株も学べるサスペンス!石田衣良著書『波のうえの魔術師』
更新日:2017/7/17
『波のうえの魔術師』
石田衣良(著)、文藝春秋ほか
『波のうえの魔術師』あらすじ
バブル崩壊後の不景気による就職難にあえいでいた白戸則道は、ある事件で知り合った、謎めいた老人・小塚泰造から秘書としてスカウトされる。
彼は、かつて相場の魔術師と呼ばれたディーラーだったのだ。
白戸は、小塚が計画したある銀行への復讐計画に関わることになる。
ドラマ化もされた異色のクライムサスペンス
石田衣良さんの『波のうえの魔術師』は、2001年に刊行されました。
2002年には『ビッグマネー!~浮世の沙汰は株しだい~』というタイトルで、故植木等さん、TOKIOの長瀬智也さん主演でテレビドラマ化されています。
恋愛ものや『池袋ウエストゲートパーク』シリーズのような青春ドラマの著書が多い石田衣良さんですが、『波のうえの魔術師』は、それらとは文体や作風の異なったクライムサスペンスです。
伝説的な投資家である小塚に株のノウハウを教わり、株に夢中になっていく白戸。株の知識がないと少々理解が難しいストーリーですが、小塚が白戸に株のノウハウをレクチャーしていく中で、読者も一緒に覚えていくことができます。
また、小塚や白戸に協力する人々も濃いキャラクター揃いで、人間ドラマも魅力です。
月給25万円で秘書として雇われ、真相がわからないまま小塚が計画した銀行への復讐に加担する白戸。やがて小塚の思いに共感し、2人で協力して5週間かけて罠を仕掛けていくまでが、テンポ良く描かれていきます。
株も学べる復讐劇
過去の因縁にけりをつける復讐劇、金に細かいだけの平凡な青年だった白戸が相場師となるまでの成長物語、株式売買を知るためのビジネス本。この作品を表現する言葉はいくつもあります。
そして、これだけの要素をひとつの小説としてまとめあげた石田さんの筆力に圧倒されるでしょう。
復讐劇として爽快感を楽しむだけでなく、株の知識を学んだ充足感も得られるはずです。
今回ご紹介した書籍
『波のうえの魔術師』
石田衣良(著)、文藝春秋ほか
石田衣良さんは、他にも恋愛小説や青春小説など様々なジャンルを書かれています。他の作品もどうぞ!