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東野圭吾『秘密』あらすじと内容|重い宿命と苦悩の物語


更新日:2017/8/28

『秘密』表紙

秘密
東野圭吾(著)、文藝春秋

 

『秘密』あらすじ

39歳の杉田平介の妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美が乗ったバスが事故で崖から落ちてしまう。

妻は亡くなり葬儀がとり行われたのだが、その夜に意識を取り戻した藻奈美には、亡くなった直子の魂がのりうつっていた。
誰にも言えない秘密の生活を送ることになった平介だが……。

 

愛した人を2度失う宿命を背負う

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東野圭吾さんの『秘密』は1998年に刊行された小説です。

第120回直木賞、第20回吉川英治文学新人賞などにノミネートされています。1999年には広末涼子さん、小林薫さん主演で映画化されました。
また、2007年にはリュック・ベッソン制作、デヴィッド・ドゥカブニー主演でリメイクされた『秘密 THE SECRET』が公開されました。

高い人気を誇りながら受賞歴がなく、無冠の帝王と呼ばれていた東野圭吾さんにとって初の受賞作であり、映画化されたことで広く世間にその名を知られるようになった記念碑的な作品でもあります。

 

死んだはずの妻が娘の体の中に乗り移って生まれ変わり、再び人生を歩む。見た目は子供なのに中身は大人。ちぐはぐな言動、戸惑い。秘密の暮らしは、平介にとって喜びと苦悩が同居する日々でした。

かつては良き夫、良き父親であったのに、娘の中身が妻になってからは束縛が激しくなっていきます。

「魂の入れ替わり」を題材にした作品は多くあります。
しかし夫婦と親子の愛情、そして「いつか最愛の妻の魂がのりうつった娘を送り出さなければいけない」、つまり、愛した人と2度別れなければいけないという、重すぎる宿命を背負った平介の苦悩が、文中のそこかしこから伝わってきます。

そして、最後に平介が下した決断とは? 胸を締め付けるラストに注目してください。

今回ご紹介した書籍
秘密
東野圭吾(著)、文藝春秋

 

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