失恋したときにコッソリ読みたい。恋愛小説10選
失恋すると、何も手につかなくなる……。
そんなときこそ、本を読みましょう。
心に栄養を、休息を!今回は、失恋した時にこそ読みたい物語をご紹介していきます。
失恋に効く処方箋を……
始まりがあれば、終わりがある。どんなに素敵な恋にも、いつかは終わりはやってきてしまうものです。
失恋の心の痛みは、言葉にすることもできないほど辛いものです。ときには、何も手につかなくなってしまうこともありますよね。
傷が癒えるまで休養をしたい……だけど、明日は容赦なくやってくる。嫌々仕事に行けば凡ミス……。
なんていう負のスパイラルに陥ったりしていませんか?
失恋してしまったときにこそ読みたい小説を、ジャンル別に分けて紹介していきます。
萎えた心に栄養を。適切な処方箋を見つけてみてください。
悲しみで萎えた心に おすすめ①
『号泣する準備はできていた』江國香織
『号泣する準備はできていた』
江國香織(著)、新潮社
準備はできていたはずなのに、泣かないことを身につけてしまって泣けなかった大人の女性に贈る珠玉の短編集。
12編のそれぞれの主人公たちが、どうしようもないほどの深い悲しみに襲われている瞬間、あるいはその後を切り取ったかのように描かれています。
江國香織ならではのさらっとしていながらもグサッと刺さる言葉の数々は、押し込めてしまったものを引き出すのには最適といえます。
失恋しても私はきっと大丈夫、そう思うための勇気をくれる一冊です。
悲しみで萎えた心に おすすめ②
『落下する夕方』江國香織
『落下する夕方』
江國香織(著)、角川書店
リカは8年目の恋人・健吾に突然別れを切り出される。問いただせば、健吾は他に好きな人ができたという。
そんな中、なかなか現実を受け止めることができないリカの家に、健吾の新しい想い人である華子が転がり込んでくる。
そしてそんな華子を追って、健吾も再びリカの元へとやってきて、奇妙な三角関係の生活が始まってしまい……。
本当ならば憎むべき存在の華子に、リカも次第に心を奪われていきます。そして、静かで平和で、だけどどこかおかしな生活が、ある日唐突な終わりを告げるのです。
全く新しい三角関係の恋の形は今までにない切なさを味わわせてくれます。
悲しみで萎えた心に おすすめ③
『ホリー・ガーデン』江國香織
『ホリー・ガーデン』
江國香織(著)、新潮社
「自分のすべて」といっても過言ではない愛人と別れた果歩と、愛人との恋を楽しむ静枝は、小さいころからの友達。
お互いがその痛みを思い、その恋に納得をしない。自分のことじゃないのに、自分のことのように思いあう友情の物語でありながら、「不倫」という不安定な恋に身を焦がし溺れる女の物語です。
失恋で深い傷を負った果歩の、痛々しくて苦しい再生の物語でもあります。
悲しみの海に沈んだ彼女を救い上げることができる手は、いったい誰の手なのか。
いくつになっても褪せない気高い友情と、深く誰かを愛した人の特権である切ない再生の物語です。
悲しみで萎えた心に おすすめ④
『一瞬の光』白石一文
『一瞬の光』
白石一文(著)、角川書店
失恋した時にハッピーエンドの恋愛ものはちょっと辛すぎますよね。そんなあなたにおすすめなのがこの小説です。
主人公は大企業のエリートサラリーマン、婚約者もいて、一般的には成功している憧れの立場にいる男性。
あるときその男性は、男に絡まれていた短大生と出会い恋に落ちます。しかしその短大生は複雑な家庭環境と問題を抱えている女性で……。
自分とあまりにも立場の違う人との出会いから主人公は大切なことを学んでいきます。心に染み入る物語ですよ。
温もりを求める心へ おすすめ①
『白河夜船』吉本ばなな
『白河夜船』
吉本ばなな(著)、新潮社ほか
気付いたら、眠ることが増えていたような気がする……。
植物状態の妻を持つ恋人との不安定な恋愛を続けている最中に、最愛の親友・しおりが自殺してしまった。
底知れない寂しさと、どんどん深くなる眠り。夢と現実のはざまでの出会いが、きっと涙を誘います。
表題作「白河夜船」のほかに「夜と夜の旅人」「ある体験」という、生きて誰かを愛することのすばらしさを伝えてくれる3編を収録。
吉本ばなな「眠り三部作」は、すっと胸に染み込むような幸福な物語たちです。
温もりを求める心へ おすすめ②
『ハゴロモ』吉本ばなな
『ハゴロモ』
吉本ばなな(著)、新潮社
青春のすべて、自分のすべてを捧げたはずの愛は、短い一度の電話で唐突に終わりを告げた……。
