『高慢と偏見とゾンビ』あらすじと魅力に迫る!イギリスの名作がゾンビに感染!?
更新日:2016/8/25
『高慢と偏見とゾンビ』
ジェイン・オースティン、セス・グレアム・スミス(著)
二見書房
みなさんは、イギリスの作家 ジェイン・オースティンによる長編恋愛小説『高慢と偏見』という作品をご存知でしょうか?
(Pride and Prejudice:「自負と偏見」「プライドと偏見」と訳されることもあります)
この歴史的名作に、なんと「ゾンビ」を混ぜ込んでマッシュアップしたのが、今回ご紹介する『高慢と偏見とゾンビ』。映画化もされ、2016年9月には日本でも公開された作品です。
原作好きな方もそうでない方も、要チェックですよ。※多少のネタバレにご注意を。
そもそも『高慢と偏見』ってどんな作品?
『高慢と偏見』
ジェーン・オースティン(著)、岩波書店ほか
まずは、もともとの原作『高慢と偏見』のあらすじを確認しておきましょう。本作は、誤解から生まれた偏見とすれ違いによる男女の恋のお話です。
~あらすじ~
舞台は18世紀のイギリス。小さな田舎町ロングボーンに住むベネット家には、5人の娘がいる。そんな5人姉妹の次女・エリザベスは読書好きで頭が良く、はっきりと物を言う女性だ。
ある日、資産家のビングリーが町に移り住んできた。そして、舞踏会の日に長女のジェインと恋に落ちる。一方のエリザベスは、ビングリーの友人であるダーシーと出会うが、手酷く侮辱され反感を抱くように……。
その後、ある若い士官・ウィカムと出会ったエリザベス。彼の話で、ダーシーがビングリーとジェインの仲を妨害しようとしていることを知ったエリザベスは、激しい怒りを覚えていた。
そんな折り、旅行先でばったり再会した2人は……?
ゾンビに対抗する戦士となった姉妹たち
さて、そんな恋のお話に、何故か「ゾンビ」が加わってしまったのが『高慢と偏見とゾンビ』です。
18世紀のイギリスには、いたるところにゾンビが。ゾンビに噛まれた人間もまた奇病にかかり、徐々にゾンビ化してしまいます。
父のミスター・ベネットによって、中国へ送り込まれた5人姉妹。
姉妹たちはリュウ師のもと、少林拳の修行を積んで立派な戦士となり、イギリス国王からゾンビと戦う使命を下されます。(なぜだー!)
ベネット家には「ドージョー(道場)」がつくられ、日々訓練に励む姉妹たち。しかしゾンビの群れはあらゆるところに出没しては人々を襲っていました。
ダーシーとエリザベスが出会った舞踏会も例外ではありません。ダーシーに侮辱されたエリザベスは、ついに戦うことを決意します。
「戦士道にのっとり、名誉を守るために復讐せねばならぬ。」(p.18)
エリザベスのもとに、襲撃してきたゾンビたち。
不運にも窓際に立っていた客たちは、たちまちつかまって餌食になった。エリザベスは立ち上がった。見れば、逃げようともがくミセス・ロングの頭に、二匹の女ゾンビがいましも噛みついたところだった。頭蓋骨がくるみのように砕け、黒っぽい血しぶきが噴きあがって、天井のシャンデリアを汚していく。
客たちが四方八方逃げまどうなか、その叫喚を切り裂いてミスター・ベネットの声が響いた。「娘たち! 死の五芒星だ!」(p.19)
この戦いの結末やいかに……!?
知性ある勇敢な戦士・エリザベスの痛快アクション!
原作通り、知性をそなえた女性であるとともに、卓越した武道の腕前と、気高い戦士としての誇りを持ったエリザベス。持ち前の気の強さも相まって、カタナを手にばっさばっさとゾンビを倒していく姿は痛快そのものです。
ゾンビや少林拳、ニンジャなどのトンデモ要素を盛り込みながら、それでいて原作のストーリーを壊すことなく、物語は進んで行きます。
エリザベスはいつもの試合用ドレスに、頼りのカタナを身に帯びた。レディ・キャサリンが試合開始の合図をしようと立ちあがると、エリザベスはこれ見よがしに目隠しをした。
「これこれ、お嬢さん」レディ・キャサリンは言った。「おふざけは身のためになりませんよ。わたくしのニンジャたちは手加減などしませんからね」(p.208)
なんと中盤には、エリザベスを快く思わないキャサリン夫人が、エリザベスとニンジャを戦わせるというバトルシーンも……。
(あ、この作品でのキャサリン夫人は、ゾンビ退治に多大なる貢献をした偉大な戦士……という設定です。)
ドレス姿にカタナ! 映画も注目!
18世紀のイギリスの淑女がゾンビと戦う、かなりぶっとんだ設定の『高慢と偏見とゾンビ』。いわゆる「ちょっと勘違いされた東洋」の要素も盛り込まれた異色作です。
ナタリー・ポートマンがこの作品に惚れ込み、映画化権を得て、リリー・ジェームズ主演で映画化されました。ドレスを着た美しい女性がカタナを手にゾンビを退治していく姿……ぜひ映像でも見てみたいですね。
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