夏に読みたいホラー小説!にミステリー要素を加えた傑作3選
ホラーとミステリーの相性は抜群にいいです。社会現象を起こした「リング」もホラーとミステリーを融合した作品です。
そこでここでは、夏に読みたいホラー小説にミステリー要素を加えた3作品を紹介していきます。
予想のできないラストに衝撃を受けるはず!
『暗黒童話』
乙一(著)、集英社
~あらすじ~
事故によって左の眼を失ってしまった高校生の「私」。彼女は、臓器移植手術によって新たな眼球を手に入れます。そしてある時、その「左眼」が奇妙な光景を映し出すことに気が付きます。それは自分の見ている風景ではない、おそらく以前の眼球所有者が見てきた風景。「私」は、その風景の出来事をノートに記録しはじめます。
そんなあるとき、またも「左眼」が幻を映し出します。そのとき「左眼」が映し出したのは、少女の監禁されている地下室の映像でした。思いがけずその地下室を見つけてしまった「左眼」は、慌ててその場から逃げだします。追ってくる少女監禁の犯人。やがて「左眼」の所有者は犯人の車に撥ねられ、亡くなります。
「左眼」の所有者が亡くなった理由をこうして知った「私」は、「犯人」を探しだすために動き出します。
天才乙一の処女長編
本作は14歳でデビューした天才作家乙一さんの長編第一作です。乙一さんはデビュー作の「夏と花火と私の死体」や本格ミステリ大賞を受賞した「GOTH」など巧みな構成の話を書くことで有名な作家さんで、本作「暗黒童話」でもその才気がいかんなく発揮されています。
本作は「私」の視点と監禁事件の「犯人」の視点から話が展開していきます。さらにこの2つの視点に「左眼」が映す過去の映像が重なり、少しずつ真実が明らかになっていきます。そして最後に用意された構成の妙が光る1つの仕掛けにあっと驚くこと間違いなしです。
グロテスクでありながらどこか幻想的な読み味で、ミステリーとしても優れた作品となっています。
「死者」は誰なのか……?
『Another』
綾辻行人(著)、角川書店
~あらすじ~
1998年春。榊原恒一は病気療養のため、しばらくの間、祖母の実家で暮らすことになります。
そこで祖母の家から通える夜見山北中学の3年3組に転入した恒一は、クラスの雰囲気に1つの違和感を覚えます。
それは「ミサキメイ」という謎の少女に対するクラスメイトの反応。
クラスメイトは、メイがまるでそこにいないものかのように過ごしているのです。ただ、それはイジメとは違う別の何か。そもそもミサキメイという少女は存在しているのか……。
そんな折、恒一のクラスの委員長である桜木が凄惨な死を遂げます。
そこで恒一はクラスの秘密を知ることとなり――。
人気ミステリー作家が贈るホラー小説
本作は、「館シリーズ」で有名なミステリー作家綾辻行人さんが描くミステリーホラーです。アニメ化もしている人気作品です。
本作の話の途中で、3年3組に降りかかる怪奇現象の正体が明らかになります。その怪奇現象のルールがやや複雑なのですが、そこはさすがの綾辻行人さん。そういった部分も端正な文体で、わかりやすく一気に読ませてくれます。
そして終盤には綾辻作品らしく、あっと驚くどんでん返しが用意されています。サスペンス性も強く、ページをめくる手が止まらなくなる作品となっています。
青春ホラーミステリー
『ホーンデット・キャンパス』
櫛木理宇(著)、KADOKAWA
~あらすじ~
大学生の八神森司はいわゆる草食系男子。そんな彼は、見たくもないのに幽霊が見えてしまう霊感体質。
幽霊や怖い話が大嫌いな森司ですが、大学ではオカルト研究会に所属しています。これは想い人である灘こよみのため。
オカルト研究会のメンバーは森司やこよみの他にも個性的な人たちばかり。
そんな彼らの元には、次々と怪奇現象の悩みを持った学生たちが訪れます。
学生が持ち込んでくる怪奇現象は、「壁に浮き上がる女の顔」、「夢に出てくる女のたたり」、「いわくつき物件で起きる不可解な現象」などなど。
そういった怪奇現象をオカルト研究会の面々が次々と解決していきます。
ライトホラー×ライトミステリー
本作は日本ホラー小説大賞で読者賞を受賞した作品です。連作短編集となっていて、読みやすいのが特徴。
幽霊や怪奇現象等のホラー要素にラブコメディやミステリー的な雰囲気をミックスした作品となっています。
本作の魅力は、キャラクターです。オカルト研究会の面々はどこか漫画的で、親しみやすいキャラクターとなっています。
映画化も決まっている人気の本作は、ホラー作品ですが、おどろおどろしさはほとんどなく、ホラーが苦手な方にもお勧めできる作品です。
⇒シリーズセットはこちら『ホーンテッド・キャンパス』セット
【おまけ】ミステリーホラーを得意とする作家
最後にミステリーホラーを得意としている作家を紹介します。
ミステリーホラーといえばこの人!と言っても過言ではないほど、ミステリーホラーを多く執筆している作家さんです。著作のほとんどがミステリーとホラーの融合作となっています。主な著作は「刀城言耶シリーズ」などです。
◆曽根圭介
ミステリーの賞である江戸川乱歩賞と日本ホラー大賞を受賞した鬼才です。上質なミステリーと上質なホラーを書いている作家さんで、ミステリーホラーもいくつか発表されています。ミステリーホラーの主な著作には「熱帯夜」などがあります。
◆小林泰三
デビュー作の「玩具修理屋」がホラー小説でありながらオチに意外性を持ってきたミステリーの趣がある作品で、以後もいくつかのミステリーホラー作品を発表しています。ミステリーホラーの主な著作は「家に棲むもの」などです。
背筋がゾクッとなる感覚を味わえる
紹介した作品は、背筋が冷たくなるような感覚と謎が明らかになる爽快感を味わえる作品となっています。
納涼のお供にまずは一作、手に取ってみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介した書籍
『暗黒童話』
乙一(著)、集英社
『Another』
綾辻行人(著)、角川書店
『ホーンデット・キャンパス』
櫛木理宇(著)、KADOKAWA
⇒『ホーンテッド・キャンパス』シリーズはこちら
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