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漫画家・岡崎京子のおすすめ作品


更新日:2019/1/18

漫画家・岡崎京子のおすすめ作品

1980年代~1990年代のサブカルチャー界を代表する、少女漫画家・岡崎京子さん。1996年に交通事故に遭い、休業して20年以上が経つも、多くのファンから復帰を望まれ、永らく愛されて続けている伝説の漫画家です。

私はリアルタイムで岡崎京子さんの作品に触れていたわけではなく、完全なるフォロワー(後追いのファン)ですが、岡崎さんが描く漫画に魅了されているファンの一人です。

「マンガは文学になった」と評論家に言わしめた岡崎さんの作品たち。今回のコラムでは、岡崎さんの代表的な作品を4作品紹介したいと思います。

 

「綺麗」への欲望に壊れた一人の女
『ヘルタースケルター』

『ヘルタースケルター』表紙

ヘルタースケルター
祥伝社

―あらすじ―

主人公のりりこは、誰もが羨む人気No.1のファッションモデル。しかしその美貌は、全身整形によって作られたものだった。

耳と性器の一部以外は、すべて整形で作られているりりこは、メンテナンスの副作用に苦しみながらも、世間が望む『スター像』を演じる。
ところがある日、ついに全身整形であることが世間に知られてしまうが……?

 

全身整形というタブーな話題を描いた、センセーショナルな作品。岡崎京子さんの作品のなかで、最も有名な一冊と言えるでしょう。

映画化も実現しており、蜷川実花さんが監督をつとめ、沢尻エリカさんが主演したことでも話題にもなりました。

読んでいて心がこんなにも痛いのは……。

スターは私たち一般人の欲望の権化にすぎず、かつ、すぐに飽きてしまい、どんどん忘れていく。欲望だけは変わらずあって、スターの名前が変わっていくだけ。でもスターにはその先の人生がある。その残酷さを改めて思い知らされたからなのかもしれません。

整形以外にも、さまざまなことを考えさせられる一冊ですよ。

 

非現実的だけど、あり得る世界
『リバーズ・エッジ』

『リバーズ・エッジ』表紙

リバーズ・エッジ
宝島社

―あらすじ―

いじめに遭っていた美少年の山田を助けたことをきっかけに、河原にあった腐りかけの死体の存在を知ったハルナ。

死体を「宝物」と呼び、心の拠り所としている山田。死体の存在を知っているモデルのこずえ。彼・彼女たちのいびつな関係は、どこに向かうのか……?

 

殺人、同性愛、いじめ、ドラッグ、摂食障害など、さまざまな社会問題を切り口にした衝撃的な作品。

生と死と欲望が混ざった、思春期。登場人物達は高校生の設定ですが、自身のコンプレックスを忘れるためにそれぞれがとる行動は物哀しいものがあり、読んでいて苦しくなります。

若者ならではのヒリヒリ感。大人になって読むからこそ、得るものは多いはずです。本書はたしかに問題作ではありますが、最後のどんでん返しと驚愕の結末は、ぜひ読んでほしいと思います。

2018年には、二階堂ふみさん主演で映画化も予定されています。ぜひ先取りに読んでみてはいかがでしょう?

 

愛と資本主義に堕ちるユミちゃんの物語
『Pink』

『pink』表紙

Pink
マガジンハウス

―あらすじ―

OLをしながら、夜はホテトル嬢として働いているユミは、1匹のワニと一緒に暮らしていた。父・継母・継母の連れ子の4人家族だが、継母のことを認めていないため一人暮らしをしているのだ。

ある日、継母の愛人と付きあいだしたユミ。それを知った継母はとんでもない行動に出て……。

 

「すべての仕事は売春であり、愛である」というフレーズが有名なこの作品。本書のテーマは愛と資本主義。『Pink』というタイトルは、ユミがピンクが好きで、バラが好きな乙女であることから付けられています。

そのストーリーもさることながら、個人的に印象的だったのは「どうしてあたしはここにいるの?」と自分の存在意義がわからなくなりパニックになるシーン。

ワニを愛でる非現実的な姿が映し出す、まるでおとぎ話のような明るい側面と、不幸で暗い側面が共存している作品と言えるでしょう。からっとした陰鬱さが特徴的で、岡崎さんの真髄とも言える作品です。

 

愛したいのに、愛せない。
『愛の生活』

『愛の生活』表紙

愛の生活
角川書店

―あらすじ―

家賃が払えず夜逃げを図った林屋くんは、あることがきっかけでクラスメイトの桜田の家に転がり込むことに。

そこで、林屋くんは桜田のとある一面を目にすることになる。そう、桜田はおにいちゃんのことが好きで好きで仕方ない妹だったのだ……。

 

兄と妹の間に潜む恋愛感情、というタブーに切り込んだ作品。

見えないふりをしていても、家族であることを意識せざるをえない妹のどうしようもなさには涙が出そうになります。

「この作品のタイトルは「愛の生活」とありますが、正確には「愛したいけれど愛せない人達の生活」、あるいは「愛されたいけれど愛されない人達の生活」、とするべきだったでしょう。何故ならここには誰1人としてきちんと他人を愛する人間が出てこないのですから」と岡崎さんが語るように、岡崎作品のなかでも特に切なさが際立っている作品と言えるでしょう。

これまで紹介した作品よりは衝撃度が低いものの、薄暗い狂気、という表現がぴったりの作品。おすすめです。

 

『チワワちゃん』

『チワワちゃん』表紙

チワワちゃん
KADOKAWA

ーあらすじー

「チワワちゃん」こと千脇良子が、バラバラ死体になって発見された。仲良し男女グループのミキは、チワワちゃんが死んだこと、彼女の本名、そして彼女が看護師だったことをニュースで初めて知る。

チワワちゃんを知る人物たちが、自分の知っているチワワちゃんについて回想するのだが……。

 

表題作含む、7作の短編が詰まっています。

『チワワちゃん』は2019年1月に実写映画化。今再び注目を集めています。

仲間たちが集まり、それぞれがチワワちゃんのことを語り始めるのですが、目の前にいたはずのチワワちゃんのことを誰も知らなかった……というなんとも切ないお話。

どんなに仲が良くても、他人のことを理解するのは難しいのだと考えさせられます。

 

岡崎京子さんの作品たちを読んでみよう

今や伝説の漫画家として知られる岡崎京子さんの作品。ぜひ読んでみて下さいね。

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ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。二児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。