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大衆小説・時代小説好きは要チェック!「吉川英治賞」とは?


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大衆小説に与えられる文学賞として、1962年に創設され、50年以上の歴史を持つ「吉川英治賞」。

「吉川英治文学賞」と、新人に与えられる「吉川英治文学新人賞」、そして2016年度に創設された「吉川英治文庫賞」、また文化人に贈られる「吉川英治文化賞」の4賞があります。

今回は、大衆小説を対象とした「吉川英治文学賞」「吉川英治文学新人賞」「吉川英治文庫賞」について解説します。

 

質の高い大衆小説が受賞する「吉川英治文学賞」

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1962年、まだ存命だった吉川英治が創設したのが「吉川英治賞」です。創設時は公募型の新人賞で、毎日新聞が主催をしていました。

第1回は須知徳平さんの『春来る鬼』が受賞し、その後第3回まで続いたあと、主催・財団法人吉川英治国民文化振興会、講談社の後援で「吉川英治文学賞」となり、現在まで続いています。
現在では新人賞ではなく、ある程度実績のある作家が受賞する賞となっています。

吉川英治は、『宮本武蔵』や『三国志』、『新・平家物語』で知られる人気作家で、多くの時代小説の傑作を残しています。

吉川英治文学賞は、時代小説だけを対象としているわけではありませんが、受賞作には質の高い時代小説が多く、時代小説好きはぜひともチェックしておきたい賞のひとつであると言ってよいでしょう。

 

~過去の受賞作~

♦第50回 赤川次郎『東京零年』(集英社)

永沢亜紀には、介護施設に入居している父・浩介がいます。ある日TVに一瞬映った男を見て、父が発作を起こします。その男は、殺されたはずの湯浅道男だったのです。真相に迫るうちに、警察の権力の闇に気づく亜紀ですが——。

監視社会と化した近未来を舞台に描かれる、スリリングでテンポのよい長編ミステリー作品です。

♦第49回 逢坂 剛『平蔵狩り』(文藝春秋)

江戸の火付盗賊改方「鬼平」こと「長谷川平蔵」が活躍する短編6作をおさめた短編集です。「鬼平」といえば池波正太郎の「鬼平犯科帳」が有名ですが、こちらの平蔵も少し影のあるところが魅力的です。鬼平ファンなら一度は読んでおきたい作品です。

♦第46回 夢枕獏『大江戸釣客伝』(講談社文庫)

釣り好きの旗本・津軽采女が主人公。江戸時代・徳川綱吉の治世で、「生類憐みの令」のもと、釣り好きたちはどう生きていったのか。その生き様を描いた作品です。

釣りの楽しさにどんどん引き込まれていく主人公を見ていると、自分も釣りに出たくなってしまう、そんな楽しさのある作品です。

 

未来の人気作家を発掘!「吉川英治文学新人賞」

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「吉川英治文学賞」は新人賞ではなくなりましたが、1980年には、新人作家を対象とした「吉川英治文学新人賞」が新たに設立されました。

吉川英治文学新人賞を受賞した作家のなかには、その後人気作家となり、直木賞や本屋大賞などを受賞する人も多くいます。

たとえば、2009年度に『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞を受賞した池井戸潤さんは、2011年度『下町ロケット』で直木賞を受賞。2010年度に『ツナグ』で吉川英治文学新人賞を受賞した辻村深月さんは、2012年度に『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞しています。

また、2013年度に受賞した和田竜さんの『村上海賊の娘』は、2014年には本屋大賞を受賞していますし、2009年度に受賞した冲方丁さんの『天地明察』も、2010年の本屋大賞に選ばれています。

未来の人気作家を見つけたければ、吉川英治文学新人賞をチェックしておくべきだと言えるかもしれません。

 

~過去の受賞作~

♦第37回 薬丸岳『Aではない君と』(講談社)

自分の息子が死体遺棄容疑で捕まったと聞かされる吉永。しかし息子の翼は、事件について何も語ってはくれません。吉永は自ら真相に迫っていきますが、そこでたどり着いた真実とは——。

子供が罪を犯したら親はどうあるべきか、少年審判について深く問いかける作品です。

♦第35回 和田竜『村上海賊の娘』(新潮文庫)

信長に攻められ、進退きわまる大坂本願寺に支援を頼まれ、瀬戸内海の海賊・村上水軍に助けを求める毛利。村上水軍の村上武吉には、景という名の娘がいました。醜女と呼ばれる景ですが、気性の荒い女性で、女の身でありながら戦いに身を投じていきます。

カッコいい女性が活躍する、スカッとする歴史エンターティメント小説です。

 

長編シリーズが対象!ユニークな「吉川英治文庫賞」

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2016年度には、「吉川英治文学賞」第50回の節目を記念し、長編シリーズ作品を対象とした「吉川英治文庫賞」が新設されました。

5巻以上の文庫が出版されているシリーズ作品を対象とした賞で、ほとんどの文学賞が単体の作品だけを対象にしていることを考えると、「シリーズ全体を評価する」というこの賞の試みは、非常にユニークなものといえます。

記念すべき第1回を受賞したのは、畠中恵さんの『しゃばけ』シリーズ。体の弱い若だんなが、妖怪たちとともに事件を解決する時代小説ミステリーで、ユーモラスな妖怪が魅力のシリーズ作品です。

候補作には、三上延さんの『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズなどのライトノベルもラインナップされていて、幅広いジャンルから選出されていることがわかります。

 

まとめ

「吉川英治文学賞」「吉川英治文学新人賞」「吉川英治文庫賞」、それぞれが質の高いエンターティメント作品に与えられています。読み応えのある長編小説や、時代小説を読みたい方はぜひともチェックしてみてくださいね。

 

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ライター

ラッテ
3度の飯より本が好き。興味のおもむくままに、いろいろな分野の本を読んでいます。特によく読むジャンルは、IT、美術、語学、旅行、インテリア、漫画など。本好きが高じて、書店員をしていたこともあります。