深い喪失感に襲われたほたるは、故郷に戻ります。
とても大きな川が流れるその町の空気は都会の空気とは全く異なるもので、心の奥底に埋まっていた遠い記憶を呼び起こしていくのです。
何もかも包み込んでくれる優しい自然と不思議な体験が、傷ついたほたるの心を少しずつだけど確実に癒していき……。
まるで、ハゴロモに包まれるかのような自然の風景は、傷を負った心を癒してくれます。
「失恋しても私は一人じゃない」
そう思える優しい物語です。
頑張るための一歩のために おすすめ①
『流れ星が消えないうちに』橋本紡
『流れ星が消えないうちに』
橋本紡(著)、新潮社
遠い土地を旅していた加地君を襲った突然の事故は、恋人同士だった奈緒子と、親友だった巧君を永遠に引き裂いてしまった。
事故から1年半が経った今でも気持ちを整理できない奈緒子は、自分の部屋ではなく玄関で眠る生活をしており、いつまでも加地君との思い出から離れることができないでいる。
そんな奈緒子に、巧君は明日を生きるための手を差し出していくが……。
大切な人を喪った後でも容赦なく流れつづける時間。
それでも続けていかなければならない「生きる」ということ。喪失の痛みと向き合うための時間を、過去の甘酸っぱい時間との行き来で描いています。
次に進むための一歩を踏み出す勇気を与えてくれる一冊です。
頑張るための一歩のために おすすめ②
『きみはポラリス』三浦しをん
『きみはポラリス』
三浦しをん(著)、新潮社
三角関係、不倫、同性愛、片思い、ありとあらゆる恋の形を究極の形で描き出した、全部で10編が織りなす一冊の短編集。
誰かに思いを寄せることは、とても美しく見えるもの。だけど、その輝きが強ければ強いほどに影だって濃くなり苦しくもなる。
それでも、人は誰かに恋をする。恋をした、これから恋をする人、恋をしている人すべての人に贈られる最高の恋愛を描いた短編集です。
次の恋に進む前に、ぜひとも読んでほしい物語がたくさんあります。
頑張るための一歩のために おすすめ③
『くまちゃん』角田光代
『くまちゃん』
角田光代(著)、新潮社
失恋といえばこの作品。人が振られるという小説を書きたかったという角田さんの短編集です。
くまのイラストTシャツを着た芸術家になりたい男の子、もと劇団員だった女の子、イラストレーターなど、ちょっと個性的な若者達が主人公のこの作品。
この小説で面白いのは、「前章で振った人が次の章で恋人に振られる」というように、物語が次の物語へとつながっている点です。
若者達の恋物語にきゅんとした気持ちになれる読後感の良い小説です。
頑張るための一歩のために おすすめ④
『言い寄る』田辺聖子
『言い寄る』
田辺聖子(著)、講談社ほか
女性の心を絶妙に描く、田辺聖子さんの恋愛三部作の一つ。
男も仕事も欲しいものは手に入れた31歳の乃里子は、自分の欲望に正直に生きるタイプ。さまざまな男性と自由に恋愛を謳歌している女性です。
この作品には、恋愛を謳歌しながらも、自分が一番好きな男性にだけはどうしても自分から上手に言い寄ることができない乃里子の物語が描かれています。
どんな人でも恋愛の悩みはつきません。
失恋に傷ついたあなたに、色々な恋の形があることに気づかせてくれるでしょう。
恋愛小説で心に栄養を……。
いかがでしたでしょうか。どれもこれも切なく悲しい物語ではありますが、流した涙の分だけ心は温かくなるはずです。
失恋の痛みと向き合うことは、次に進むためにはとっても重要なことです。
失恋を悲しい記憶ではなく、明日からまた強く凛々しくなるための糧に変えていきましょう!
自分らしさを大切に。躓いたときや、苦しくなったときは、本を読んで心に栄養補給! おすすめです。
今回ご紹介した書籍
悲しみで萎えた心に
『号泣する準備はできていた』
江國香織(著)、新潮社
『落下する夕方』
江國香織(著)、角川書店
『ホリー・ガーデン』
江國香織(著)、新潮社
『一瞬の光』
白石一文(著)、角川書店
温もりを求める心へ
『白河夜船』
吉本ばなな(著)、新潮社ほか
『ハゴロモ』
吉本ばなな(著)、新潮社
頑張るための一歩のために
『流れ星が消えないうちに』
橋本紡(著)、新潮社
『きみはポラリス』
三浦しをん(著)、新潮社
『くまちゃん』
角田光代(著)、新潮社
『言い寄る』
田辺聖子(著)、講談社ほか
また、下記の特集では恋愛小説を100冊をピックアップしています。
さまざまな恋愛模様に「また恋がしたい」と思えるような小説もたくさんありますので、ぜひ合わせてご覧ください。