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【本屋大賞】本屋大賞の歴代一位特集!最新4作の魅力に迫る


「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本」というキャッチフレーズで知られる本屋大賞。話題性が高い文学賞として広く知られており、大賞を受賞した作品は、書店にて売切続出……ということも少なくありません。

それでは、これまでの本屋大賞を受賞した作品を見てみましょう。

  • 第1回(2004年):小川洋子「博士の愛した数式」
  • 第2回(2005年):恩田陸「夜のピクニック」
  • 第3回(2006年):リリー・フランキー「東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン」
  • 第4回(2007年):佐藤多佳子「一瞬の風になれ」
  • 第5回(2008年):伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」
  • 第6回(2009年):湊かなえ「告白」
  • 第7回(2010年):沖方丁「天地明察」
  • 第8回(2011年):東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」
  • 第9回(2012年):三浦しをん「舟を編む」
  • 第10回(2013年):百田尚樹「海賊とよばれた男」
  • 第11回(2014年):和田竜「村上海賊の娘」
  • 第12回(2015年):上橋菜穂子「鹿の王」
  • 第13回(2016年):宮下奈都「羊と鋼の森」
  • 第14回(2017年):恩田陸「蜜蜂と遠雷」

 

一度は名前を聞いたことがある作品ばかりではないでしょうか?

今回のコラムでは、この中から最新の4冊をピックアップし、その魅力を語っていきたいと思います。

 

2017年:恩田陸『蜜蜂と遠雷』

『蜜蜂と遠雷』
恩田陸(著)、 幻冬舎

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?(帯)

 

ピアノコンクールを舞台にした青春小説。直木賞と本屋大賞をダブルで受賞したことで大変話題となりました。構想から12年、取材11年、執筆7年という、恩田さん渾身の大作です。

テーマは、人間の才能と運命、音楽。天才ピアニスト4人がどのようにピアノと向き合っているかを、それぞれの視点で描いた作品ですが、徹底して「天才」しか出てこないところに目新しさを感じました。「天才」の対極線上にある「凡人(努力家)」のキャラクターがいないのです。私がこれまで読んできた本は、1人の「天才」を超えようと懸命に頑張る「凡人(努力家)」にスポットライトを当てる作品が多く、その意味でも本書はとても新鮮でした。

また、「天才」といっても、それぞれタイプは違います。神に愛された天才たちが切磋琢磨し、互いを高め合い、そして生まれる化学反応。その描写には全身がゾクゾクしました。これまでにない読書体験ができる作品だと思います。

 

2016年:宮下奈都『羊と鋼の森』

『羊と鋼の森』
宮下奈都(著)、 文藝春秋

ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。

ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。(帯)

 

ピアノの調律師である少年の成長小説。

テーマは、”努力の天才”と音楽。翌年大賞を受賞した「蜜蜂と遠雷」と、ピアノを題材しているのは同じですが、印象は大きく異なります。

山間の集落に生まれ育った主人公の外村。ある経験をキッカケに、調律師を目指し、高校卒業後本州へ上陸します。それまでクラシック音楽をほとんど聴いたことがなく、ピアノにも触れたことがない。そのため、たくさんピアノ曲集を聴き、耳を作り上げていきます。努力して才能を掴んでいく姿は、読んでいて応援したくなりますし、自分の気持ちも奮い立ちます。

また、ピアノを『羊と鋼の森』という言葉で表す、その文章の美しさには脱帽です。チューニングピンが整然と並ぶ=森と捉える、その感性と表現力。圧倒的な美しさをまとった作品を読みたい方にオススメの作品です。

 

2015年:上橋菜穂子『鹿の王』

『鹿の王』
上橋菜穂子(著)、KADOKAWA

強大な帝国・東乎瑠から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた戦士団“独角”。妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てるが!?たったふたりだけ生き残った父と子が、未曾有の危機に立ち向かう。壮大な冒険が、いまはじまる―!(鹿の王 1 表紙裏)

 

医療サスペンスにして、壮大な冒険ファンタジー小説。

テーマは、過酷な運命に立ち向かう人々の”絆”。騎士団のリーダー・ヴァンと、天才医術師・ホッサルを中心にストーリーは展開していきます。

上橋さんが得意とするファンタジーの世界観を保ちながら、医療サスペンスの形を取っているその斬新さは、読み手を飽きさせません。この本を読むと、現実世界でもこのようなことが起こっているのではないか……?とつい錯覚してしまいます。それほどまでに現実味のある緻密な描写がなされているのです。植民地制度、奴隷制度、人種差別といった社会問題、宗教の違いがもたらす問題、そして医学。

ファンタジーとこれらの問題が共存しており、かつ、現実味がある。そんなファンタジー作品はなかなか珍しいのではないでしょうか。普段ファンタジーを読まない方でも楽しめる作品です。

 

2014年:和田竜『村上海賊の娘』

『村上海賊の娘』
和田竜(著)、新潮社

時は戦国。乱世にその名を轟かせた海賊衆がいた。村上海賊―。瀬戸内海の島々に根を張り、強勢を誇る当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、娘の景だった。海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女。この姫が合戦前夜の難波へ向かう時、物語の幕が開く―。本屋大賞、吉川英治文学新人賞ダブル受賞!木津川合戦の史実に基づく壮大な歴史巨編。(村上海賊の娘(一) 表紙裏)

 

「日本史が嫌いな人でもわかるように」という名目で書かれた、エンターテイメント性の高い歴史小説。吉川英治文学新人賞作品。作者は四年間をこの一冊だけに注ぎ込んだのだそう。

描かれているのは、天正四年(1576年)。織田信長と石山本願寺の合戦を背景にストーリーは進んでいきます。

主人公は「村上水軍」の景。吊り上がった眉と目じり、大きな口、分厚い唇。気性が強くて醜い姿をして、背が高い(なんと180cm!)というヒロインは、珍しいのではないでしょうか。結婚願望が強いものの、誰にも相手にされず、結婚相手を探しに大阪の難波へ。このように笑えるシーンが満載なので、読んでいて楽しいですよ。

また、その景が戦場で刀を振りかざし大暴れするシーンがなんといっても痛快です!歴史の知識がない読者に、歴史小説の門戸を開ける貴重な作品と言えるでしょう。

 

歴代傑作揃いの本屋大賞

さまざまなジャンルの作品が受賞している本屋大賞。

読めば読書の幅を拡げること間違いなしですよ。

 


【今回ご紹介した書籍】


 

受賞作品だけでなく、ノミネート作品も面白い本がそろっています。
歴代の「本屋大賞」ノミネート作品から受賞作品までは、こちらでチェック!

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。