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「怖すぎる」「2度と読みたくない」!? 残虐なホラーサスペンス「リカ」


更新日:2019/9/10

あなたは、『リカ』という作品をご存知でしょうか?

『リカ』は、ホラーサスペンス大賞を受賞した五十嵐貴久さんのデビュー作で、ベストセラーとなったホラー小説。2019年・2021年には、高岡早紀さん主演でドラマ化。さらに『リカ〜自称28歳の純愛モンスター〜』のタイトルで映画化もされました。

 

『リカ』は、2002年に発売されてから今でも反響が大きく、続編も『リターン』『リバース』『リハーサル』『リメンバー』『リフレイン』の5作品が発表されています。(2021年3月現在)

とにかく「怖すぎる!」と読み続けられてきた『リカ』。その怖さは「二度と読みたくない」と評する人もいるほど。『リカ』を読んで背筋を凍らせるのはいかがでしょうか?

※多少のネタバレにはご注意を

 

『リカ』あらすじ

『リカ』表紙

リカ
五十嵐貴久(著)、幻冬舎

出会ってしまったら、誰も「リカ」からは逃れられない。(帯)

 

妻子を愛する42歳の平凡な会社員の本間は、後輩に薦められたサイトの中で、女性とやり取りにのめり込んでいた。

そんなある時、看護師の「リカ」と名乗る女性と知り合う。

しかしそれがすべての始まり。彼女は、恐るべき”怪物”だった。

何十件と入っている留守電、玄関に絡みつく髪の毛。常軌を逸した手段でストーキングをするリカ。その狂気に追い詰められた本間は、意を決して怪物と対峙する……。

 

『リカ』登場人物

本間隆雄
妻子がありながらリカと出会い惹かれていくものの、徐々に人生を狂わされていく。

雨宮リカ
看護師の女。あらゆる手を使って本間にストーキングし、執拗なまでに追い詰めていく。

 

『リカ』の恐ろしさ

窓から外を見ている女

◆現実世界でも起こりそうな設定であること

普通に大学を卒業して、会社に就職し、三十一で結婚した。五年後に娘が生まれ、それをきっかけに分譲マンションを購入した。飛び抜けて良い夫、良い父親だとは思わないが、悪い家庭人でもないと思う。

(中略)

それはそれで仕方のないことだが、このまま流されてそうなってしまうのは嫌だった。少しだけ、抵抗してみたかった。そう思った私の脳裏に浮かんだのは出会いサイトだった。(p69-70)

 

主人公の本間は、どこにでもいるようなサラリーマン。つい、少しのスリルを味わいたくなり、友人から教えてもらったサイトになんの気なしに手を出してしまいます。
そこでリカと出会いますが、一度も会うことなく、ただメールを交換して満足していただけでした。それなのに――。

本間の行動は軽率とはいえ、極悪というわけでもありません。ありがちな設定だからこそ、リアリティがあり、恐ろしさが倍増します。

 

◆顔を見て絶叫してしまうほどのリカの容姿

いきなり運転手が女の顔を見て絶叫した。女のマスクが外れている。

(中略)

並外れて痩せた顔の色は、まるで泥のようだ。その中に目が、鼻が、口が浮かんでいる。やつれた顔には表情というものがなかった。感情のない顔が、私を見つめている。

そして何よりも私も脅えさせたのは、女の瞳だった。その眼には光がなかった。闇のような瞳。女の唇が、ゆっくりと動いた。何か言っている。聞きたくない。本能的に私は耳を押さえた。

何かつぶやきながら、女が何度もタクシーの窓を叩き続けている。私が見ているこれはいったい何なのだろうか。人間なのか、それとも違う何物かなのだろうか。(p146)

 

リカは、タクシーの運転手が、顔を見て絶叫するほどの女性。そのおそろしい容姿は、文中では「怪物」といわれるほど。

見るだけでも怖いのに、追いかけられるなんてどれだけ怖いことでしょう……。

 

◆リカの異常すぎるストーカー行動

リカのストーカー行動はますますエスカレートしていきます。

文中では「異常」としかいえない恐ろしいエピソードがたくさん描かれていますが、ここではその中からひとつのエピソードを紹介します。

ドアに髪の毛が生えていた。

恐怖と、信じ難いものを見た驚きとで、叫び声が漏れそうになる。空いていた左手で口を押さえた。

ドアの至るところに、数十本単位でまとめられた髪の毛が貼られている。長い長い髪の毛。それがテープで丁寧に貼りつけられているのだ。まるでドアに植毛しているかのようだ。

ドアノブの握りの部分に、百本ほどの髪の毛が巻き付けられていた。これは執念だ。あの女の執念なのだ。(p209-210)

 

自分がこの立場だったら、と考えるとゾッとしますね……。

 

◆身の毛もよだつ残虐性な描写

『リカ』には、グロテスクな描写がたくさん出てきます。その残虐性はつい目を背けたくなるほどです。

注射器が迫ってきた。どこだ。どこに刺すつもりだ。

針が迫る。どこに?顔?

眼だ。

リカが針を刺そうとしているのは私の眼だ。絶叫が口からほとばしった。やめろ、やめてくれ。それだけは。助けてくれ、何でもする、本当に何でもする。誰でもいい助けてくれ。やめさせてくれ。

(p366-367)

とにかくおそろしい作品なので、腹を括って読むことをおすすめします。また、精神的にかなりくるものがあるので、読むときの体調は整えておきましょう……。

 

「二度と読みたくない」と思うかも? おそろしいホラー小説

不審者の影

この後、本間はどうなってしまうのでしょうか。結末をぜひご覧ください。

コミカライズ版『リカ 黒髪の沼』(作画/富士高因)は電子書籍で、『リターン~漆黒のゴースト リカ~』(作画/玄田げんた)は単行本でも楽しめます。こちらもぜひ読んでみてくださいね。

繰り返し言います。『リカ』は、「2度と読みたくない」と評する人もいるほど、おそろしいホラー小説です。覚悟してお読みくださいね。

【おすすめ記事】その恐怖、トラウマ級! おすすめサイコホラー小説

 

ご紹介した『リカ』以外にも怖い本はまだまだあります。
以下の特集では、背筋が凍る「こわい本」を99冊集めました。最後の100冊目は……? その謎は、ページの最後をご覧ください。

 

今回ご紹介した書籍

リカ
五十嵐貴久(著)、幻冬舎

⇒続編「リカ・クロニクル」シリーズはこちら

リターン~漆黒のゴースト リカ~
玄田げんた(著)、五十嵐貴久(原作)、幻冬舎