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川端康成作品、どれから読もう? 最初に読むならこれがおすすめ!


学生時代に国語の勉強が苦手だった人は、川端康成と聞くだけで食わず嫌いを決め込んでしまうかもしれません。

今回は、初心者にもオススメの川端康成の作品を、5本ご紹介します。

川端氏には映像化されている作品もたくさんあります。
上戸彩さんと小栗旬さんのドラマ「古都」など、興味を持てそうなところから入ってみてはいかがでしょうか。

美しい情景描写や、人間の心のひだを細かく描くストーリーに触れ、川端ワールドにデビューしましょう。

 

みずみずしい恋と心の交流を描く『伊豆の踊子』

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伊豆の踊り子

『伊豆の踊り子』は、川端康成の描くみずみずしい恋の物語です。

6回も映画化され、最後の映画化でヒロインの踊り子役をつとめたのが、伝説の人気女性歌手・山口百恵さん。ヒロインの相手役の学生として共演した三浦友和さんとは、現在も仲の良いご夫婦です。

川端文学の真骨頂は、文章の美しさ。ノーベル文学賞を受賞したのは1968年、68歳の時でした。日本人の精神を繊細に描いたことが、受賞の理由とされています。

踊り子と学生の間には、淡い恋だけでなく人間同士の心の交流がありました。孤児ということでひねくれかけていた学生が、踊り子の純真さに触れて気持ちがほどけていく様子も描かれていますので、そこにも注目して読んでみてください。

 

深夜に響く音は死期の宣告か?『山の音』

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山の音

川端康成の作品群の中で、この『山の音』は『雪国』や『伊豆の踊り子』に比べて知名度が低い作品です。

けれども、海外での評価は高く、ノルウェー・ブック・クラブが選定する「世界最高の文学100冊」に、シェイクスピアやドストエフスキー、トルストイなどの作品と肩を並べて選ばれています。

前々年に還暦を迎え老境に差し掛かった主人公・信吾は、妻と息子夫婦と一緒に暮らしています。信吾は、深夜に響く「山の音」を死期の宣告のように受け取って恐怖を覚えるのです。
こんな時人間は、もうひと花咲かせてから逝きたいと思うのでしょうか。信吾は若い嫁への恋心とも呼べるような気持ちにとらわれるようになります。

敗戦後間もなくという特殊な状況化で、復員兵だった息子の修一、修一の嫁の菊子、信吾夫婦の娘など昭和の日本の家族が、それぞれの思いを持って生きていく様子が描かれている作品です。

 

生き別れになった美しい双子の姉妹『古都』

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古都

『古都』の舞台は京都です。生き別れになった美しい双子の姉妹が再び出会い、交流を持つ中で起こる出来事を、丹念に追った作品。

川端作品に特徴的な美しい情景描写も、本作の魅力の一つです。
何度か映画化され、岩下志麻さん、山口百恵さんがそれぞれ主役の双子、千重子と苗子を演じています。テレビドラマ版も何作もあり、2005年のドラマ「古都」では、上戸彩さんが主演しました。2016年には、松雪泰子さんが姉妹役を一人二役で演じた映画が公開。といっても、実はこちらは原作の「その後」という趣向で、舞台も京都とパリというグローバルな現代にふさわしい設定になっています。

この映画を観るなら、シーズン1ともいえる原作を読んでから。

姉妹のシーズン2を、映画で楽しんでください。

 

9人の主人公の想いを綴る短篇集『愛する人達』

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愛する人達

川端康成の作品を初めて読む読者に、おすすめの短篇集です。

9つの短編が収録されています。タイトルの「愛する人達」は、短編の一つである「ほくろの手紙」の中の「わたくしは愛する人達を思ふために…」からとられているのでしょう。

川端氏の元婚約者が訪ねてきたことをきっかけに書かれたといわれる「母の初恋」。
自分に片思いしていた男性への幻想を抱く「女の夢」。
自分の癖の理由を知る「ほくろの手紙」。
いつも一人でさいころをころがしている踊り子が気になる「夜のさいころ」。
新婚旅行からの帰り道で出会ったハーフの女の子への、夫婦それぞれの思いを描く「燕の童女」。
夫婦一緒に暮らしながらも、自分から見た人生と夫から見た人生が違うことに気付く「夫唱婦和」。
妊娠した妻の七変化に驚く「子供一人」。
10代の男子が年上の女性への恋心を抱く「ゆくひと」。
自分を想ってくれていた女性の消息を知りたい「年の暮れ」。

9人の主人公、それぞれの思いを丁寧にすくい取る作品たちが、読み終えた後も心に残りそうです。

 

10年以上もの歳月が費やされた『雪国』

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雪国
角川書店

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」という、あまりにも有名な冒頭から始まる作品です。

川端康成といえば『雪国』と、読んだことのない人でもタイトルを知っている方は多いだろう代表作。川端氏にとっても思い入れのある作品だったらしく、10年以上もの歳月手を加え続けて、やっと完成したというから驚きです。

冒頭の「国境の~」は、「こっきょう」と読むのか「くにざかい」と読むのかで議論があります。国文学者の長谷川泉氏によれば、川端康成は「くにざかい」だといっていたとのことです。

川端氏が生涯「美しさ」を大切にして作品を書き続けていたことは、ノーベル文学賞の授賞式で行われた記念講演のタイトルにも表れています。

「美しい日本の私ーその序説」

川端氏の作品は、これからも長く読み継がれていくことでしょう。

 

映画やドラマを見てから読めば原作の世界を身近に感じられる

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川端康成の作品には、世界中に愛読者がいます。

ご紹介したどの作品も、川端氏によって人間の弱さや醜さが美しく昇華させられています。ぜひ一度、手にとってみてください。

 

上記でご紹介した作品とかけ離れた過激な小説もあるんです!