泣ける短編小説で涙活|小説を読んでストレス解消しよう!
更新日:2019/1/11
ストレス社会ともいわれる現代。ストレス発散のための適度なガス抜きは必要です。
それでは、ストレス解消のひとつとして「涙活」という言葉をご存じでしょうか?
ここでは、涙活につながる泣ける短編小説を紹介します。
「涙活」とは?
涙活(るいかつ)とは、意図的に涙を流すこと。
感動や悲しみなど、情動により涙を流すことによって、ストレスを解消する効果が期待できるのです。
週に一度でも意識的に涙することで、免疫力が高まるという研究もあります。
泣ける、または感動できる小説のなかでも、短編小説は時間がなくてもサクッと読めるため、涙活にはぴったりといえるでしょう。
それでは、おすすめの作品をご紹介していきます。
青春時代が舞台
『青い鳥』
『青い鳥』
重松清(著)、新潮社
いじめの加害者になった生徒、家庭を知らない生徒など、中学生たちが主人公の連作短編集。
吃音症(きつおんしょう)で、タ行とカ行がうまく言えない村内先生が各話に登場します。先生が教えてくれた本当に大切なこととは……。
誰もが一度は経験した青春時代を舞台にしているからこそ共感でき、ときに考えさせられることでしょう。
読者の心にそっと寄り添ってくれる作品ですよ。村内先生の深い優しさに、涙せずにはいられません。
繊細で美しい世界が魅せる
『銀河鉄道の夜』
『銀河鉄道の夜』
宮沢賢治(著)、角川書店ほか
大きな星座の図を黒板につるし、先生がジョバンニに問いかけた。
突然のことでとっさに言葉が出ないジョバンニを周囲はからかうが、カムパネルラだけは違って……。
『銀河鉄道の夜』はじめ、美しくも儚い話が散りばめられた短編集。
教科書に掲載されることもある作品で、多くの人に愛される宮沢賢治独特の世界と、繊細な心理描写が胸に響く作品です。
大人になってから読み返すと、子供の頃には分からなかったことの意味が分かるようになり、新たな発見もあるでしょう。
さまざまな恋がつづられる
『恋文』
『恋文』
連城三紀彦(著)、新潮社
高いマニキュアを使って窓ガラスに描かれた花吹雪。見るも美しい、でも少し儚げな言葉にならないメッセージを残し、年下の夫は出ていった。
余命残りわずかという昔の彼女を看取るため……。
決してハッピーエンドではないからこそ美しいと思える短編集。表題作の「恋文」は、直木賞を受賞したこともある名作です。
ストーリーだけでなく、言葉のひとつひとつ、表現も独特でどこか遠い印象を与えます。
人間味あふれる作品
『鉄道員(ぽっぽや)』
『鉄道員(ぽっぽや)』
浅田次郎(著)、集英社ほか
北海道本線を外れたローカル線を走る気動車キハ12形は、数ヶ月後には廃線が決まっている。
キハ12形が結ぶ駅、幌舞駅で鉄道員として働く佐藤乙松は、妻と娘に先立たれても変わらず駅に立ち続けていた……。
映画化もされた「鉄道員」をはじめ、「ラブ・レター」「角筈にて」などが収録された短編集。
ノスタルジックで、臨場感あふれるストーリーは共感を誘い、涙を誘います。
駅員を主人公にした「鉄道員」のように、どこかにありそうな話だからこそ、読後は周りを見回してみたくなります。
涙なしには読めない名作ですよ。
子どもから見た家族のカタチ
『卵の緒』
『卵の緒』
瀬尾まいこ(著)、新潮社
小学5年生になる僕は、捨て子だ。そう考えられる理由がいくつもあった。
だから、母さんに直接聞くことにしたのだ。親子の根拠になる、自分のへその緒があるかどうか……。
本作は著者のデビュー作。
自分は捨て子だと思っている小学生の物語「卵の緒」、異母姉弟とその母を描く「7’s blood」の2作、“普通”とは少し違う家族の物語が収められた短編集です。
血の繋がりから見る家族のカタチ。心温まるストーリーが読者を癒やしてくれますよ。
研修医の僕が見た
『祈りのカルテ』
『祈りのカルテ』
知念実希人(著)、KADOKAWA
研修医の良太は、医科大学付属病院の内科や外科など、さまざまな科をまわって研修を重ねていた。
そんなある日、睡眠薬を大量に摂取した女性が救急で運ばれてきて……。
医療現場の日常を描いたミステリー作品。
良太が出くわすさまざまな入院患者の謎が、実際に内科医としても勤務する著者によってリアルに描写されています。
患者一人ひとりが持つ人間味のあるストーリーは、とても優しく温かく、ときに涙を誘うでしょう。
現代アレンジで泣く
『賢者の贈り物』
『賢者の贈り物』
石持浅海(著)、PHP研究所
短編小説の名手オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」をはじめ、「金の携帯 銀の携帯」「玉手箱」など、誰もが一度は聞いたことがあるようなおとぎ話を現代風にアレンジした短編集。
すべての作品に登場する磯風さんという謎の人物にも注目です。
日常に潜むさまざまな「なぜ?」が読者を待ち受けます。なかにはもちろん、涙してしまうような作品も。
古風な話は少しとっつきにくいと感じる人にもおすすめです。
エイリアンと少女の物語
『たったひとつの冴えたやりかた』
『たったひとつの冴えたやりかた』
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア(著)、浅倉久志(訳)
早川書房
頭脳明晰の少女コーティーは、16回目の誕生日に、宇宙旅行ができる小型スペース・クーペを両親からもらう。
憧れの宇宙に飛び立ち、冷凍睡眠から目覚めるコーティー。実はこのときすでに、エイリアンが少女の頭に住み着いていた。
『たったひとつの冴えたやりかた』は、著者の遺作になった作品です。SFにあまり馴染みがない方にも読みやすいと思います。
壮大な宇宙で繰り広げられる少女とエイリアンの話は、突飛したストーリーのように思いますが、彼らの友情や勇気にはさまざまなものを感じます。
必ずハンカチを準備してから読んでくださいね。
さまざまな恋模様が奏でる
『号泣する準備はできていた』
『号泣する準備はできていた』
江國香織(著)、新潮社
表題作をはじめ「じゃこじゃこのビスケット」「手」など、12作の短編で構成された短編集。
大人の恋愛から17歳の恋など、甘くてほろ苦い恋愛が詰まっています。
とても平凡だけれど、大きな出来事は起こらないけれど、迫りくる切なくさ悲しさ。
スッと心に響く作品ばかりです。失恋したあとに読むと、より深く物語を理解できるかもしれません。
家族をみる
『家族シアター』
『家族シアター』
辻村深月(著)、講談社
真面目でダサかった姉を見て、妹の亜季はおしゃれに夢中になった。
しかし、亜季は姉を疎ましく思っていたわけではない。姉の結婚式当日、亜季の席には1通の手紙が置かれていて……。
家族のつながり、家族の大切さを感じさせてくれる作品が詰まった短編集です。
短いストーリーながら、どれも泣ける作品ばかり。自分自身と自分の家族について考えさせられることでしょう。
小説を読んでいっぱい泣こう
青春時代を舞台にしたものから、恋愛もの、家族のつながりがテーマの作品まで、さまざまな泣ける短編小説を紹介しました。
どれも心を動かす作品ばかりです。
なかには30分もしないうちに読める作品もあります。
ぜひいろんな泣ける小説に触れて、涙活をはじめてみてください。
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