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最新!「文化庁メディア芸術祭マンガ部門」受賞作|過去の受賞作もおさらい


更新日:2020/6/22

最新!「文化庁メディア芸術祭マンガ部門」受賞作

アート、エンターテイメント、アニメーション、マンガの4部門において、芸術性と創造性が優れた作品を表彰する祭典「文化庁メディア芸術祭」。

今回のコラムでは、最新のマンガ部門大賞作品をご紹介します。

さらに過去のマンガ部門「大賞」を振り返り、またその中でも特にみなさまに読んでほしい作品をあわせてご紹介します。

 

 

第23回(2020年) マンガ部門 大賞作品
『ロボ・サピエンス前史』

『ロボ・サピエンス前史』表紙

ロボ・サピエンス前史
島田虎之介(著)、講談社

ロボットとヒトが、当たり前に共存している世界。そこに生きる彼らのさまざまな視点で、遠い未来の生活が描かれる――。

 

独特なタッチのイラストと淡々としているのに奥深い物語が、想像力をこれでもかと刺激します。少し難しさもありますが、これからの地球の未来を考えさせられる内容でした。
一見無機質な印象を受けるのに、ヒトとロボットの関係にほろりとくる場面も……。

各話関係ないように見えて繋がりがあることが分かってきます。SF好きには特に一度読んでほしいです。

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第22回(2019年) マンガ部門 大賞作品
『ORIGIN』

『ORIGIN』表紙

ORIGIN
Boichi(著)、講談社

西暦2048年の東京では、大陸横断鉄道によってユーラシア大陸と接続して以降、さまざまなテロや犯罪が起きていた。

夜毎人々を惨殺する謎の存在。この世には、人間ではない何者かが潜んでいるらしい。
さらにこの世には、その何者かを狩る男が存在した。その男の名は、オリジン――。

 

人間ではない何者かの正体は、「父さん」と呼ばれる科学者によって作られた、超高性能なAIが搭載された限りなく人間に近いロボット。

そんなロボットたちを敵対し、人間を守ろうと奔走しているのがオリジン。彼もまたロボットなのでした。
「生きる」という父の遺言を忠実に守ったきたオリジンは、ロボットだとバレないように生活しつつ、人を殺し、目立った動きをするロボットを破壊していきます。

本作は、圧倒的に美しいイラストと、ロボット同士の激しいバトルアクションが見どころ。読み応えも抜群です!

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これまでの「大賞」受賞作品

■第1回(1997年)
マンガ日本の古典
石ノ森章太郎ほか22名

■第2回(1998年)
坂本龍馬
黒鉄ヒロシ(著)、PHP研究所

■第3回(1999年)
アイ’ム ホーム
石坂啓(著)、小学館

■第4回(2000年)
バガボンド
井上雄彦(著)、吉川英治(原作)、講談社

■第5回(2001年)
F氏的日常
福山庸治(著)、河出書房新社

■第6回(2002年)
セクシーボイスアンドロボ
黒田硫黄(著)、小学館

■第7回(2003年)
カジムヌガタイー風が語る沖縄戦―
比嘉慂(著)、講談社

■第8回(2004年)
夕凪の街 桜の国
こうの史代(著)、双葉社

■第9回(2005年)
失踪日記
吾妻ひでお(著)、イースト・プレス

■第10回(2006年)
太陽の黙示録
かわぐちかいじ(著)、小学館

■第11回(2007年)
モリのアサガオ
郷田マモラ(著)、双葉社

■第12回(2008年)
ピアノの森
一色まこと(著)、講談社

■第13回(2009年)
ヴィンランド・サガ
幸村誠(著)、講談社

■第14回(2010年)
ヒストリエ
岩明均(著)、講談社

■第15回(2011年)
土星マンション
岩岡ヒサエ(著)、小学館

■第16回(2012年)
闇の国々
ブノワ・ペータース、フランソワ・スクイテン(著)、小学館集英社プロダクション

■第17回(2013年)
ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険 Part8―
荒木飛呂彦(著)、集英社

■第18回(2014年)
五色の舟
近藤ようこ(著)、津原泰水(原作)、

■第19回(2015年)
かくかくしかじか
東村アキコ(著)、集英社

■第20回(2017年)
BLUE GIANT
石塚真一(著)、小学館

■第21回(2018年)
ねぇ、ママ
池辺葵(著)、秋田書店

■第22回(2019年)
ORIGIN
Boichi(著)、講談社

■第23回(2020年)
ロボ・サピエンス前史
島田虎之介(著)、講談社

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過去に大賞を受賞したおすすめ作品

作者・東村アキコの自伝漫画!
『かくかくしかじか』

かくかくしかじか

かくかくしかじか
東村アキコ(著)、集英社

自分は絵がうまい。本気でうぬぼれていた林明子(高3)は竹刀を持った絵画教師・日高先生に罵られ…!? 少女まんが家を夢みたあの頃を描くドラマチック・メモリーズ!(表紙裏)

