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懐かしきあの時代にタイムスリップ!2000年前後の隠れた名作漫画


更新日:2018/7/31

2000年前後、みなさまはどのような漫画を読まれていましたか?

私は当時中学生。
その頃から漫画が大好きでしたが、友人があまり読んでいなさそうな漫画を好んで購入し、本棚に並べては悦に入っていました。(メジャーな漫画は友人に借りていました)

今思えば、思春期らしい行動であり、懐かしい思い出です。

 

今回のコラムでは、そんな私が当時読んでいた「2000年前後に発売された隠れた名作漫画」を紹介したいと思います。

みなさまも、あの頃にタイムスリップしてみませんか?

 

カネコアツシ『アトミック?』

アトミック?
カネコアツシ(著)、エンターブレイン

カネコ・フリーク熱狂の最新作品集!!(表紙)

 

『BAMBi』など、アウトローな世界設定で知られるカネコアツシさんの短編コミック集。

こちらの作品、一言で言うとぶっ飛んでいます。たとえば、表題作の『アトミック?』は、ヤクザ、麻薬、不良少年、原発がテーマとなっています。そう、一度読めば忘れられない、度肝を抜くような物語が揃っているのです。

また、画風がアメコミ調で、キャラクターはクール、ストーリー構成はアヴァンギャルド。全体的にアーティスティックな仕上がりで、思春期の私にとっては、持っているだけでかっこよく見える作品だったんです。私の中では大ヒットでした。

また、中学生の頃は、カネコアツシさんを知っている同級生が少なく、その点も私の優越心をくすぐりました。

もし、カネコアツシさんの作品を読んだことのない方がいらっしゃったら、一度読んでみてください。色んな意味で驚愕すること間違いありません。

 

由貴香織里『少年残像―Boy’s next door―』

少年残像―Boy’s next door―
由貴香織里(著)、白泉社

連続少年殺人事件の犯人エイドリアンとストリートボーイ・ローレンスの、愛と狂気で綴られた哀しみのクライムストーリー「少年残像」がビッグな加筆で待望の刊行!短編「デビル・インサイド」「WHEN A HEART BEATS」を併録。お楽しみ書き下ろし巻末も見逃せない!(花とゆめコミックス 表紙裏)

 

『天使禁猟区』『赤い羊の刻印』など、ダークファンタジーが有名な由貴香織里さんの短編コミック集。由貴さんお馴染みの、ゴシックな世界の作品です。

思春期の頃、狂気的な純愛に憧れを感じていた私。そのため「このまま、愛し殺してしまえたら、なんて幸せ」「僕の狂った世界の中で、君だけが誰よりも醜くて、君だけが綺麗」「みんな誰だって自分の魂の似姿を求めて生きてる」というようなセリフは非常に印象的だったのです。

中学生というと15年以上昔ですが、今でも一つ一つのシーンが目に焼き付いて離れません。それほど、私にとってはインパクトのある作品でした。

まるで映画を見ているような、非日常的で、耽美的で、繊細な純愛漫画を読みたい方におすすめです。

 

矢沢あい『下弦の月』

下弦の月
矢沢あい(著)、集英社

美月は、ギターでせつない旋律を奏でるアダムと運命的な出会いをする。居心地の悪い家を飛び出し、アダムと暮らし始めた美月だが…。ミステリアス・ラヴァーソウル。(りぼんマスコットコミックス 表紙裏)

 

矢沢あいさんといえば『NANA』『ご近所物語』など、日本を代表する女性漫画家ですが、実はこんな名作も書かれています。

本書のなかで、矢沢さんが「久しぶりに、シリアスなものが描きたくて描きたくて描きたくて……とうとう爆発してしまいました(笑)しばらくの間、おつき合いください」と語られているように、ミステリアスで、ドラマティックで、物悲しいラブストーリーです。

なお、私がこれまでに読んだ漫画の中で、もっとも美しい物語でもあります。まるで映画を見ているようで、感動のあまり涙が止まらなかったことは、今でも鮮明に記憶に残っています。

全3冊と冊数も少なく、ミステリーとしても楽しめる内容に仕上がっていますので、ぜひ、美しい漫画を読みたくなったら手に取ってみてください。

 

ジョージ朝倉『ハッピーエンド』

ハッピーエンド
ジョージ朝倉(著)、講談社

縫製工場で働く元マンガ家・ショーコと、遠く離れた彼女の親友・アキラ。何故かショーコになついてくる同僚のマリエ。自伝出版をもくろむ引きこもり男・ケンジ。

四人を彩る青春の“あのころ”と“これから”を、今最も注目すべきマンガ家・ジョージ朝倉が描ききる“エセ自伝”的オムニバスストーリー!(旧装版 帯)

 

『溺れるナイフ』『恋文日和』などで知られるジョージ朝倉さんの初期のコミック。

この作品、一人一人の事情は暗く重いのですが、とにかく熱気がすごいんです。思春期真っ盛りの私にとって、青春の悪あがきをしている登場人物たちには共感できる点が多く、感情移入しっぱなしでした。

ショーコが縫製工場でつぶやく「たとえばアスファルトの光を見ただけで、中途半端に感傷に浸れる余裕を、贅沢を、何でまだ持ってんの?」という言葉や、ケンジの「オレってそうだっけ? そんなフツーなワケ? オレ何者にもなれないワケ?」のつぶやきなど、叙情的なセリフが当時の私にとっては響いたのです。

そして、このマンガは教えてくれました。「ハッピーエンドは勝ちとるものである」ということを。

300ページというボリュームではありますが、つい一気に読み切ってしまう、勢いのある一冊です。

 

中学生の頃に私の中で大ヒットだった隠れた名作漫画たち

ご存知の作品はありましたでしょうか。

このコラムを書くにあたって、久々に読み返してみましたが、名作漫画はいくつになっても面白いですね! ぜひみなさまも懐かしみながら読んでみてはいかがでしょうか。

 

今回紹介した漫画

アトミック?
カネコアツシ(著)、エンターブレイン

少年残像―Boy’s next door―
由貴香織里(著)、白泉社

下弦の月
矢沢あい(著)、集英社

ハッピーエンド
ジョージ朝倉(著)、講談社