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辻村深月のおすすめ著書と読む順番


3年連続で本屋大賞に作品をノミネートさせている作家の辻村深月さん。

今回は、「辻村深月さんの作品は、どんな順番で読んでいくといいの?」という疑問の解消など、辻村深月さんの作品をもっと楽しく読む方法をご紹介していきたいと思います。

 

辻村深月ワールドとは?

辻村深月さんは、山梨県出身の作家さんです。
2004年に『冷たい校舎の時は止まる』(講談社)で、メフィスト賞を受賞し作家としての一歩を歩みだします。デビュー以来、数多くの賞を受賞しており2012年には『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞しています。

 

辻村深月さんの描く作品には、たびたび《同一人物》が登場します。
どの作品も単独で読んでも十分に楽しめる内容ではあるのですが、作品によっては「あれを先に読んでおけばよかったかな」とか、「印象が変わったかもしれない」なんて思うこともあるかもしれません……。

そこで、3つの作品を入り口として、そこから作品を読んでいくお勧めの順番をご紹介していきたいと思います。

 

おすすめはこれ!コース別の「読む順番」

■その1『冷たい校舎の時は止まる』コース

1.『冷たい校舎の時は止まる』(講談社文庫)

いつも通りに登校したはずの8人のクラスメイトをまっていたのは雪に包まれた校舎の姿。
いつまでたっても姿を見せないほかのクラスメイトに担任の教師。帰ろうとしても、出口という出口は片っ端から閉められていて出ることができなくなっている。校舎に閉じ込められてしまった彼らの頭をよぎるのは、2か月前に自殺したクラスメイトのこと。
けれども、どうしても思い出すことができない。彼らを待ち受ける運命は……?

 

2.『ロードムービー』(講談社文庫)

『冷たい校舎の時は止まる』で描かれたあの日、時間の止まった冷たい校舎で特別な体験をした彼らが歩んだ”その後”とはいったいどんなものだったのか……。
どの短編から読んでも楽しめますよ。

 

3.『光待つ場所へ』(講談社文庫)

「しあわせのこみち」「アスファルト」「冷たい光の通学路」で描かれる人物たちは、『ロードムービー』では再会が出来なかった仲間たちの物語が描かれる短編集です。
この3つの短編はロードムービー収録作品とともに読むことをお勧めします。

 

■その2『子どもたちは夜と遊ぶ』コース

1.『子どもたちは夜と遊ぶ』(講談社文庫)

事件の始まりは、受験を控えた高校生の失踪だった。謎の事件で世間が騒然とするなか、木村浅葱だけはその真実を知り、人知れず謎の存在「i」の姿を追い求めていく。
狐塚や月子、恭司らと送るにぎやかでたのしい日常がみせる光と「i」が魅せる闇。その先で、浅葱がついに見つける真実とは。

大人になりきれない子供の悲痛な叫びと、届かなかった愛が織りなす最悪な結末は私たちに何を訴えるのか。真実を知ったとき、もう一度読みたくなる物語です。

 

2.『本日は大安なり』(角川文庫)

大安の日の結婚式場の一日はとにかく大忙し!行われるのは4組のカップルの結婚式だけど、なんだかそれぞれ訳ありで……!?果たして結婚式は無事成功するのか?ドタバタ結婚式の結末はいかに。『子どもたち』を読んでいるとわかっちゃう2人組が…登場するとかしないとか?

2012年にはNHKでドラマ化された作品です。ぜひ、お手に取って見てください。

 

3.『ぼくのメジャースプーン』(講談社文庫)

可愛がっていたウサギが、暴力の限りを尽くされ殺された。ショックを受けたふみちゃんは、心を閉ざし言葉を失くしてしまう。大事な友達のため、大事な人のために、小さな「僕」の、「僕」にしかできない復讐が始まる。

果たして、「僕」はふみちゃんの心を開き、言葉を取り返すことができるのか。いつか不思議に思った言葉の一節の謎が解けたり、彼と彼女の元気な姿に出会うこともできるかもしれない……?

誰かを思うことのすばらしさを教えてくれるような、優しい物語です。

 

4.『名前探しの放課後』(講談社文庫)

「誰か」が自殺した。藤見高校に通う1年生の依田いつかは、ある日、「誰か」が自殺する3か月前の日常に戻ってしまう。3か月後に自殺するのはいったい誰か、命を救うための放課後がはじまる。

いつかとともに、「誰か」を探す友人たちにみる懐かしい面影。高校生のときの自分を思い出しながら読んでいくと、懐かしいようでくすぐったいような感覚もともに味わえるかもしれない青春ミステリー小説です。

 

■その3『凍りのくじら』コース

1.『凍りのくじら』(講談社文庫)

写真家の父がある日突然姿を消してから、5年が経った。理帆子は、大好きな藤子・F・不二雄の言葉をもじって、「スコシ・ナントカ」と物事を斜めに見がち。でも、夏のある日に図書館で「写真を撮らせてほしい」と言った青年との出会いで彼女の運命の歯車は大きく動き出す。
やがて、ものごとを「スコシ・ナントカ」で捉えることは難しくなっていき……?

散りばめられたものたちがつながったとき、包む空気は温度を変える。時空を超えた愛の物語です。そして、ちょっとドラえもんが読みたくなるそんなお話です。

 

2.『スロウハイツの神様』(講談社文庫)

スロウハイツには、脚本家の赤羽環、人気作家のチヨダ・コーキ、友人たち(芸術家の卵たち)が住んでいて、切磋琢磨しながら楽しい日常を送っていた。空室201号室が埋まるまでは…。
201号室の新たな住人・莉々亜が登場することで、大きく変わりだすスロウハイツでの生活。そして、徐々に明らかになっていく10年前の事件と、その裏で紡がれていた優しく切ない物語の真相がわかったとき、きっと心が温まります。

 

3.『光待つ場所へ』(講談社文庫)

本作収録の「チハラトーコの物語」で語られる、彼女の真実。嫌いだった彼女もきっと好きになれる。
さらに、深みを与えてくれる「スロウハイツ」の別の物語です。

 

4.『V.T.R.』(講談社文庫)

辻村ワールドでの人気作家チヨダ・コーキ。彼の描く物語を読むことができます。チヨダ・コーキが気になるかも……と思った人、必見です。

 

辻村深月作品の絡まり合う物語と登場人物

3つの入り口、と称して紹介してきましたが、2番目の『子どもたちは夜と遊ぶ』コースの作品と、3番目の『氷のくじら』コースの作品は絡まりあっていきます。

いろんな作品を読んでリンクを発見してみて、作品を超えたちょっと不思議な世界観に浸ってみてはいかがでしょうか。

> 辻村深月作品をもっと見る

 

ライター

BENCHAMIN
好きな作家さんは、江國香織さん、よしもとばななさん、梨木果歩さん。ジャンルは問わず雑食です。古書店街付近に生きる文学少女の端くれです。どうぞよろしくお願いします。