映画は、その特性から三人称(つまり客観的な視点)の世界が描かれていますが、小説では、瀧と三葉の一人称(つまり2人の視点)で話が進んでいきます。

新海誠さんは、あとがきでこのように語っています。

この小説を書こうとは、本当は思っていなかった。

こんなことを言ってしまうと読者の方々に失礼かもしれないと思うけれど、『君の名は。』は、アニメーション映画という形がいちばん相応しいと思っていたからだ。

(略)

それでも、僕は最後には小説版を書いた。書きたいと、いつからか気持ちが変わった。

その理由は、どこかに瀧や三葉のような少年少女がいるような気がしたからだ。この物語はもちろんファンタジーだけれど、でもどこかに、彼らと似たような経験、似たような想いを抱える人がいると思うのだ。大切な人や場所を失い、それでももがくのだと心の決めた人。未だ出逢えぬなにかに、いつか絶対に出逢うはずだと信じて手を伸ばし続けている人。そしてそういう想いは、映画の華やかさとは別の切実さで語られる必要があると感じているから、僕はこの本を書いたのだと思う。(p254-257)

気持ちの良い余韻を残してくれる作品です。

瀧と三葉視点から描かれた本書を読むと映画が観たくなるし、映画を観たら小説が読みたくなる……。癖になること間違いなしの一冊です。

なお、新海監督が執筆されたものではありませんが『君の名は。 Another Side:Earthbound』もオススメですよ。

 

『小説 秒速5センチメートル』

20161023-shinkaimakoto-2『小説 秒速5センチメートル』
出版社: KADOKAWA/メディアファクトリー

<あらすじ>
舞台は1990年代前半の東京からはじまる。主人公の遠野貴樹と篠原明里は、本やテレビから得た、2人にとって大切だと思う知識を帰り道で交換し合っていた。雲の落ちる速度や花びらの落ちる速度、宇宙の年齢とか銀が溶ける温度など。

二人は、小学校の卒業と同時に離れ離れになってしまう。二人の間だけにあった特別な感情を残して。そしてある日、二人は遂に再会するが……?

<書籍紹介>
2007年3月に公開されたアニメーション映画『秒速5センチメートル』の小説版。

こちらは映画が上映された後に、新海監督によって書かれた小説となっています。

内容においては、映画では語られなかった心象風景を、新海監督みずからが希望して小説化。映画では解釈が難しい部分などを理解できる一冊になっています。

『秒速5センチメートル』の意味は、冒頭で語られます。

「ねえ、秒速五センチなんだって」

「え、何が?」

「なんだと思う?」

 

「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速五センチメートル」

びょうそくごせんちめーとる。不思議な響きだ。僕は素直に感心する。「ふーん。明里、そういうことよく知ってるよね」

ふふ、と明里は嬉しそうに笑う。 (p9)

また、新海誠さんは、自身のホームページでこの作品を以下のように語っています。

我々の日常には波瀾に満ちたドラマも劇的な変節も突然の天啓もほとんどありませんが、それでも結局のところ、世界は生き続けるに足る滋味や美しさをそこここに湛えています。現実のそういう側面をフィルムの中に切り取り、観終わった後に見慣れた風景がいつもより輝いて見えてくるような、そんな日常によりそった作品を目指しています。

初恋というのは、なぜこんなにほろ苦いものなのでしょうか……。読み終わった頃には、切なさに胸が締め付けられること間違いなしの一冊です。

 

『小説 言の葉の庭』

20161023-shinkaimakoto-3『小説 言の葉の庭』
出版社: KADOKAWA/メディアファクトリー

<あらすじ>
タカオは靴職人を目指す高校生。雨の朝は学校をさぼり、公園で靴のスケッチを描いていた。そこで出会ったのは、缶ビールを飲む27歳の女性・ユキノ。二人は雨の日に限り偶然会う間柄となり、心を通わせていく。

傷つき上手く人生を歩くことができなくなったユキノのために、タカオは靴を作ってあげたいと思うようになる…。

<書籍紹介>
2013年5月に公開されたアニメーション映画『言の葉の庭』の小説版。

こちらも映画の後に書かれた小説となっています。

映画では語られなかった登場人物の心情や過去を伝えるために、新海監督みずからが小説化したもの。映画ではほんの少ししか登場しなかった脇役のキャラクターにもスポットライトを当てているなど、映画のアナザーストーリー的な役割を果たしています。

この世界には文字よりも前にまず───当たり前のことだけれど、話し言葉があった。(略)

そして、「恋」は「孤悲」と書いた。孤独に悲しい。七百年代の万葉人たち───遠い我々の祖先───が、恋という現象に何を見ていたかがよく分かる。ちなみに「恋愛」は近代になってから西洋から輸入された概念であるというのは有名な話だ。かつて日本には恋愛はなく、ただ恋があるだけだった。

 

本作「言の葉の庭」の舞台は現代だが、描くのはそのような恋───愛に至る以前の、孤独に誰かを希求するしかない感情の物語だ。誰かとの愛も絆も約束もなく、その遙か手前で立ちすくんでいる個人を描きたい。現時点ではまだそれ以上のことはお伝えできないけれど、すくなくとも「孤悲」を抱えている(いた)人を力づけることが叶うような作品を目指している。

新海誠さんが自身のホームページでこのように語っているように、本書はとにかく切ない作品です。「本を読んで泣きたい」そんな時にはぜひこちらを読んでみてください。

 

新海誠監督の3作品を読んでみよう

今回紹介した作品は、キュンと胸が締め付けられる作品ばかり。読んでいただくと目の前の世界が変わることを保証します。ぜひ読んでみてくださいね。

今回ご紹介した書籍をブックオフオンラインで購入する↓
♦『小説 君の名は。』KADOKAWA
♦『小説 秒速5センチメートル』KADOKAWA
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♦『小説 言の葉の庭』KADOKAWA
【DVD】『言の葉の庭』はこちら

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ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。