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そんなのってアリ? 開いた口がふさがらない驚愕ミステリー5選


ミステリー小説の中には、そのあまりに大胆な設定や仕掛けに開いた口がふさがらなくなるような衝撃的な作品があります。

ここでは、作品が持つ圧倒的なパワーで、ささいなことを吹き飛ばしてしまうようなそんな魅力を持ったミステリー小説を5作品用意しました。

 

京極夏彦デビュー作
『姑獲鳥の夏』

『姑獲鳥の夏』表紙

姑獲鳥の夏
京極夏彦(著)、講談社

~あらすじ~

久遠寺家には二十箇月、子供を腹に身ごもった女性がいる――そんな噂を耳にした小説家の関口巽は、拝み屋である友人の「京極堂」こと中前寺秋彦を訪ねます。そこで、その噂の真偽について、京極堂に訊ねる関口。すると京極堂は、世の中に不思議なことなどないと言い切ります。

そこで関口は、人の記憶を見ることのできる榎津という探偵と、京極堂の妹敦子と共に久遠寺邸を訪れます。そして久遠寺家にまつわる数々の事件や謎を追っていきます。

 

驚愕のトリック

本作は累計発行部数1000万部を越える「百鬼夜行シリーズ」第一弾で、直木賞作家京極夏彦さんのデビュー作でもあります。

序盤は、京極堂の口からうんちくが延々と語られますが、構成力、筆力共に高く、物語の中にぐいぐいと引き込まれます。そしてそのうんちくが最後に繋がり、物語は驚愕の結末を迎えるのです。

夏の情景を強く喚起する端正な筆致は、それだけで一読の価値があります。

 

超トリッキー作品!
『神のロジック 人間のマジック』

『神のロジック 人間のマジック』表紙

神のロジック 人間のマジック
西澤保彦(著)、文藝春秋

~あらすじ~

とある施設に連れてこられた主人公。自分がいったいなぜ連れてこられたのか、また誰に連れてこられたのか、記憶はあいまい。施設には、主人公の他に何人かの子供がいます。ただ施設の正体は不明。

そんな施設では少し変わったカリキュラムが組まれています。それは例えば、グループで答えを探す推理クイズなど。そういったことから、ここは探偵の養成学校ではないかと推測する子供も現れます。

そんな折、施設で起きる連続殺人。誰が犯人なのか。なぜ殺人が起きるのか。そもそもこの施設はなんなのか。主人公がその謎を追っていきます。

 

唖然とする終盤の展開

本作は「七回死んだ男」や「人格転移の殺人」など、特殊設定ミステリーを数多く発表している西澤保彦さんが描く本格ミステリー。詳しく書くとネタばれになってしまうので、伏せますが、本作もかなりトリッキーな作品となっています。

終盤で明かされる一つの真実。これが明らかになった時、まさに開いた口が塞がらなくなるような衝撃を受けること間違いなしです。

 

赤川次郎初の長編作品
『マリオネットの罠』

『マリオネットの罠』表紙

マリオネットの罠
赤川次郎(著)、文藝春秋

~あらすじ~

峰岸家でフランス語の家庭教師をすることとなった上田修一。教える相手は、二人の美人姉妹。

ある日、その邸宅で地下室を発見した修一は、そこに幽閉されている峰岸家三女の存在を知ります。彼女を助ける修一。しかし、その彼女が外に出た時、新たな連続殺人が発生し――。

 

赤川次郎の初期長編

著作累計3億部を超えるエンターテインメント作家赤川次郎さん。本作は、著者の初期長編作品となっています。

発生する連続殺人。そして迎える驚愕のオチ。本作は発刊されたのが1981年と古い作品ですが、古臭さを感じさせません。謎が謎を呼ぶ展開や終盤に用意された大仕掛けがとにかく見事です。赤川次郎さんの底しれない才能を伺い知ることのできる一作となっています。

 

ミステリーとホラーを味わえる一冊
『向日葵の咲かない夏』

『向日葵の咲かない夏』表紙

向日葵の咲かない夏
道尾秀介(著)、新潮社

~あらすじ~

夏休み前、最後の登校日。主人公のミチオは学校を休んだS君にプリントを届けるため、S君宅を訪れます。するとミチオはそこで、S君の首つり死体を発見してしまいます。ミチオは急いで学校へ戻り、担任の岩村先生にそのことを伝えます。

それから一度家に帰されたミチオ。その後、説明しに来た岩村と刑事から、S君の死体はなかったと言われます。いったい、S君の死体はどこに消えたのか――。

そして一週間後。ミチオの前に蜘蛛の姿になったS君が現れます。蜘蛛のS君は自分は殺されたのだと言います。そこでミチオはS君の殺された謎を妹のミカと共に追っていきます。

 

奇抜な設定と衝撃の結末

本作は累計発行部数100万部を越えているベストセラー作品です。

同級生の少年が蜘蛛となって現れるという少し変わった設定。そこに死体の行方やミチオの複雑な家庭事情が絡んできて、物語は驚愕の結末を迎えます。

その結末には、今まで読んできた物語の全てを根底から覆すような衝撃があります。終始陰惨でダークな雰囲気が漂っている本作。ミステリーでありながら、ホラー小説の趣を持っているようなそんな作品です。

 

これぞ怪作!
『コズミック』

『コズミック』表紙

コズミック
清涼院流水(著)、講談社

~あらすじ~

1994年1月1日。警察庁他各所に犯行予告状がファックスで届きます。送り主は「密室卿」。内容は今年1年で1200個の密室で1200の殺人が起きるといったもの。

1年で1,200人を殺す。それはすなわち1日当たり約3人。そんなことは不可能だと誰もが思った折、全国各地で次々と不可解な密室事件が発生。

犯人の目的は? トリックは? 前代未聞のスケールで描かれる異色のミステリー作品。

 

前例がないと言っても過言ではない怪作!

本作は第2回メフィスト賞受賞作。ちなみにメフィスト賞とは、エンターテインメント系の新人賞で、受賞する作品のどれもが強い個性を持っているというところが特徴です。

そんな個性的なメフィスト賞受賞作の中でも一際異彩を放つ作品が本作『コズミック』。あらすじからも伺える大胆な設定と言葉遊びのちりばめられた軽妙な文体が魅力です。

終盤には、思わず「そんなのってあり?」と声をあげてしまうような展開が待っています。発表当時から問題作として賛否両論があった本作。有名人気作家が集まり、一晩中この作品について語り合ったという伝説もあります。

読んだ人に「賛」か「否」かを訊いて回りたくなるような、そんな作品となっていますよ。

 

驚きのミステリー作品を読もう

上述した5作は、それぞれに違う仕掛けが用意されています。どれも一般的な本格ミステリーとは一線を画すような作品ですが、ミステリー好きなら押さえておきたい作品です。

興味がある方は手にとってみてはいかがでしょうか。