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【2018年 本屋大賞】大賞・ノミネート作品をまるごと紹介!


2018年4月10日に、本屋大賞が発表されました。今回大賞を受賞したのは、辻村深月さんの『かがみの孤城』です。

今回のコラムでは、大賞受賞作とノミネート作品の10冊をまるごとご紹介!

読書好きな方でしたら、すでに読んでいる作品もあるかもしれませんね。

本屋大賞といえば、「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本」というキャッチフレーズを謳う文学賞。どの作品も秀作揃いです。ぜひ読んでみてくださいね。

 

■目次

2018年 大賞受賞作品
辻村深月『かがみの孤城』

ノミネート作品
伊坂幸太郎『AX』
小川糸『キラキラ共和国』
知念実希人『崩れる脳を抱きしめて』
今村昌弘『屍人荘の殺人』
塩田武士『騙し絵の牙』
原田マハ『たゆたえども沈まず』
柚月裕子『盤上の向日葵』
村山早紀『百貨の魔法』
今村夏子『星の子』

(作品:五十音順)

 

大賞受賞作品
辻村深月『かがみの孤城』

かがみの孤城
辻村深月(著)、ポプラ社

ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2017 1位

王様のブランチ ブック大賞2017 大賞

話題沸騰の筆者最高傑作!一気読み必至!(帯)

 

学校でのいじめが原因で、不登校になってしまった中学生・こころの物語。

部屋に閉じこもっていたこころでしたが、ある日を境に、鏡の中にある「かがみの孤城」へ行くことができるようになります。そこで、様々な事情から不登校になった中学生6人に出会うのですが……。

この作品は、救いの物語です。現在進行形で学校と闘っている学生はもちろん、過去に“ひっかかり”があって、心の奥底ではモヤモヤを感じている大人を救ってくれます。

私自身、こころの気持ちは痛いほど分かって……感動のあまり、しばらく涙が止まりませんでした。ファンタジーとミステリーが楽しめるだけでなく、とにかく号泣したい!方におすすめの作品です。

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伊坂幸太郎『AX』

AX
伊坂幸太郎(著)、KADOKAWA

「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。(帯)

 

5篇が収録された連作短編集。

伊坂さんが「寂しいけれど、あたたかみのある物語になったような気がします」と語っているように、殺し屋というハードボイルドなテーマを扱いながら、あたたかい気持ちになれるという、なんとも不思議な作品です。

これまで『最強の殺し屋は恐妻家』という作品はあったでしょうか?仕事とプライベートの姿のギャップに笑い、家族の絆にホロリ涙。伊坂さんお得意のハートフルストーリーに仕上がっています。

また、最後の話で明かされるどんでん返しは見事。描かれた秘密に、きっと唸らされるはずですよ。

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小川糸『キラキラ共和国』

キラキラ共和国
小川糸(著)、幻冬舎

血がつながっているから、優しくなれるわけじゃない。

家族って、与えられるものではなくて、時間をかけて、育むものなのかもしれない。

心がぽかぽかになる物語を、『ツバキ文具店」からお届けします。(帯)

 

鎌倉にある代書屋「ツバキ文具店」にまつわる物語。ベストセラー『ツバキ文具店』の続編ということで、楽しみに待っていた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

代筆だけでなく、手紙の内容、字体、使用する文具、便箋や封筒、切手まですべて考えてくれるツバキ文具店。夫からの詫び状、大切な人への最後の手紙……伝えたい思い、聞きたかった言葉が、丁寧に形になっていく過程は、じんわりとした感動を与えてくれます。

タイトルにもなっている「キラキラ」は、幸せになれる秘密のおまじない。目を閉じて心の中で唱えれば、心の暗闇に星が増えて、辛いことも悲しいことも全部、綺麗な星空に紛れる……日本語の美しさをぜひご堪能ください。

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知念実希人『崩れる脳を抱きしめて』

崩れる脳を抱きしめて
知念実希人(著)、 実業之日本社

広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく。実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く。彼女はなぜ死んだのか? 幻だったのか?ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を彷徨う。そして、明かされる衝撃の真実!? 希代のトリックメーカーが描く、今世紀最高の恋愛ミステリー!(帯)

