IWGPアニメ化!石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」とは?
更新日:2019/9/5
スカッとした小説を読みたい! そんなときにおすすめなのが、「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ(文藝春秋)です。
池袋を舞台に、主人公のマコトと仲間たちがさまざまな難事件を解決し、池袋の秩序を守っていく物語。2020年のアニメ化も発表された本作はどんな物語なのか?
その魅力と各巻のあらすじに迫ります!
『池袋ウエストゲートパーク』とは?
「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ、通称「I.W.G.P」。
“池袋のトラブルシューター”と呼ばれる果物屋の息子、マコトがさまざまな事件を爽快に解決していく人気シリーズです。ちなみに「池袋ウエストゲートパーク」とは、池袋西口公園のことを指します。
マコトが依頼を受け、仲間とともに事件を解決していくのは毎巻同じ。各巻4つの短編が収録されています。
その当時の社会問題などを反映したストーリーが多く、出会い系、いじめ、引きこもり、DV、薬物など、各エピソードがバラエティ豊かで読者に飽きを感じさせません。
1作目の『池袋ウエストゲートパーク』は、第36回オール讀物推理小説で新人賞を受賞。本シリーズは石田さんの代表作でもあります。
2002年には、宮藤官九郎さんの脚本でドラマ化。主演のマコト役はTOKIOの長瀬智也が務めました。
ほかにも、加藤あいさん、窪塚洋介さん、坂口憲二さん、山下智久さん、妻夫木聡さんなどが脇を固め、高視聴率を獲得。若者を中心に支持を集めました。
『池袋ウエストゲートパーク』キャラクター紹介
真島誠(マコト)
通称“池袋のトラブルシューター”。地元の高校を卒業後、フリーターとして働きながら、持ち込まれたさまざまな事件を解決していく。
安藤崇(タカシ)
池袋で勢力を広げるカラーギャング「G-Boys」の“キング”。喧嘩の実力はトップクラスで、かつカリスマ性を備えている。マコトとは高校時代の同級生であり親友。
そのほか、イラストが得意なアニメオタクのシュン、池袋の刑事・吉岡など、個性的なキャラクターが登場します。
『池袋ウエストゲートパーク』各巻あらすじ
1作目『池袋ウエストゲートパーク』
「池袋ウエストゲートパーク」「エキサイタブルボーイ」「オアシスの恋人」「サンシャイン通り内戦(シルヴォー)」を収録。
「池袋ウエストゲートパーク」は石田さんのデビュー作でもあります。
一見普通の公園だけど、池袋西口公園は週末の真夜中に姿を変える――。
チーマーやギャングが蔓延る池袋で起こる事件を、マコトが解決していきます。その姿はまさに痛快! 弱者を苦しめるものを守るマコトがカッコいいんです!
2作目『少年計数機』
『少年計数機』
「妖精の庭」「少年計数機」「銀十字」「水の中の目」を収録。
変わらず事件を解決していくマコトですが、少しずつ理解しがたい事件が起こるようになってきます。
単行本の発表は2000年。当時多発していた事件の犯人で、1982年生まれの犯人たちを総称した「キレる17歳」についてのエピソードも含まれます。
3作目『骨音』
『骨音』
「骨音」「西一番街テイクアウト」「キミドリの神様」「西口ミッドサマー狂乱(レイヴ)」を収録。
ホームレスが襲われる事件や、ドラッグ「スネークバイト」の謎など、社会問題を取り入れたストーリーが盛り込まれています。マコトの恋の行方にも注目したい3作目です。
4作目『電子の星』
『電子の星』
「東口ラーメンライン」「ワルツ・フォー・ベビー」「黒いフードの夜」「電子の星」を収録。
とあるラーメン屋への嫌がらせ行為、売春をおこなう14歳の少年、人体損壊ショーで客を集めるSMクラブなど、シリーズのなかでもなかなかヘビーな内容になっています。
表題作の「電子の星」はかなりグロイ話ですが、事件解決をするマコトたちの鮮やかさに目を奪われますよ。
5作目『反自殺クラブ』
『反自殺クラブ』
「スカウトマン・ブルース」「伝説の星」「死に至る玩具」「反自殺クラブ」を収録。
