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衝撃!宮部みゆきが書いたの!?ギャグ満載のゲーム小説「ここはボツコニアン」


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この本のカバーをはずすと、こんな注意書きが書かれています。

~使用上のご注意(作者からのお願い)~

 

・テレビゲームがお好きな方には副作用(動機、悪心、目眩、発作的憤激等)が発症する場合があるかもしれません。ご了承ください。

・作者がクビになった場合、強制終了する恐れがあります。その際は、全てなかったことにしてお忘れください(泣)。

・本作の挿絵画家は週刊少年ジャンプの若手コミック作家なので、あるとき突然ブレイクして超多忙になり、こんな挿絵なんて描いてらんねェよモードに入ってしまう可能性があります。その場合は週刊少年ジャンプをお楽しみください。

・セーブする際はページの右肩を折ってください。本体を折り曲げるのは危険です。

宮部みゆき

「え、この本の作者が宮部みゆき?!」と目を疑ってしまうような、可愛いアニメ風の表紙。そして、いつもの宮部ワールドとはあまりに違いすぎる世界観。

「本当に宮部みゆきがこの作品を書いているの?!」と仰天してしまう「ここはボツコニアン」は、ギャグ小説?脱力系小説?お気楽小説?なんとも言えないユルさがクセになる一冊です。

難しい本や頭を使ったときのひとやすみ。箸休めにいかがでしょう?

◆ご紹介する本
文庫本『ここはボツコニアン』宮部 みゆき 著、(集英社)
単行本『ここはボツコニアン』宮部 みゆき 著、(集英社)

 

「ここはボツコニアン」あらすじ

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舞台は、<ボツコニアン>――それは、“ボツ”になったゲームネタが集まった、できそこないの世界。

12歳になった日、姉のピピと弟ピノの双子(2人揃ってピノピ)は <長靴の戦士>に選ばれる。2人の役目は<ボツコニアンにホンモノの世界のエネルギーを取り込み、より良い世界にすること>。

植木鉢の花の形をした、世界の取扱説明書<世界のトリセツ>と一緒に、その役目を果たすべく、2人は壮大な冒険へと出発する……。

 

「ここはボツコニアン」読みどころ

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「わたしもゲーム女のはしくれ。ずうっと書きたかったお話なんです。宮部みゆき」

(本の帯より)

そう、本書は単なるファンタジー小説ではありません。宮部みゆきさんの情熱と、趣味趣向、人柄が存分に味わえる小説なのです。

作中でも、ときどき現れるキャラクター”宮部みゆき”が、小説の世界に突っ込みを入れたり、テンション高めにユルーくゲームネタについて語っていたりします。

たとえば、このような調子で。

今月の作者は、PSPで『タクティクスオウガ 運命の輪』をやりすぎて五十肩を発症しております。

(ここはボツコニアン 2 魔王がいた街p96)

また、名作RPGにおけるオマージュとパロディの嵐が(わかる人には)面白い作品となっています。

「FF(Final Fantasyの略)」「マリオ」「メタルギアソリッド」「無双」「モンハン」など、現実世界で存在するゲームが伏字なく登場するのです。

なお、ボツコニアンは、”ボツ”になったゲームネタが集まっている世界なので、描かれているのも理不尽なことばかり。

「登場人物の使い回しで一人二役」「敵があまりにも強いチュートリアル」「移動しただけでHPが減少」「敵が登場しない」……そりゃあボツになるだろう!とつい突っ込みたくなるようなネタばかり。想像しただけでちょっと吹き出してしまいますよね。

 

宮部みゆきの仕事とゲームの両立法

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ところで、宮部みゆきさんは、文学界の中でもかなりのゲーマーだということをご存知でしょうか?

ゲームへの情熱は、宮部みゆきさんの公式ホームページ「大極宮」(大沢在昌さん・京極夏彦さん・宮部みゆきさんの合同ホームページ)で、過去に「ゲーム女の生きる道」というタイトルで毎週記事を書いていたことでも知られています。

そんな無類のゲーム好きの宮部みゆきさん。売れっ子作家でいらっしゃるので、睡眠時間を削ってゲームをしているのだと思いきや、1日8時間は寝ているのだとか。どのように両立されているのでしょうか?

やっぱり、小マメにセーブのできるゲームを選ぶことじゃないでしょうか。勝負の早い格闘ゲームも、時間のないときにはいいです。

それと、攻略本やゲーム雑誌を活用すると、効率的に進められるし、先が気になって寝られないということも少なくなるように思います。

わたしも、忙しくてどうしてもゲーム機のスイッチを入れる元気が出ないときは、雑誌を読んでゲーム気分を満足させるようにしています。

(「週刊大極宮」 宮部みゆきへの質問と回答)

 

「ここはボツコニアン」で新たな宮部ワールドを覗いてみよう

筋金入りのゲーム好きである宮部みゆきさんが描く「ここはボツコニアン」は単行本版で全5巻。(文庫本は2016年9月現在、3巻まで)

私はまったくゲームをしたことがない人間なのですが、知識が一切なくても楽しめる一冊でした。ただ、元ネタがわかれば、さらに笑えると思います。

ゲームに興味がある人はもちろん、ゲームに興味がない読者も「宮部みゆきの新たな一面」を覗いてみませんか?

◆ご紹介する本
文庫本『ここはボツコニアン』宮部 みゆき 著、(集英社)
単行本『ここはボツコニアン』宮部 みゆき 著、(集英社)

以下では、ミステリー小説をはじめ、時代小説やSF、ホラー、ジュブナイルまで幅広く執筆している宮部みゆきさんの作品をまとめています。まだ見たことのない宮部作品に出会えるかもしれません…!

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ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。