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深く考えさせられる…。東野圭吾の「社会派小説」おすすめ5選


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日本が誇る人気小説家、東野圭吾さん。東野圭吾さんが書く作品は、ガリレオシリーズを代表としたミステリーやエンターテイメント性の高い小説が多いというイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。

実は、東野圭吾さんは、読者を楽しませるようなミステリー小説だけではなく、世の中の問題提起に比重を置いた「社会派」小説も多く書かれています。

今回は、東野圭吾さんの作品の中でも特に「社会派」な小説を5作品紹介します。

 

手紙

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犯罪加害者の家族の目線で綴られるリアリティあふれる作品

手紙 (文春文庫)

~あらすじ~

武島剛志は23歳。両親は死んでおらず、弟の直貴と仲睦まじく生きてきました。そんな剛志の夢は弟に大学へ行かせてやること。しかし身体を壊し仕事ができず、お金に困った剛志は、空き巣に入り住んでいる老婦人を殺してしまいます…。

そんな序章から始まる「手紙」の主人公は、弟の直貴。

直貴は、剛志の逮捕後も頑張って働き、お金を貯めて大学生に。そしてバンドでプロデビューすることになったり、令嬢と結婚が決まったりしますが、そのたびに「殺人犯の弟」というレッテルを貼られ諦めざるをえない状況になります。

その間も、孤独になった直貴を気遣い、月に一度獄中から剛志より手紙が届きます。そして直貴はある決断をします…。


【読みどころ】

本書で描かれているテーマは「犯罪加害者の家族目線での過酷な現実」。

加害者の家族という、今までにない切り口から現実を突きつける作品です。
フィクションにありがちな夢物語やハッピーエンドは存在しません。読んでいてつらくなるほど悲痛な、直貴の心の葛藤がリアリティを持って描かれています。

 

さまよう刃

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“少年法”をテーマに、犯罪被害者の家族の苦悩が描かれる衝撃作

さまよう刃 (角川文庫)

~あらすじ~

長峰の娘、絵摩は、友達と花火大会に行った夜に行方不明になり、数日後死体として発見されます。

しかし、犯人は一向に見つからず、焦燥感を募らせる長峰のもとに、犯人の名前と住まいを知らせる一本の密告電話が。

そして長峰は犯人の住まいに侵入しますが、そこで、2人の少年にレイプされて死んでいく絵摩の姿の映像を発見します…。


【読みどころ】

本書は「未成年の加害者を救済する”少年法”」がテーマとして描かれています。
少年法という壁が立ちはだかる前で、被害者家族の思いが救われることはあるのでしょうか。

先ほど紹介した「手紙」とは逆の「犯罪被害者の家族目線での過酷な現実」について書かれているので、併せて読んでみてはいかがでしょうか?一度読むと忘れられないほど衝撃的な作品です。

 

人魚の眠る家

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“脳死”をテーマに医療と制度、家族の現実が描き出される作品

人魚の眠る家 (幻冬舎)

~あらすじ~

播磨薫子は、夫の浮気が原因で別居状態。幼い2人の子どもと一緒に暮らしています。

ある日、薫子が有名私立小学校の面接の練習に行っているときに、娘の瑞穂が溺れて意識不明だという電話が入ります。そして、瑞穂は脳死の可能性があると告げられます。

他国では、脳死は死だと認められ、心臓が動いていても治療は打ち切られますが、日本では、臓器提供に同意しない限り、脳死状態でも死は認められず生き続けないといけません。

眠っているように見える瑞穂の姿をみて、薫子は臓器提供を決断できず、月日が流れます……。


【読みどころ】

本書のテーマは「脳死と臓器提供に悩む家族の葛藤」。

私だったら、まるで眠っているように見える自分の子どもの死を決断できるだろうか?臓器提供できるだろうか?と思いながら読みましたが、今でも答えは出ません。

最新の医療技術によって、眠っている娘を生き永らえさせていると、薫子を不気味に思い離れていく周囲の人たちなども描かれ、読んでいて、胸が苦しくてたまらなくなりました。

 

虚ろな十字架

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「死刑制度」について深く考えさせられる1作。

虚ろな十字架 (光文社)

~あらすじ~

小学校2年生の一人娘・愛美を殺された中原道正。母親の小夜子が不在時に、窓を割って侵入した強盗に襲われ残忍な手口で殺害されたのでした。犯人は強盗殺人の罪で無期懲役を受け、仮出所していた蛭川。

道正と小夜子の必死の闘いによって、蛭川は死刑判決となりますが、まったく反省しておらず…。


【読みどころ】

テーマは「死刑廃止論という名の暴力」。

強盗殺人の罪を起こした蛭川が死刑になっていれば、愛美は殺されることはありませんでした。
真の意味での償いとは何なのか、反省していない加害者の死刑に意味はあるのか、死刑が果たされた時に被害者は何を目的に生きればいいのか……など、死刑制度について深く考えさせられる一冊です。

 

殺人の門

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「人を殺す」とはどういうことか。主人公の目を通して考えさせられる作品

殺人の門 (角川文庫)

~あらすじ~

主人公の田島和幸は、裕福な家庭に生まれ暮らしていましたが、祖母の死をきっかけに家庭が崩壊し、不幸の道を辿ります。

不幸になる時には、必ず1人の男の姿がありました。それは、小学校の時の同級生・倉持修。

田島が努力し幸せを掴もうとすると、決まって倉持が姿を現し、田島を奈落に落とします。
田島は自分が不幸になった原因は倉持にあると考え、憎み、殺したいと考えます。……しかし、殺せない。

一方、倉持は、田島を巧みに騙したり、田島を助けたりと、何を考えているかわからない。そんな奇妙な2人の関係が描かれています。


【読みどころ】

タイトルの「殺人の門」とは、「殺人者になる門」を指しています。そう、本書で描かれているテーマは、「人が人を殺すということ」です。

殺したいほど憎い人がいるのに、どうしても殺すことができない。なぜ殺せないのか。どうすれば殺せるんだろうか。殺人者になりたいと20年思い続けた主人公の結末をぜひご覧ください。

 

東野圭吾の「社会派」作品を読んでみよう!

今回紹介した「社会派」の5冊は、どの作品も、自分がその立場に立ったらどうするか?を考えさせられる作品となっています。

ぜひ、東野圭吾さんの多面的な才能に触れてみてくださいね。

 

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ライター

I.Megumi
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。