 

知念実希人さんの作家デビュー5周年、実業之日本社創業120周年記念作品。

知念実希人さんといえば、“どんでん返し”で知られる現役医師のミステリー作家。これまでの作品は本格的な医療ミステリーでしたが、本書では初めて「恋愛」要素を盛り込み、ミステリーなのに上質な恋愛小説を読んだような、珍しい読後感を与えてくれる作品に仕上がっています。

愛した女性が亡くなり、しかし、周囲にはそんな女性は存在しなかったと告げられる。数え切れないほどの伏線と、秀逸な仕掛け。圧巻のラスト20ページに、ぜひ驚愕してください!

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今村昌弘『屍人荘の殺人』

屍人荘の殺人
今村昌弘(著)、 東京創元社

21世紀最高の大型新人による、前代未聞のクローズド・サークル

史上初、デビュー作で3冠!

『このミステリーがすごい!2018年版』第1位

『週刊文春』ミステリーベスト第1位

『2018本格ミステリ・ベスト10』第1位(帯)

 

クローズド・サークルを利用した本格ミステリ。

ミステリ愛好会の葉村、明智、探偵少女の剣崎は、映画研究部の合宿に参加するも、部員の一人が惨殺される場に出くわします。

このあらすじ、どこか聞き覚えのある内容ですね?そう、いわゆる「定番」のシチュエーションなんです。

しかし、読み進めていくうちに、読者は驚愕せざるをえなくなります。想像していなかった展開に……。

「定番」のなかに、特殊な設定・奇抜な発想が混在し、これまでにないミステリ作品に仕上がった名作である本書。デビュー作で3冠という偉業を成し遂げたのも納得ですね。

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塩田武士『騙し絵の牙』

騙し絵の牙
塩田武士(著)、KADOKAWA

大手出版社で雑誌編集長を務める速水。誰もが彼の言動に惹かれてしまう魅力的な男だ。ある夜、上司から廃刊を匂わされたことをきっかけに、彼の異常なほどの“執念”が浮かび上がってきて…。斜陽の一途を辿る出版界で牙を剥いた男が、業界全体にメスを入れる!

小説を愛する全ての読者へ贈る一冊。(帯)

 

俳優の大泉洋さんを「あてがき」した社会派長編。

芸能事務所との共同企画によりプロット改編を幾度も重ね、取材・執筆すること4年。テレビで見ている大泉洋さんが、ノンフィクション小説の中で縦横無尽に動く?!読んでいるうちに、現実と作品の境目がどんどん曖昧になってきて、これまで味わったことのない不思議な読後感を味わえます。

ウィットに富んだ会話、“圧倒的リアリティ”な筆致、壮大などんでん返し。ぜひ、大泉洋さんにとことん騙されてみてください!

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原田マハ『たゆたえども沈まず』

たゆたえども沈まず
原田マハ(著)、幻冬舎

1886年、栄華を極めたパリの美術界に、流暢なフランス語で浮世絵を売りさばく一人の日本人の男がいた。彼の名は、忠正。助手は重吉。その後、売れない画家のフィンセント・ファン・ゴッホは、放浪の末、パリにいる画廊の弟・テオの家に転がり込んでいた。兄の才能を信じ献身的に支え続けるテオ。そんな二人の前に忠正が現れ、大きく運命が動き出す――。(帯)

 

アート小説の第一人者・原田マハの長編小説。

「ゴッホはなぜ日本人に愛されるのか!?」みなさまの中にも、そのように疑問を感じたことがある人がいるのではないでしょうか。

本書は、ゴッホの才能に惚れ込んだ男たちの物語。ゴッホが日本で、世界で認められるようになった裏側には、ある日本人の男の存在がありました。アートの知識がなくても、ぐいぐい引き込まれるのは原田マハさんの筆力があってこそ。ザッツ・エンタテイメントの一冊に酔いしれ、ワクワクしながら読んでみてください。

