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SF初心者におすすめ!読み味がライトなSF小説3選


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オーバーテクノロジー、宇宙戦争、近未来のユートピアまたはディストピアなどなど。
SF小説と聞くと、そういった壮大な設定や重厚な世界観を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

そういった部分はSF好きにはたまらない部分です。わたしもハインラインやヴォネガットなどが書く重厚なSFが大好きです。ただ、普段SFを触れない方にとっては、その重厚さや壮大さが敬遠の原因になってしまうのかもしれません。

ただ、それを理由にSFを敬遠してしまうのは非常にもったいない!
というのもSFの中には非常に読みやすく、普段SFにほとんど触れない方でも楽しめるような傑作がいくつもあるからです。

まずはそういった読みやすい作品から読んでみてはどうでしょう。そこでここでは、読み味の軽い傑作SF小説を三作紹介していきます。

 

『パラドックス13』 / 東野圭吾

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~あらすじ~
日本時間の3月13日午後1時13分13秒から13秒間、地球をP-13現象が襲います。P-13現象が起こっている間、絶対に事故や大事件は起こしてはならないのこと。一体P-13現象とはなんのか。それを知っているのは、政府の重鎮とその他一部の者たちだけ。

そんな折、宝石強盗を追っていた警察の冬樹は、捜査中に犯人に撃たれます。その時、時刻は3月13日1時13分――。

冬樹が、次に目を覚ますとそこはひと気のない崩壊した東京でした。自分は一体どうなってしまったのか。東京は一体どうなってしまったのか。崩壊した東京を彷徨っていると、他にもこの場所にやってきた人間がいることが判明します。

冬樹らは崩壊した東京で、力を合わせて生き延びようとします。そしてやがて明かされるP-13現象の正体。そこには驚愕の真実が――。


 登場人物の書きわけが素晴らしいSF小説

本作はP-13現象という謎の現象を軸に描いたSF 作品です。P-13現象が一体なんなのか具体的に明かされないまま話は展開していきます。

崩壊した東京で生きて行こうとする様はまるでサバイバル小説。問題が次から次へと浮上し、ページをめくる手が止まらなくなります。

こういった面白い設定や展開も見事ですが、これらをより面白くしているのは登場人物です。崩壊した東京にやってきた老若男女。各人それぞれが「地に足のついた人間」として描かれています。作り物めいた人物ではなく、そのキャラが生きてきた人生が透けて見えるような、そんな描かれた方をしているのです。それは読んでいて「あー、こういう奴っているよね」と読者に思わせるような。

SF的な設定も誰にでもわかるような読みやすい文体で書かれているため、さらりと読むことができます。

SF小説初心者におすすめの一作です。

■『パラドックス13』 / 東野圭吾(著)、講談社文庫

 

『涼宮ハルヒの憂鬱』 / 谷川流

~あらすじ~
特筆すべき個性のない普通の少年のキョン。彼は高校に入学すると、涼宮ハルヒという美少女と出会います。その彼女はひどくエキセントリック。彼女の入学直後の自己紹介は以下の通りです。

「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところまで来なさい。以上」(p11)

そんな涼宮ハルヒと席が近かったという理由で話すようになったキョンはある日、涼宮ハルヒと共に、「SOS団」なるこの世の不思議を探す組織を作ります。

この世に不思議なことはないと15年の人生で悟っていたキョンの前に現れる不思議な人と不思議な現象。それらに巻き込まれ、キョンの日常は次第に非日常へと変わっていきます。


ライトノベルの傑作

軽妙な語り口や大仰なキャラクターなどなど、本作はライトノベルの魅力や特徴が随所に出ています。変わった部活を作って楽しい青春を送るというのは、ライトノベルではよくある話ですが、本作はそこにとどまりません。

多くを語るとどうしてもネタばれになってしまうので、深くは言えませんが、この作品のすごいところは設定にあります。涼宮ハルヒを中心とした異様な環境。そのあたりのSF的設定はとにかく秀逸の一言。
ただその設定も、日常の中にある些細な非日常の範疇に収まるものであるため、壮大になりすぎず、誰にでも気軽に物語に入っていくことができます。

ライトノベルという若年層向けの媒体で発表されている本作。文章も読みやすく、SF初心者におすすめの一作となっています。

■『涼宮ハルヒの憂鬱』 / 谷川流(著)、角川スニーカー文庫
■「涼宮ハルヒ」シリーズ

 

『スメル男』 / 原田宗典

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~あらすじ~
突如、東京中の人間が嘔吐するようなとてつもない悪臭を放ちはじめる「僕」の体。「僕」の体に一体なにが起こっているのか。なぜ、こんな悪臭がするようになってしまったのか。「僕」はそこで自分が異臭を放つようになってしまった原因を追っていきます。

その先に見えてきたのは一つの製薬会社。そこで、知ることとなる製薬会社の怪しげな研究。「僕」は自分の異臭をとめるため、製薬会社の悪事を暴くため、そして愛する人を守るために立ち上がります。


コミカルな話と思いきや……

周辺住民が避難するほどの悪臭を放つ体臭。そのあまりに大きすぎる問題は、異臭を放つ本人とってはひどく切実な問題なのかもしれませんが、傍から見るとどこか笑えます。

序盤はこれらがコミカルに描かれていて、思わずにやりとさせられます。ただ、次第に明かされていくSF的な設定は、しっかりと練られていて、思わず考えさせられます。そして終盤に訪れる決戦。そこには、序盤からは想像することができない熱い展開と感動がまっています。

「におい」という文字媒体で伝えることが困難な部分をユーモアあふれる筆致で見事に描きった本作。コメディとシリアスのバランスが良く非常に読みやすいのが特徴です。SFとしてもよくできていて、一級品のエンターテインメント作品となっています。

■『スメル男』 / 原田宗典(著)、講談社文庫

 

まとめ

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マニアックなイメージを持たれがちなSF。しかし、上述した作品のように多くの人が楽しめる作品も数多くあります。
読書の幅を増やすことは、楽しめる作品を増やすことでもあります。食わず嫌いせずに、まずは一作手にとってみてはいかがでしょうか。

 

ライター

ツナシ
青春小説とミステリー小説が好きな20代。ライトノベルから純文学まで読みますが、浅く広くといった感じです。小説は読むのも好きですが書くのも好きです。 先日某小説新人賞を賜り、現在出版に向けて作業中。