風俗のスカウト、集団自殺サイトなどのテーマが盛り込まれたIWGP4作目。過去のシリーズ作品のなかで、最も社会問題を色濃く扱っている1冊です。マコトの成長もうかがえますよ。
6作目『灰色のピーターパン』
「灰色のピーターパン」「野獣とリユニオン」「駅前無認可ガーデン」「池袋フェニックス計画」を収録。
盗撮した画像を売りさばいていた小学生が、マコトに仕事の依頼をしてきます。もう、衝撃です……。
ほかにも、他人の夢を打ち壊した強盗事件、無認可保育園に忍び寄る幼児性愛者といった重めの内容が描かれています。
7作目『Gボーイズ冬戦争』
『Gボーイズ冬戦争』
「要町テレフォンマン」「詐欺師のヴィーナス」「バーン・ダウン・ザ・ハウス」「Gボーイズ冬戦争」を収録。
キングのタカシのもと、池袋のパワーバランスを保ってきたG-Boys。しかし、No.2のヒロトがタカシに疑念を抱いたことで、そのバランスが崩れそうに……。
オレオレ詐欺、悪徳商法、連続放火魔などの社会問題が取り扱われています。
8作目『非正規レジスタンス』
「千川フォールアウト・マザー」「池袋クリンナップス」「定年ブルドッグ」「非正規レジスタンス」を収録。
児童虐待、ワーキングプア(働く貧困層)、ストーカーなどのテーマを扱っています。
貧富の差が広がる格差社会について描かれており、非常に考えさせられます。決して他人事とは思えません。
9作目『ドラゴン・ティアーズ―龍涙―』
「キャッチャー・オン・ザ・目白通り」「家なき者のパレード」「出会い系サンタクロース」「龍涙─ドラゴン・ティアーズ」を収録。
茨城にある工場から、中国人研修生の女が失踪。彼女の失踪によって、ほかの研修生250人も国外退去になるかもしれない。マコトは女を捜すが……。
キャッチセールス、出会い系、外国人の違法就労問題などが描かれます。
10作目『PRIDE―プライド―』
「データBOXの蜘蛛」「北口アイドル・アンダーグラウンド」「鬼子母神ランダウン」「PRIDE」を収録。本作がIWGPのファーストシーズン完結編となります。
スマートフォンの紛失、地下アイドルのストーカー被害、婦女暴行などが扱われており、社会問題が色濃く反映されています。
11作目『憎悪のパレード』
『憎悪のパレード』
「北口スモークタワー」「ギャンブラーズ・ゴールド」「西池袋ノマドトラップ」「憎悪のパレード」を収録。
自分を強姦した4人組を捕まえてほしい。そう依頼されたマコトは――。
脱法ハーブ、喫茶店などオフィス以外のWi-Fi環境のある場所で仕事をするノマドワーカー、ヘイトスピーチなどがテーマとして扱われます。
マコトは20代後半。シリーズ初期と比べるとすっかり大人です!
12作目『西一番街ブラックバイト』
「西池第二スクールギャラリー」「ユーチューバー@芸術劇場」「立教通り整形シンジケート」「西一番街ブラックバイト」を収録。
とある飲食チェーンでアルバイトしていた若者が自殺。そして次の犠牲者が――。
YouTuber、ブラックバイト、整形などの問題が描かれます。
13作目『裏切りのホワイトカード』
「滝野川炎上ドライバー」「上池袋ドラッグマザー」「東池袋スピリチュアル」「裏切りのホワイトカード」を収録。ネット炎上、スピリチュアル商法、ATM不正操作などがテーマに扱われています。
何が真実で、何が嘘なのか? 虚偽が蔓延る日常に、マコトとタカシが動き出します!
『池袋ウエストゲートパーク』外伝
「池袋ウエストゲートパーク」シリーズには、外伝作品も存在します。シリーズへの理解をより深められるので、一緒に読むのがおすすめです。
『赤(ルージュ)・黒(ノワール)―池袋ウエストゲートパーク外伝―』
暴力団・羽沢組の“サル”こと、斎藤が主人公となる長編作品。タカシも登場します。
『キング誕生池袋―ウエストゲートパーク青春篇―』
タカシがG-Boysでキングになるまでの物語。
IWGPを読んでスカッとしよう!
2019年9月現在、シリーズ13冊となった「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ。外伝作品もあわせて読めば、よりその世界を楽しめますよ。
難事件に立ち向かい、スカッと問題を解決していくマコトたちの姿を、ぜひその目に焼き付けてください!
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