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「奇妙な味」とは?奇妙な味のおすすめミステリー小説|モヤモヤするほどクセになる!


更新日:2019/3/8

「奇妙な味」とは?奇妙な味のおすすめミステリー小説

ミステリーの中のジャンルのひとつといわれる、「奇妙な味」の小説を知っていますか?

「え、味がする小説なんてあるの?」と思った方も多いのではないでしょうか。味とはいっても、本当に甘みや辛みなどを感じるわけではありません。

では、奇妙な味の小説とはいったいどんな作品なのでしょうか?

奇妙な味の解説と、あわせて奇妙な味のするおすすめ小説をご紹介します。

 

「奇妙な味」とは?

「奇妙な味」とは?

一般的にミステリー小説といえば、何かの謎を解いていくことが大まかな流れです。
しかし、謎解きばかりがミステリー小説ではありません。なかには、謎解きがメインでないミステリーのジャンルもあります。

その1つが、「奇妙な味」ともいわれるミステリージャンルです。

この「奇妙な味」という表現は、「明智小五郎シリーズ」で知られる日本のミステリー作家・江戸川乱歩によって生み出されたもの。
ミステリーでありながら、登場人物やストーリーがなんとも不気味であり、モヤモヤが残るような作品を指します。

ただし奇妙な味の小説は、SF小説や怪奇小説には当てはまりません。より日常に近い状態を不気味に描いているのが特徴です。

 

それでは、奇妙な味の小説にはどのようなものがあるのでしょうか? おすすめの5作品を紹介します。

 

『ナポレオン狂』

『ナポレオン狂』表紙

ナポレオン狂
阿刀田高(著)、講談社

第81回直木賞を受賞した本作は、タイトルにもなっている「ナポレオン狂」はじめ、「来訪者」「蒼空」など、全13作品が収められた短編集です。

 

ナポレオンの生まれ変わりだと信じ込む男、ナポレオンに執着してコレクションを増やす男。もしもこの2人が出会ったら……?
奇想天外の設定からはじまる物語は、なんとも言えない不思議な想いを抱かせます。

短編小説だからといって、ひとつひとつのストーリーがスパッと切れてしまわないのが著者の手腕。最後まで読むことによって、本書の真髄を味わうことができますよ。

ブラックユーモアも特徴的で、風刺的な目線で楽しみたい方にもおすすめです。

 

『特別料理』

『特別料理』表紙

特別料理
スタンリイ・エリン(著)、田中融二(訳)
早川書房

絶品料理をふるまう隠れ家のようなレストラン。そこで提供されるのは、なかなかお目にかかれない特別料理。

そんな特別料理に魅せられた主人公のコスティンは、レストランに頻繁に足を運ぶようになる。しかし特別料理の提供にはある奇妙な出来事が絡んでいた……。

 

タイトルにある「特別料理」のほか、「クリスマス・イヴの凶事」「君にそっくり」など、奇妙な味の短編が詰まった作品です。

どの短編もオチに戦慄が走るような奇妙で不気味な作りになっています。モヤモヤ感をたっぷり味わいたいなら本書は絶対に外せません!

なかにはオチを予想できるお話もありますが、オチを知っていてもなお楽しめるのがこの作品の魅力です。

 

『けだものと超けだもの』

『けだものと超けだもの』表紙

けだものと超けだもの
サキ(著)、和爾桃子(訳)
白水社

当時イギリス領だったミャンマーで生まれ、警察からジャーナリストになり、最後は志願兵となって第一次世界大戦で散った、数奇な人生を送った著者。
そんな著者が生前執筆した短編小説をまとめ、日本語に訳したのが本作です。

 

本作で登場するのは動物人間、または、けだものたち。人間社会を風刺したウィットのきいた物語の数々を楽しむことができます。
ブラックユーモアたっぷり、奇妙な後味を残す短編が続きまよ。

30作品以上が収録された本書は、発表された順に作品が載っているのも注目です。時代背景も合わせて読むとさらに楽しめるでしょう。
ちなみに、表紙の絵を担当しているのは「世界一残酷な絵本作家」といわれるエドワード・ゴーリーです。

 

『銀の仮面』

『銀の仮面』表紙

銀の仮面
ヒュー・ウォルポール(著)、倉阪鬼一郎(訳)
国書刊行会

孤独な中年女性を利用して、少しずつ女性の家を侵食していく侵入者……。まさに奇妙な味を残す「銀の仮面」のほか、10作品が収められた短編集です。

タイトルでもある「銀の仮面」は、推理小説家の江戸川乱歩が、まさに「奇妙な味の傑作だ」といった作品。あまりにも有名な作品になったため、アンソロジーとして他作品に登場することもあります。

 

本作は「銀の仮面」はじめ、著者のウォルポール氏が人間の心の陰日向と怪しさを実に巧妙に描いています。目を凝らせば日常に転がっていそうな気もするからこそ、より怖さと怪しさが引き立ちますよ。

 

『二壜の調味料』

『二壜の調味料』表紙

二壜の調味料
ロード・ダンセイニ(著)、小林晋(訳)
早川書房

頭脳明晰のリンリーと、同居する調味料売りのスメザーズ。大まかなストーリーは、警察からリンリーが依頼を受けて怪事件の謎を解き明かしていく……というものです。

 

26つの短編で構成されている本書。
一見すると、一般的なミステリー小説のように感じますが、事件の根幹が丸裸にされることがないのが作品の特徴です。読めば読むほど味わい深くなるでしょう。

ストーリー自体は、事件を探偵的な目線で追っていくというミステリーの王道的な作品です。そのため、奇妙な味の小説が初めてでも入り込みやすいですよ。

王道ミステリーから、少しわき道に外れたいときにはぜひ。

 

何ともいえない奇妙な気持ちを楽しんでみて

短いストーリーのなかにもウィットのきいた作風を味わえることが魅力の奇妙な味の小説。特に短編作品が多く見られます。

サクッと読めるけれども、わだかまりが残る……なんともいえない気持ちを楽しんでみませんか?