宮部みゆき『ソロモンの偽証』あらすじ・内容|自殺か他殺か、学校内裁判が始まる
更新日:2017/6/22
『ソロモンの偽証』
宮部みゆき(著)、新潮社
『ソロモンの偽証』あらすじ
1人の男子生徒が学校の屋上から落ち、14歳という若さで亡くなった。
自殺として片づけられたものの、後に他殺だったという告発状が届く。自殺か、本当は他殺なのか。事件の全貌を解明するために、生徒たちによって学校内裁判がはじまる。
学校内裁判の行方は……。
「ソロモン」とは、キリスト教の旧約聖書で神に公平な判断のできる心を願った人物のこと。「偽証」とは、偽りの証拠のことです。
タイトルにもあるように、物語は「偽りの証拠を見破って公平な判断をくだす」ということがテーマとなっています。
ポイントは、中学生が主体となって真実を見出していくところ、そして真実を追うなかで絡み合う人間関係です。
登場人物が多いものの、説明箇所を簡潔に、セリフ部分を分かりやすくすることによって、物語の中に入っていきやすい作品となっています。
また、中学生が裁判をするという点が、逆に本作を魅力的にしている要因にもなっているでしょう。
非現実的なシチュエーションの下、中学生たちの大人顔負けの姿に惹かれると言った感想も多く見られました。
なお、著者である宮部みゆきさんは元法律事務所勤務。本作の執筆にあたり、事件なのか過失なのか問われた実際の事件と、模擬の裁判が行われた学校があるということにインスピレーションを得たのだそうです。
作品では中学生を主体に描かれていますが、人間模様や現代社会への疑問に関しては、大人だからこそ読んでおきたいと感じさせる部分も多くあります。
今回ご紹介した書籍
『ソロモンの偽証』
宮部みゆき(著)、新潮社
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