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【閲覧注意】トラウマ絵本!大海赫『ビビを見た!』が忘れられない!


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トラウマ絵本、という響きに惹かれているアオノです、こんにちは。

「トラウマ絵本」で検索していると何度も目に入る本があります。
それが、大海赫さんの『ビビを見た!』でした。

何度も何度も目に入るので、これはおもしろいのでは!?と思い、先日ついに購入しました!

百聞は一見にしかず、とはまさにこのことですね。
一度読んだら忘れられない一冊になりましたので、ご紹介します!

 

『ビビを見た!』はどんなおはなし?

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『ビビを見た』
大海赫(著)、 ブッキング

 

主人公は、生まれつき盲目の少年 ホタル。

ある日ホタルは不思議な声を聞いた。
それは「午後7時までおまえにおもしろいものを見せてやろう」というもの。
ホタルは生まれて初めて目が見えるようになるが、ホタル以外のすべての人が視力を失っていた。

そこへ、町に敵がやってくるという放送があり、人々は町から脱出するため、電車に乗り込んだ。
電車の中でホタルは、緑色の女の子「ビビ」と出会う。

正体不明の敵が襲いくる混乱の中、ホタルの目が見える残り時間は刻々と迫ってきており……

 

『ビビを見た!』がトラウマ絵本と呼ばれる理由

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『ビビを見た!』は、大海赫(おおうみ あかし)さんの著書で、1974年に出版された児童書です。
多くのファンの支持により、2004年に復刊されました。

子どもの頃読んだ本書が忘れられない、という声も多くあったそうです。復刊が熱望されるほど、今もファンが多い本書ですが、なぜトラウマ絵本と呼ばれるのでしょうか?

 

挿絵のインパクトが強い

文章と挿絵、ともに大海さんが書いています。
挿絵はすべて、赤と黒と緑の版画で描かれており、独特の雰囲気がストーリーとマッチしています。

どの挿絵もインパクトが強く、挿絵を見ただけでも怖いと感じられるかもしれません。
実際に、パニックを起こす町の人々の様子や、赤地にたくさんの目が描かれているページは、ぞっとするほど強烈な印象を残します。

しかし大海さんの挿絵は、とても緻密で、美しい版画です。

特に、ビビを描いた緑の鮮やかさや、温かみのある線の強弱は、絵では表現できない、神秘的な美しさがあります。

 

子ども向けとは思えないストーリー

ホタルの目が見えるようになる代わりに、ホタル以外のすべての人が盲目になる、不思議な7時間。そこに正体不明の敵がやってくるという恐怖。

大人の男は電車には乗れず、武器を持って戦えと言われます。目も見えないのに、敵の正体さえ不明なのに。

パニック映画のようなイメージでしょうか。
行き先もわからず、運転手の目が見えるのかも不明のまま、速度だけを上げる電車、そして現れた正体不明の敵によって、たくさんの人が傷つき、命を落としていくのです。

児童書なのに、こんなに人々が恐怖に陥り、こんなにたくさんの人が死ぬなんて……と最初はとてもびっくりしました。

けれども、読んでいくうちに、この本はそんな恐怖や争いを描いた物語ではないことがよくわかります。

 

ファンの多い名作

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今でも年に一度、大海さんとファンの交流会が行われており、その会を「ビビを見た会」と呼ぶそうです。

また、復刻版では作家のよしもとばななさんが、このように解説を書いています。

私の小説が「時が過ぎていくのを惜しむ」というテーマなのは、この本を知ったときの強烈な影響を受けているのだと思います。

よしもとばななさんは10歳の時にはじめて本書を読み、今もずっと大切に持っているそうです。
解説を読むと、本書がどれだけよしもとばななさんに影響をもたらしたのかがわかります。

 

あとがきも必須!

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復刻版の大海さんのあとがきは、本書の解答のようになっており、ビビが意味しているものは何か、そしてホタルの目が見えている7時間がなんだったのかがわかります。

挿絵も同様で、最初の挿絵には胎児が描かれています。

では、最後は何の挿絵があると思いますか?

あとがきを読んで、そのひとつひとつに込められた大海さんの本書に対する想いを感じて、もう一度読んでみるのがおすすめです。
最初に読んだときとは、また違った印象に思えてくるはずです。

 

本当に美しいものとは……?

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ホタルは色を知らないし、母親の顔も知りません。しかしホタルは自分をかわいそうだと思ったことはありません。
ホタルはこう言っています。

「目が見えたって、きれいなものばかり見られるとはかぎらない」

ではわたしたちは本当に美しいものを「見て」いるのでしょうか?

その答えを、本書は、ホタルが見た世界を通じて教えてくれます。

トラウマ絵本と呼ばれていますが、本書が「子ども向けではない」とは言いきれないとわたしは思っています。

子どもの頃『ビビを見た!』を読んでいたなら、わたしは自分の生きるこの世界の見え方が、もう少し変わっていたのではないか、と思うのです。

 

百聞は一見にしかず

トラウマ絵本!として名高い本書を読み始めた時、これは怖いわ!と確かに思いました。
しかし最後まで読むと、なんて美しい物語なんだろう、と思うでしょう。

わたしにとって、確実に忘れられない、宝物のような一冊になりました。

あなたもぜひ、ビビを「見た」ひとりになってください。

 

今回ご紹介した書籍
ビビを見た
大海赫(著)、 ブッキング

 

こわい話の本は苦手でも、読みたくなってしまうこと、ありますよね。
そんなあなたに、おすすめのこわい本、揃ってます……!

ライター

アオノ
アオノ
本と芝居とミュージカルが好き。小説と児童書が特に好きです。週末の楽しみは、劇場へ行くこと。舞台を観るため各地へ飛び回るアラサ―女子です。