宮脇明子おすすめ漫画|『ヤヌスの鏡』34年ぶり2度目のドラマ化
更新日:2019/8/6
漫画家、宮脇明子さんをご存知ですか?
広島県三原市出身の宮脇さんは、1977年に「あなたはだぁれ?」(『幻想ポロネーズ』収録)で漫画家デビュー。
ホラーやサスペンスを得意としており、人間の暗部に迫る巧みな心理描写や、卓越した画力が大きな魅力です。
代表作は『ヤヌスの鏡』。ドラマ化されたことで話題になりました。なんとこの『ヤヌスの鏡』は34年ぶりにリメイクされ、2019年8月にネット配信されます。
宮脇作品はどの作品も面白いのですが、ここではそのなかでも特におすすめしたい作品をご紹介します。
宮脇明子さんの代表作
『ヤヌスの鏡』
『ヤヌスの鏡』
集英社
厳格な祖母のもとで生きてきた優等生の小沢裕美(ヒロミ)は、幼い頃の自分にそっくりなもう一人の自分「ユミ」の夢を見ます。
ある日親友の純子に口紅を塗られたことで、自分が自分でなくなったような感覚に陥ったヒロミ。夢の中のユミのことを思いだし、もし自分がユミだったらと考えていると――。
『ヤヌスの鏡』は、1981年から1982年にかけて「週刊セブンティーン」で連載されました。
1985年に放送されたドラマでは、杉浦幸(みゆき)さんが主演。2019年のリメイク版では、桜井日奈子さんが主人公を演じます。
本作では、真面目なヒロミと不良少女ユミ、2つの人格を持った主人公が巻き起こす騒動が描かれます。ドラマチックな展開と、衝撃のラストは見逃せませんよ!
事件を次々と解決する謎の美女とは?
『名探偵 保健室のオバさん』
『名探偵 保健室のオバさん』
集英社
「マーガレット」で連載された、宮脇さんのもう1つの代表作『名探偵 保健室のオバさん』。1997年に松雪泰子さん主演でテレビドラマにもなりました。
ひっつめ髪とメガネがトレードマークの白衣の養護教諭、遠山櫻子が主人公。生徒たちには「オバさん」と呼ばれています。
生徒を無理やり保健委員にしてこき使うなど、かなり横暴な櫻子。しかしひとたび学校で事件が起きると、メガネを取って超美人に変身します!
ケンカはもちろん、社交ダンスやエアロビクスなども軽やかにやってのけ、鮮やかに事件を解き明かしていく様は痛快です。
地味な保健室のオバさんと、謎めいた美女とのギャップを楽しめます。その一方で、宮脇作品特有の甘くない人間模様も必見です。
サスペンスホラーの名作
『人魚伝説』
『人魚伝説』
集英社
「人間の肝を食う人魚が棲む」
そんな伝説のある田舎町で暮らすさと子は、洋館に引っ越してきた美少年の遥に惹かれていきます。
そんなある日、さと子と会っていたはずの遥が、崖から落ちて行方不明に。それから3日後、無事に発見された遥はなんだか雰囲気が変わっていて――。
1991年に「マーガレット」に掲載されたのが『人魚伝説』。
行方不明だった遥が見つかってから、町では恐ろしい猟奇事件が起き始めます。
人魚の伝説は本物なのか? 遥は何者なのか? 誰が事件を起こしているのか? など、先の気になる展開が続きます。
伝説と現実が交錯し、読後も夢を見ていたような感覚にさせられる作品です。
老人たちのダンスクラブが舞台!
『黄昏舞踏倶楽部』
『黄昏舞踏倶楽部』
集英社
1996年から1998年に「ぶ~け」に掲載された『黄昏舞踏倶楽部(たそがれダンスクラブ)』。
福祉に興味がないのに福祉学部に通う大学生の渋川育夫が、車の修理代を出してもらう代わりに祖母のダンスクラブ送迎役に。そこで人生の先輩たちと過ごしていくなかで、育夫が自分の進路を見出していく物語です。
平均年齢70歳超えのダンスクラブには、老人狙いの結婚詐欺師、家族を亡くしてようやくダンスを始めた女性など、さまざまな人が集まりいつもにぎやか。
年を重ねることがなんだか楽しみになる作品です。
ミステリアスな彫師が活躍
『墨繍綺譚』
『墨繍綺譚』
集英社
普通の人には見つけられない不思議な刺青の店で、若い白髪の彫師が入れる刺青とは――?
作者にとって久しぶりの執筆作品となった『墨繍綺譚(ぼくしゅうきたん)』。
いじめにあっている女子高生、同棲する恋人に毒を盛る男、我が子を殺した母親など、彫師を通してさまざまな人間が描かれます。
店に辿りつけるのは、死の一歩手前にいる者だけ。彼岸と此岸の間にいることをうかがわせる彫師の指先から、現代に生きる人間の闇が彫り起こされていく展開がクセになります。
緻密に練られたストーリーを楽しみたいならぜひ読んでみてください。
美しくてクールな宮脇作品を読もう
宮脇明子さんのおすすめ作品をご紹介しました。40年以上活動されている宮脇さんですが、美しいイラストと巧みな心理描写は健在です。
ライター:CHIYUKI