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宮部みゆき著『龍は眠る』あらすじ・感想


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龍は眠る
宮部みゆき(著)
新潮社
発売日:1995/01/27

 

 

 

あらすじ

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高坂昭吾は嵐の夜、自転車をパンクさせて困っている少年・稲村慎司と出会う。
超能力を持っていると告白する慎司は、高坂の過去や死亡事故について語るが、慎司のイトコと名乗る織田直也は慎司の超能力を否定する。
どちらが本当のことを言っているのか?やがて高坂と慎司はある事件に巻き込まれ…。

 

能力を持った2人に出会い、事件に巻き込まれていく……。

『理由』で第120回直木三十五賞、『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、『名もなき毒』で第41回吉川英治文学賞を受賞した、ベストセラー作家・宮部みゆきさんの初期の作品です。

この作品は1991年に刊行され、第45回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。1991年「週刊文春ミステリーベスト10」で1位、1992年「このミステリーがすごい」で8位を獲得しています。1994年にはフジテレビ系でテレビドラマ化もされました。

 

本作には二人の超能力者が登場します。一人はこの能力を世の中に役立てたいと考えている慎司。もう一人は、慎司より能力が強いがゆえに辛い経験をし、世の中に絶望している直也。
同じ立場にありながら、正反対を向いている二人との交流を、超能力を持たない一般人である高坂の視点で描いています。

高坂が脅迫、誘拐事件に巻き込まれたことから、高坂と交流があった慎司と直也も脅迫事件と関わりを持っていくことに。
事件の収束に慎司と直也の超能力が関係していることから、純粋な推理小説とは少し違いますが、特殊な能力を持った人物との交流にミステリー要素を加えて物語の世界に引き込む手腕は、さすが宮部さんといったところでしょう。
語り手が高坂なので、高坂の心情や一般人である高坂から見た超能力者二人の苦悩がよく見えます。しかし、真っ暗闇の中にいたような慎司と直也もまた、高坂と出会うことでトンネルの出口を見つけることになるのです。

人の心の動きや成長を描くのが上手な宮部さんらしく、今作でも三者三様の心の成長が描かれます。
高坂の脅迫事件の収束とも重なり、カタルシスを感じられる作品です。

 

今回ご紹介した書籍
龍は眠る
宮部みゆき(著)、新潮社

 

ミステリーをはじめ、時代小説やSF作品など、宮部みゆきの作品を紹介した特集はこちら。