会社員あるある!? 会社&お仕事にまつわるミステリー小説がおもしろい!
世の中には、いろんな業界の会社が存在します。ときには、自分の就いている仕事とは違う仕事を覗いてみたくなりませんか?
また、その一方で、業界を問わず、会社員だからこそ共通する事柄があるのも事実。
今回は、会社や仕事にまつわるミステリーを集めました。
異業種の世界を楽しみつつ、会社員のあるあるにニヤリとしてみてはいかがでしょう。
セキュリティ担当は82歳のおばあちゃん!
『御社のデータが流出しています 吹鳴寺籐子のセキュリティチェック』
一田和樹(著)、早川書房
エンタメ企業ソニカのオンラインゲーム顧客データから個人情報が盗まれ、ネットで公開されてしまう。犯人はツイッターで犯行声明を出し、忽然と姿を消した。調査を依頼された82歳のセキュリティ・コンサルタント、吹鳴寺籐子が、「社内の」ネットワークを走査すると…「アンチウイルスソフトを買わせ金を奪う詐欺」「顧客データが暗号化される悲劇」等々、いま会社員が直面する危機と解決法を描き出したIT連作ミステリ。(表紙裏)
セキュリティをテーマにした会社ミステリー。
82歳のおばあちゃんがセキュリティ担当という設定が、まず奇想天外!作中に色々と仕掛けがされており、作品として大変面白いのですが、本書の一番の醍醐味は『教訓になること』。
筆者の一田さんは、インターネットサービスプロバイダの常務取締役という経歴を持つ、ITにおけるスペシャリスト。リアリティある内容に、(セキュリティへの危機感から)背筋が凍る方もいるのではないでしょうか?
楽しくセキュリティを勉強できる一冊となっています。
税金について学べる実用的な一冊
『あいるさん、これは経費ですか? 東京芸能会計事務所』
山田真哉(著)、KADOKAWA
モデルを目指し上京した竜ヶ水隼人。しかし、ある勘違いから東京芸能会計事務所―芸能人のみをクライアントとする会計事務所で働くことになり、美人だが暴走する所長・天王洲あいるにこき使われる日々を過ごしている。ゴーストライターを見破る方法とは?毒舌タレントが突然税理士を変えた理由は?業界の謎を、アイドル税理士と天然青年コンビが解き明かす!楽しく学べる超実用的エンタテインメント、始動!(表紙裏)
税金をテーマにしたお仕事ミステリー。
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?~身近な疑問からはじめる会計学~』が大ブームとなった山田真哉さんの小説シリーズ。
可愛いイラストの表紙なのでライトな作風かと思いきや、内容は本格的!
芸能人専門の会計事務所という設定で読みやすく、かつ、税金にまつわるうんちくもふんだんに盛り込まれており(起こる事件も税金にまつわる内容も)、非常にお得感のある一冊に仕上がっています。
ブラックな会社を描く戦慄のミステリー
『それは経費で落とそう』
吉村達也(著)、集英社
年上の部下と年下の上司、単身赴任先での浮気、領収書のごまかし、人事異動の内示、お偉いさんとの気づまりな会話―。サラリーマンにとって決して避けて通れない身近なテーマ。喜劇と悲劇がつねに紙一重という、綱渡り的会社員生活の日常に潜む、思いもかけない恐怖をリアルに描く。身につまされる笑いのあとに、背筋も凍る戦慄、読みだしたら止まらない興奮の五編。ブラックな会社ミステリー。(表紙裏)
サラリーマンのあるあるを描いた会社ミステリー。
バブル期に書かれた作品なので、もちろん現在と比べて変わっている部分も多く、人によっては当時を懐かしく感じることもあるでしょう(携帯電話が普及していない時代です)。
でも、時代は変わっても、人間の心の動きは今も昔も変わっていません。妬みや羨み、黒い感情……。相当ブラックな内容ですが、サラリーマンは必見の一冊ですよ。
不動産業界のあるある事件
『お客さま、そのクレームにはお応えできません! [小説]不動産屋店長・滝山玲子の事件簿』
三浦展(著)、光文社
滝山玲子(42歳)。独身。職業は不動産屋の店長。仕事の中身はほぼクレーマー対応。「部屋に幽霊が出る!」「トイレットペーパーのホルダーのネジがゆるんだ!」「大家さんにセクハラされた!」…。「もう、いい加減にして!」と叫びたくなるけど、仕事だからガマンガマン―『下流社会』の著者が、豊富な取材を元に初めて挑む「実録」ライトノベル。(表紙裏)
不動産業界のあるあるを集めたお仕事ミステリー。
賃貸業に携わったことがなければ、知り得ないような内容が盛りだくさん。私は恥ずかしながら、不動産の店長の仕事=大半がクレーマー対応ということも知りませんでした。
本書では、ミステリーといっても何か大きな事件が起こるわけではありません。日常にある小さな事件がぎっしりと詰まっています。不動産関係の知識もたくさん出てくるので、業界に興味のある方は必見です!この作品を読むと、不動産業界の大変さをつくづく感じさせられます……。
SF作家が描くサラリーマンの奇妙な体験の物語
『出張の帰途』
眉村卓(著)、祥伝社
出張の帰途、坂田信一はがら空きのローカル線に乗った。明日は休みなので、のんびり帰ればよかった。しばらくして、手帳を忘れたことに気づき、坂田はうろたえた。仕事の記録や予定をびっしり書き込んだ大切な手帳である。あわてて列車を乗り換え、先ほどの駅に舞い戻った。すると、手帳を拾ったらしい若い女が坂田ににじり寄ってきた。それが、恐怖の始まりだった。(「出張の帰途」より)平穏に始まったはずのあなたの一日が、些細なきっかけから恐怖に変わるサスペンス傑作集。(表紙裏)
奇妙な体験をするサラリーマンを描いた会社ミステリー。
サラリーマンとして生きる平凡な自分に嫌気がさしていた主人公。違う自分になりたい……そんな思いを胸に潜めていた矢先、世にも奇妙なことが次々と起こります……。
眉村さんといえば日本を代表するSF作家。内容の奇抜さは一級品です。作中で表現される、サラリーマンあるあるの内容は(ジェネレーションギャップなど)、共感できること間違いなしですよ。
会社・仕事ミステリーを読んでみよう
今回ご紹介した内容は、共感できるだけでなく、教養という観点からもおすすめの作品が多いです。
ぜひ読んでみてくださいね。
今回ご紹介した書籍
『御社のデータが流出しています 吹鳴寺籐子のセキュリティチェック』一田和樹(著)、早川書房
『あいるさん、これは経費ですか? 東京芸能会計事務所』山田真哉(著)、KADOKAWA
『それは経費で落とそう』吉村達也(著)、集英社
『お客さま、そのクレームにはお応えできません! [小説]不動産屋店長・滝山玲子の事件簿』三浦展(著)、光文社
『出張の帰途』眉村卓(著)、祥伝社
音楽業界の仕事を描いた小説はこちら!