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柚月裕子『盤上の向日葵』

盤上の向日葵
柚月裕子(著)、中央公論新社

埼玉県天木山山中で発見された白骨死体。遺留品である初代菊水月作の名駒を頼りに、叩き上げの刑事・石破と、かつてプロ将棋を志していた新米刑事・佐野のコンビが捜査を開始した。それから四ヶ月、二人は厳冬の山形県天童市に降り立つ。向かう先は、将棋界のみならず、日本中から注目を浴びる竜昇戦の会場だ。世紀の対局の先に待っていた、壮絶な結末とは――!?(帯)

 

日本推理作家協会賞作家の柚月裕子さんによる、渾身の将棋ミステリー小説。

柚月さんのデビュー10年目の集大成として発表された作品なだけあって、ページから伝わる緊張感、鬼気迫る熱気に、つい息を飲まれそうになります。

昨今の将棋ブームで、将棋をテーマにした作品は数多く出版されていますが、この作品はとにかく「壮絶」です。登場人物の上条桂介は、実業界から天才棋士に転向したエリートとして、時代の寵児としてもてはやされますが、彼が抱える過去は過酷なものでした。

柚月さんいわく、「将棋界を舞台にした『砂の器』」。ぜひ、桂介の生き様を見届けてください。

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村山早紀『百貨の魔法』

百貨の魔法
村山早紀(著)、 ポプラ社

時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける――。百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される「白い猫」が織りなす、魔法のような物語!(帯)

 

歴史ある百貨店を守ろうとする人たちの物語。

古き佳きもの・人への尊敬の意。顧客ファースト。お客様への真心。仕事をするうえで、大切なことがこの一冊に詰まっているといっても過言ではありません。特に接客業に携わる方にはぜひ一読いただきたい作品です。

人と人との関わりの中で、苦しい瞬間があったとしても、報われる瞬間が必ずある。日々頑張る従業員たちの願いを叶える「魔法の白い猫」が生み出す奇跡。少し不思議で、ファンタジックで、心あたたまる作品を読みたい方に。

また、星野百貨店内にある書店・銀河堂書店を舞台にした『桜風堂ものがたり』もおすすめです。

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今村夏子『星の子』

星の子
今村夏子(著)、 朝日新聞出版

主人公・林ちひろは中学3年生。

出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、

両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、

その信仰は少しずつ家族のかたちを歪めていく・・・。(帯)

 

野間文芸新人賞受賞作。「アメトーーク!本屋で読書芸人」でも取り上げられ、一躍話題となった作品です。

ちひろの幼少期の病気を治したのは、「金星のめぐみ」という水だと疑わない両親。どんどん宗教にのめり込んでいく両親を変だと思いつつも、きっかけは自分の病気という葛藤もあり、両親に何も言えなくなってしまいます。

子どもの病気を治すためなら、どんなものにもすがりたい、その親心も痛いほどわかります。そして、大切な人が信じていることを、理解できないちひろの悲しみも。周囲に変な目で見られる苦しみも。

読む人の立場によって見方が変わる問題作だと思います。

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どの作品が 本屋大賞 を受賞するのか?

大賞の『かがみの孤城』はもちろん、どの作品も秀作揃いです。ぜひこの機会に読んでみてくださいね。

今回ご紹介した 本屋大賞受賞作品・大賞ノミネート作品

・辻村深月『かがみの孤城
・伊坂幸太郎『AX
・小川糸『キラキラ共和国
・知念実希人『崩れる脳を抱きしめて
・今村昌弘『屍人荘の殺人
・塩田武士『騙し絵の牙
・原田マハ『たゆたえども沈まず
・柚月裕子『盤上の向日葵
・村山早紀『百貨の魔法
・今村夏子『星の子

 

受賞作だけでなく、ノミネート作品も絶対読みたいおもしろい作品ばかり。

歴代の「 本屋大賞 」ノミネート作品から受賞作品までは、こちらでチェック!