東野圭吾『むかし僕が死んだ家』あらすじ・内容|失くした記憶の先にある真実とは?
更新日:2017/8/14
『むかし僕が死んだ家』
東野圭吾(著)、講談社ほか
『むかし僕が死んだ家』あらすじ
「あたしは幼い頃の思い出が全然ないの」かつて別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すために、主人公である「私」は沙也加と山の中にひっそりと建つ「幻の家」を訪れる。
そこで起こった出来事とは?そして2人の真実とは?
自分の過去が偽りだったなら……
『むかし僕が死んだ家』は東野圭吾さんの長編小説です。1994年に刊行されました。
作品が出版された時系列としては『宿命』『変身』『分身』を書いたあとに本書が書かれ、その後に出版されたものに『秘密』『白夜行』『手紙』などがあります。
登場人物は、実質的に主人公である「私」と元恋人の沙也加の2人だけ。そして舞台となるのは2人が「幻の家」と呼ぶ、古びた洋館だけです。
2人は洋館に残されたかつての主人の遺品を頼りに、沙也加の記憶を探し始めます。
過去の記憶を失ったという沙也加。彼女にいったい何があったのか? 多くの謎を解き明かそうとしているうちに、主人公の「私」にも謎があったことがわかります。
本作は残酷なシーンや超常の存在が登場するホラーではありません。しかし、読み終えて「怖かった」という評価が多く見られます。
それは、自分という人間が構成される上で核となるはずの幼い日の記憶がないこと。また、これまで疑うこともなかった自分の過去が偽りであったかもしれないという不安が恐ろしいのかもしれません。
東野さんの作品らしく、随所に伏線が散りばめられ、やがてある人物の存在が明らかになっていきます。
直接的な恐怖ではなく、読み終わると背筋がすっと寒くなるような、じわじわくる恐怖があります。
今回ご紹介した書籍
『むかし僕が死んだ家』
東野圭吾(著)、講談社ほか
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