 

『東京タラレバ娘』などで知られる東村アキコさんの自伝漫画。

世間知らずで、自信過剰で、“井の中の蛙”の高校生だった主人公が、絵画教室の日高先生に出会うことで、成長していくストーリー。

本書では、高校生時代から、人気漫画家として活躍するまでの「これまで」が描かれています。

受験勉強に明け暮れる高校時代。サボりまくってた大学時代。何をやっても上手くいかず、スランプに陥った時期。故郷のノリで話しかけられるのが鬱陶しくて、故郷の人たちを邪険に扱ってしまう自分。少しずつ故郷の景色を忘れていく自分。

十数年にわたるご自身の経験が、あまりにも赤裸々に描かれているため、苦しくて心が痛む部分もあります。

また、ラストシーンは号泣もの。読み終わった後には、自分の青春を思い出しているはずですよ。

 

奇々怪々、不思議な世界。
『五色の舟』

五色の舟

五色の舟
近藤ようこ(著)、津原泰水(原作)
KADOKAWA

先の見えない戦時にありながら、見世物小屋の一座として糊口をしのぐ、異形の者たちの

家族がいた。未来を言い当てるという怪物「くだん」を一座に加えようとする家族を待つ

運命とは――。(帯)

 

SF作家である津原泰水さんの奇妙・幻想な世界観を、近藤ようこさんが漫画化した1冊。

両足を失った役者の“お父さん”、背が伸びない“昭助“、手がない“和雄”、膝の関節が後ろ前の“清子さん”、1つの体に2つの頭をもって生まれた“桜”。
血のつながりがない5人が家族として、見世物小屋の一座として、たくましく生きていく姿を描いた作品です。

(津原さんは「見世物一座の惨めさではなく、勇気凛々たる特別な5人を描いているのだという矜持があった」とあとがきで語っています)

本書を一言でいうならば「浮世離れした幻想譚」。これまでに読んだことのないような世界観を味わいたい方におすすめの作品です。

 

世界一のジャズプレーヤーになるには。
『BLUE GIANT』

BLUE GIANT

BLUE GIANT
石塚真一(著)、小学館

ジャズに心打たれた高校3年生の宮本 大は、川原でサックスを独り吹き続けている。

雨の日も猛暑の日も毎日毎晩、何年も。

「世界一のジャズプレーヤーになる…!!」

物語は仙台、広瀬川から始まる。(表紙裏)

 

ジャズに魅入られた主人公の大。

「ジャズは感情の音楽なんだ。うれしくても、悲しくても、どんな気持ちも音に込められるんだ」。

独学で吹き続けてきた大の前に、「君にサックスを教える」という男が現れたことをきっかけに、物語は急転していきます。

努力、才能、信念、環境、運……「世界一のジャズプレーヤー」になるには、何が必要なのか?無謀とも言える目標に、真摯に正面から向かい合う姿には、大人になった今でもきっと勇気をもらえるはず。

サックスにまつわる理論なども載っているため、初心者にもおすすめ。家族愛に泣きたい方にもおすすめの1冊です。

 

地上に降りれなくなった世界とは……。
『土星マンション』

土星マンション

土星マンション
岩岡ヒサエ(著)、小学館

地球全体が自然保護区域となり、地上に降りることが許されなくなった時代。

人間は遙か35,000メートル上空のリング状建築物で暮らしていた。

中学卒業と同時に、建築物の窓を拭く仕事に就いた少年・ミツ。

自分の存在と仕事の意味を探して、今、宙へと踏み出した。(表紙裏)

 

地球の周囲を回る、上層・中層・下層の3つに区分された、巨大なリングシステム構造のマンション。

高所得者は上層、低所得者は下層に住む仕組みになっているこのマンションの下層に、主人公のミツは住んでいます。ミツは、いつか地上に降りてみたいという気持ちが捨てられません。

父を亡くしたミツの心の傷が、職場の人たちや仕事の依頼主との触れ合いを通して、回復していく――そんなあたたかな物語です。

仕事をするのが嫌になったとき、前向きな気持ちになりたいとき、非現実的な世界を覗きたくなったとき、ぜひ読んでいただきたい作品です。

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「文化庁メディア芸術祭マンガ部門」の大賞作を読んでみよう

数多くの漫画から選ばれた、由緒ある「大賞」作品たち。読めばきっとあなたの価値観が拡がるはず。ぜひとも手に取ってみてはいかがでしょう。

【おすすめ記事】「マンガ大賞」歴代受賞作品まとめ

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