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またひとつ成長させてくれる。特別な「夏休み」を描いた青春小説


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毎日暑い日が続き、ついに夏本番。学生のみなさんにとっては、楽しみな夏休み。大人にとっても、子供の頃の楽しかった思い出がよみがえる季節でもあるのではないでしょうか。

今回はそんな「夏休み」を舞台にした青春小説をご紹介します。

 

夏の庭―The Friends

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おじいさんと少年の交流を描く名作

♦『夏の庭―The Friends』湯本 香樹実/著、新潮文庫

小学6年生の木山と河辺は、ある日、同級生の山下からおばあさんのお葬式の話を聞き「死ぬということがどういうことかを知りたい」という興味を抱くようになります。3人は、古い木造の平屋に、もうじき死んでしまいそうなおじいさんが住んでいることを知り、そのおじいさんが死ぬところを見ようと、毎日観察しはじめます。

塀に隠れておじいさんを見張ったり、コンビニへ行くのを尾行したりしているうちに、ついにおじいさんに見つかってしまう3人。それから、おじいさんは3人にいろいろな用事を言いつけるようになります。洗濯物を干したり、雑草を抜いたり…。やがて3人は、おじいさんと交流を深め、その人生を知ることになります。

3人は、それぞれ難しい家庭環境や、将来への悩み、朧げな死というものへの不安や恐怖を抱えています。そして、おじいさんとの交流によって、死ぬということ、生きるということを考え始めるのです。少年たちの純粋さとその成長を描いた、夏にぴったりの爽やかな物語です。

 

サマー/タイム/トラベラー

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タイムトラベルの能力を獲得した幼馴染み。彼女の能力をめぐって起こる事件とは。

♦『サマー/タイム/トラベラー』新城 カズマ/著、早川書房

人口20万人弱の地方都市・辺里市に住む卓人は、偏差値70の名門・県立美原高校に通う高校1年生。

夏休み直前のマラソン大会で、幼馴染みの悠有がゴール直前でパッと消え、ゴールテープの向こうに突然現れるという事件が起きます。突然、タイムトラベルの能力を獲得してしまった悠有。

卓人と悠有、そして2人の友人の饗子、涼、コージンの5人は、夏休みの間、悠有のタイムトラベルの能力を分析し、開発するプロジェクトを始めます。実験を重ね、能力について知ってゆくうち、悠有は、タイムトラベルを役に立つことに使いたいと考え始めるようになります。

一方、辺里市では、商店街に連続放火魔が発生していました。そして、悠有の家には放火魔と思われる人物からの脅迫状が届くようになります。

悠有のタイムトラベルの能力が巻き起こす事件、そしてその事件の果てに5人が選び取る「未来」とは。悠有を囲む天才少年少女たちの難解な会話、事件をめぐる彼らの奮闘。思わず一気読みしてしまうパワーを持った青春SF小説です。

 

八月の博物館

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過去にも未来にも行ける不思議なミュージアムの冒険

♦『八月の博物館』瀬名 秀明/著、角川書店

小説家である「私」は、小学6年生の夏休みに体験した出来事を小説にすることに決めます。

小学6年生のトオルは、小説を書くのが好きな男の子。終業式の日、トオルは帰り道の途中で不思議な博物館に迷い込み、美宇という少女とその父親・満月博士に出会います。美宇は、ここは「ミュージアムを展示するミュージアム」だと告げます。過去や未来に存在した、あらゆるミュージアムを見て回ることのできる場所だと。

美宇と満月博士の目的は、エジプト考古学者・マリエットのノートと日記の再生でした。トオルはその目的のために選ばれたのです。ミュージアムを通して過去へ飛ぶうち、トオルと美宇は封印されていたアピスの呪いを解いてしまいます。アピスの暴走は、この物語を書いている小説家の「私」の世界にまで及び始め…。

パラサイト・イヴ」などのヒット作を持つ瀬名秀明さんによる、小学生のひと夏の冒険を描いた青春小説。物語の後半で、トオルと美宇の手に汗握る冒険と、小説家である「私」自身の世界が交差していく様子は圧巻です。ワクワクしながら読み進めることができます。

 

色即ぜねれいしょん

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これぞ男子高校生! 青春の鬱屈とひと夏の体験

♦『色即ぜねれいしょん』みうら じゅん/著、光文社

仏教高校に通う男子高校生の乾純、通称”イヌ”は、ギターを弾くのが好きな、ボブ・ディランに憧れる青少年。しかし彼は、不良にも優等生にもなれない、文科系で童貞の冴えない自分にコンプレックスを抱いていました。

イヌはある日、中学時代からの同級生・池山と伊部に、夏休みに隠岐島へ旅行に行かないかと誘われます。なんでも、その島にあるユース・ホステルに集まってくる女は、みんなフリーセックス主義者なのだとか。期待と不安に胸を膨らませながらやってきた隠岐島で、イヌは、長い髪でタンクトップ姿の女性・オリーブに出会います。

コンプレックスと煩悩で頭がいっぱいの、男子高校生の青春がコミカルに描かれます。おバカな妄想が先走ったり、見栄を張ってみたりと、青臭いところに妙に共感してしまいます。青春時代を思い出したい男性はもちろん、女性も「男子高校生ってこんな感じなんだ」と興味深く読むことができることでしょう。

 

「夏休み」の特別感を思い出す青春小説

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学校を離れて過ごす「夏休み」は、いつも何か特別な体験ができそうな感じがしませんでしたか? 今回ご紹介した本は、どれも、夏休みの特別な体験を通し、子供たちが成長していくまっすぐな青春ストーリー。暑い夏の午後にぴったりの本ばかりです。

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ライター

ラッテ
3度の飯より本が好き。興味のおもむくままに、いろいろな分野の本を読んでいます。特によく読むジャンルは、IT、美術、語学、旅行、インテリア、漫画など。本好きが高じて、書店員をしていたこともあります。