特別な「夏休み」を描いた青春小説|あなたをきっと成長させてくれる
更新日:2016/7/13
暑い日が続き、ついに夏本番。
今回は、「夏休み」を舞台にした青春小説をご紹介します。
『夏の庭 The Friends』
『夏の庭 The Friends』
湯本香樹実(著)、新潮社
同級生の山下から、おばあさんのお葬式について聞いた小学6年生の木山と河辺。そして3人は、「死ぬということがどういうことかを知りたい」と興味を抱くようになります。
もうじき死んでしまいそうなおじいさんが、古い木造の平屋にいるらしい――。3人は、そのおじいさんが死ぬところを見ようと、毎日観察しはじめました。
しかし、ついに3人はおじいさんに見つかってしまいます。
おじいさんと少年の交流を描く名作
おじいさんのことを観察していた3人の小学生と、おじいさんの交流が描かれる『夏の庭 The Friends』。
3人それぞれが、難しい家庭環境や、将来への悩み、朧げな「死」への不安や恐怖を抱えています。
しかし、おじいさんと過ごすうちに、人生について知ることになるのです。そして、死ぬということ、生きるということを考え始めることに……。
少年たちの純粋さとその成長を描いた、夏にぴったりの爽やかな物語です。
『サマー/タイム/トラベラー』
『サマー/タイム/トラベラー』
新城カズマ(著)、早川書房
人口20万人弱の地方都市に住む卓人は、偏差値70の名門・県立美原高校に通う高校1年生。
ある夏休み直前のマラソン大会で、幼馴染みの悠有がタイムトラベルの能力を身につけてしまいます。
夏休みの間、卓人と悠有、友人の饗子、涼、コージンの5人は、悠有のタイムトラベルの能力を分析し、開発するプロジェクトを始めることになるのですが……。
タイムトラベルの能力をめぐって起こる事件とは
悠有が身につけた、タイムトラベルの能力が巻き起こす事件について描いた本作。
実験を重ねるうちに、悠有は自分の能力を、誰かの役に立てたいと考え始めるようになります。一方で、街の商店街で連続放火が発生。そしてなんと、悠有の家に放火犯からであろう脅迫状が届きます。
悠有を囲む天才少年少女たちの難解な会話、事件をめぐる彼らの奮闘。思わず一気読みしてしまうパワーを持った青春SF小説です。
『八月の博物館』
『八月の博物館』
瀬名秀明(著)、角川書店ほか
小説家である「私」は、自分が夏休みに体験した出来事を小説にすること。
小学6年生のトオルは、小説を書くのが好きな男の子。終業式の日、トオルは帰り道の途中で不思議な博物館に迷い込み、美宇とその父親である満月博士に出会います。
この博物館が、過去や未来に存在したあらゆるミュージアムを見て回ることのできる場所だと言う美宇。
いったいなぜ、なんのためにトオルは博物館に迷い込んだのか……?
過去にも未来にも行ける不思議なミュージアムの冒険
『パラサイト・イヴ』などのヒット作を持つ瀬名秀明さんによる、小学生のひと夏の冒険を描いた青春小説。
トオルと美宇の手に汗握る冒険と、小説家である「私」自身の世界が交差していく様子は圧巻です。ワクワクしながら読み進めることができますよ。
『色即ぜねれいしょん』
『色即ぜねれいしょん』
みうらじゅん(著)、光文社
男子高校生の乾純(通称:イヌ)は、ギターを弾くのが好きで、ボブ・ディランに憧れる青少年。しかし彼は、不良にも優等生にもなれなず、童貞で冴えない自分にコンプレックスを抱いていました。
ある日、「夏休みに隠岐島へ旅行に行かないか」と同級生に誘われたイヌ。なんでもその島にあるユース・ホステルに集まってくる女は、みんなフリーセックス主義者なのだとか。
期待と不安に胸を膨らませながら隠岐島にやってきたイヌは、オリーブに出会います。
これぞ男子高校生! 青春の鬱屈とひと夏の体験
コンプレックスと煩悩で頭がいっぱいの、男子高校生の青春がコミカルに描かれます。おバカな妄想が先走ったり、見栄を張ってみたりと、青臭いところに妙に共感してしまいます。
青春時代を思い出したい男性はもちろん、女性も「男子高校生ってこんな感じなんだ」と興味深く読むことができることでしょう。
「夏休み」の特別感を思い出す青春小説
学校を離れて過ごす「夏休み」は、いつも何か特別な体験ができそうな感じがしませんでしたか?
今回ご紹介した本は、どれも、夏休みの特別な体験を通し、子供たちが成長していくまっすぐな青春ストーリー。
暑い夏の午後にぴったりの本ばかりです。
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