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長編ばかり読んでない?「短編小説」の魅力と利点


小説といったら、やっぱり長編小説でしょ!? なんて思って、短編小説を敬遠していませんか?

でも、それって実はもったいない!今回は短編小説の利点、そして魅力をご紹介していきたいと思います。

 

短編小説ってどんなもの?

理由はとくにないけど、なんとなく短編小説って苦手かも……と思ったことはありませんか?
まずは短編小説とはいったいどんなものを指すのかをみてみましょう。

長編小説、短編小説にこれといった定義は存在せず、おおまかな基準として、原稿の量で区分されているといったところです。
目安として短編小説は主に、原稿用紙10枚から80枚で構成されるものを指します。文字数換算すると、原稿用紙は1枚400字なので4,000から32,000字ということになります。

長編小説と呼ばれるものは、大体原稿用紙200枚から300枚で構成されます。比べると、文字数換算するまでもなく短編小説がとても短いものであることがわかると思います。
辞書(大辞林)の定義をみると、内容的には「主題が明確で、緊密な構成の作品が多い」とあります。

 

短編小説の利点

短編小説は、その多くが短編集という形で発売されます。これは、短編小説ならではの大きな利点といえます。1冊で7~10のお話を読むことができるというのは、同じ値段の長編小説を買うのと比べるとチョットお得な感じがしませんか?

また、短編小説を集めた短編集は、1人の作家さんが書く作品集だけではありません。1つの主題を複数の作家さんが描いて1冊にまとめた短編集もあるのです。

こういったオムニバス形式の短編集は、作品や、作家さんの比較をすることができます。なので、自分の好みの物語のタイプや、作家さんを探すのにとっても役に立つのです。

また、コンパクトな物語ばかりなので、通勤通学などといったわずかな隙間時間でも読め、時間を有効活用できますね。

 

短編小説の魅力

前述したとおり、長編小説には制約は存在しませんが、短編小説には“字数制限”があります。短編小説の魅力の一つは、この制約の中でいかに物語を描き切るかという点にあります。

もし自由な長編小説に慣れてしまっていると、短編小説の特徴をやや窮屈に、物足りなく感じてしまうことがあるかもしれません。でも「あえて描かない」、ということで表現している点も短編小説の大きな魅力なのです。

物語の中で描かれていないところからは、ありとあらゆる可能性を感じることができるので、いくらでも物語を広げていくことが可能です。

また描かれない部分を、のんびりと目を閉じて考えてみたりすることは、自分の内面を整理することに大いに役立ちます。
ちょっと疲れが溜まってしまったときや、心がささくれ立ってしまったときには、力強い味方になってくれるはずです。

少々、難解な面も兼ね備えている短編小説ではありますが、苦手だと感じてしまう部分はおそらく短編小説ならではの魅力です。

苦手だという意識は一度閉まってみて、真っ白な気持ちで短編小説と向き合ってみてはいかがでしょうか。

 

おすすめ短編小説

上記では「短編小説」についてのお話をさせていただきましたので、ここからはお勧めの短編集をご紹介していきます。

◆『きみはポラリス

(三浦しをん、新潮文庫)

11作からなるこの短編集は、甘く切なくそして苦しい恋を描いた物語たちです。

同性愛、偏愛、片思い、三角関係、純愛と、描かれる恋は多種多様。
誰かを愛したときに輝くものとは一体なんだろう?きっとお気に入りの物語に出会える、そんな短編集です。ぜひ、お手に取ってみてください。

 

◆『とかげ

(よしもとばなな、新潮文庫)

「秘密があるの」。それは私が衝動的にしたプロポーズに対して、とかげが返した言葉だった。心に消えない傷を抱えて生きてきたカップルの静かな再生の物語。(表題作『とかげ』)

『とかげ』と他5編が織りなす、ゆったりとした癒しの時間が紡ぐ物語たちです。

 

◆『つめたいよるに

(江國香織、新潮文庫)

デビュー作「桃子」をはじめとする21作が収録された豪華な短編集です。

センター試験の問題となり、何人もの受験生の涙を誘った「デューク」、父親と息子の不思議な出会いと別れを描いた「草之丞の話」など。
「つめたいよる」もなんだかあたたかく感じてしまうような物語がたくさん詰まった短編集です。

 

◆『チルドレン

(伊坂幸太郎、講談社文庫)

独自の正義感で突っ走る、けれども憎めないトンデモ男・陣内と、そんな彼に振り回される個性豊かな友人たち。そんな彼らのいつもどおりの日常に、突然起こる不思議で愉快な事件の数々。
それぞれが独立した短編でありながら、すべてが繋がったときに露わになるもう1つの物語とは――。

 

◆『100万分の1回のねこ

(谷川俊太郎他、講談社)

絵本『100万回生きたねこ』に捧げる超豪華短編集。

参加した作家さんたちは、絵本作家・佐野洋子さんの旦那さんでもある谷川俊太郎さん、江國香織さん、綿矢りささん、川上弘美さん、広瀬弦さん、岩瀬成子さん、くどうなおこさん、井上荒野さん、角田光代さん、町田康さん、今江祥智さん、唯野未歩子さん、山田詠美さんの13名。

昔読んだ絵本の記憶と共に、それぞれの世界に旅をしてみませんか? 絵本を読んだことがない人でも十分に楽しめる作品です。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。忙しくて時間がないときでも手軽に読める、それが短編小説です。ぜひともお気に入りの短編小説を見つけてみてくださいね。

 

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