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第15回 最高の 名作文学 |文学好きが何度も夢中で読んだ本【連載コラム】


第15回 最高の 名作文学 |文学好きが何度も夢中で読んだ本【連載コラム】

こんにちは。文学が好きなアオノです。

みなさんは、本を何度も読みかえす派ですか? それとも、新しい本を次々と読みたい派でしょうか?

わたしは、どちらかといえば前者。新しい本も読みますが、気に入った作品を何度も読みかえすことが多いです。

そこで今回は、文学好きのわたしが、学生時代から大人になった今も何度も読んでいる最高の 名作文学 をご紹介します!

大人になってから改めて読むと理解できる作品や、何度読んでもゾクゾクするなど、繰り返し読んでも楽しめる作品を選びました!教科書に載っている有名な作品から、ちょっとマイナーな作品もピックアップしています。

どれも面白い作品ばかりなので、ぜひ読んでみてくださいね!

 

あなたの椅子にも潜んでいるかもしれない
江戸川乱歩『人間椅子』

『人間椅子』の表紙

もしあなたが今座っている椅子……たとえばソファや、電車の座席、書斎の椅子の中に、誰かが潜んでいたら?

『人間椅子』は、ある女性作家の元に、椅子職人の男性から手紙が届くところから始まります。その手紙によると、彼は自分の作った椅子の中に潜む、という奇妙な趣味を持っており、上に人が座ることに歓びを感じている……というのです。

まさに『人間椅子』! 椅子職人の語り口調で書かれているので、まるでエッセイを読んでいるようなリアリティがまた怖ろしいんです。ホテルの一室に置かれた椅子の中に入った彼の上に、様々な人間が「座った」ときの感触や興奮が手に取るように伝わってきます。

読み進めていくうちに、彼が女性作家に手紙を送った理由が徐々に明かされていきます。背筋がぞわっとする恐怖に、もしかすると椅子の中に誰かいるんじゃないのか……と、読みながら何度も自分の椅子を確かめたくなってしまいます。

それでも何度も読んでしまうのは、結末を知っていながら、読むたびいつも背筋がゾクゾクする感覚がやみつきになってしまうから!

誰もが持っているだろう変身願望を奇妙に描いた本作は、非常に中毒性の高い作品なので、読むときにはご注意を!

 

「こんな夢を見た。」からはじまる十の夢
夏目漱石『夢十夜』

『文鳥・夢十夜』の表紙

不思議な夢を見た時、誰かに話したくなりませんか?

そんな不思議な夢を見ているような気持ちになるのが『夢十夜』。「こんな夢を見た。」から始まる十の不思議な「夢」を描いた幻想短篇集。「第一夜」から「第十夜」までありますが、一話がとても短い短編です。

どれも現実にありそうなお話なのに、SFめいた作品に仕上がっているのが本書の魅力。

たとえば「第一夜」は、死にゆく女性を看取る夢。
死ぬ間際の女性と「自分」は再会を約束するのですが、約束はなんと「百年後」!果たしてふたりは無事に再会できるでしょうか……?

第一夜は、まるでおとぎ話のようなお話で『夢十夜』を象徴しているお話でもあります。夏目漱石をまだ読んだことがない方も、 まずは「第一夜」だけでも読んでみてください!

何度読んでも、夢を見ているような不思議な気分に浸れる名作です。

 

満員電車の乗客の運命は……?
横光利一『頭ならびに腹』

地平線へ伸びる線路

もし、あなたが乗っているすし詰め状態の満員電車が止まってしまったら、あなたは迂回しますか? それとも、運転再開を待つでしょうか。

そんな決断を迫られる『頭ならびに腹』は、満員の特別急行列車が線路故障で止まってしまうお話。

特別急行列車には、沢山の大人と小僧がひとり乗っています。迂回するか、発車を待つか、乗客は皆迷っていました。しかし一人の金持ちそうな紳士が決断すると、みんながこぞって紳士と同じ道を選びはじめます。

権力のありそうな人の判断に流されていく集団心理を、シュールかつリズミカルに描いた本作。自分の意見を持たず、流されていく大人たちの滑稽な姿が描かれおり、皮肉たっぷりの結末には思わずクスっと笑ってしまいます。

自分ならどうするだろう? 人の意見に流されない自信はあるだろうか……と深く考えさせられるお話です。

発表当時、その独特の表現やリズミカルな文体が話題になり高く評価されたそうです。読めば納得の一風変わった名作です!

 

懐かしい友達に会いたくなる
魯迅『故郷』

満月

子どもって、一緒に遊べる友達なら、身分も何も関係ありません。しかし大人になると、無邪気なままではいられなくなる。

『故郷』は、かつて地主の息子であった主人公の「私」が、幼なじみの小作人の息子・閏土(ルントウ)と20年ぶりに再会する物語。しかし大人になって再会した2人には、子どもの頃には感じていなかった「身分の差」という壁ができていた。

教科書にも載っている名作なので、読んだことがある人も多いのではないでしょうか。

「私」は閏土と再会し、子どもの頃の思い出を語ろうとします。ところが閏土に「旦那様」と呼ばれ、ぞっとして何も言い出すことが出来なくなってしまう。あんなに仲良しだった幼なじみとの関係が、大人になることで変わってしまった。そのどうにもならない哀しみは、まさに大人になったからこそ理解できる哀しみではないでしょうか。

子どもの頃に読んだときは、正直ピンときませんでした。どうして教科書に載るような名作なのか……と。しかし大人になってから読むと、どうにもならない現実の哀しみの中にも、必ず希望があることを教えてくれる名作なんですよ。

じんわりと胸に広がるノスタルジーが、子どもの頃の記憶を呼び覚まします。読むと、懐かしい友達に会いたくなる一作ですよ。

 

愛か出世、どちらを選ぶのか。
森鷗外『舞姫』

『阿部一族・舞姫』の表紙

「わたしと仕事、どっちが大切なの?」というのは、今の恋人同士の会話に出てきてもおかしくないセリフですよね。

『舞姫』は明治時代に「恋人と出世、どっちを選ぶの?」という選択を迫られた官吏・豊太郎が、留学先のドイツで踊子エリスと恋に落ちる物語。

豊太郎は、日本から期待されていた若きホープでした。だからこそ、留学先のドイツで、踊子と恋に落ちた、なんていうのは言語道断。浮ついてると思われてもおかしくない状況。そして、日本に戻れば出世の道が待っている。さぁどうする豊太郎……!と一世一代の選択を迫られます。

豊太郎を縛っているのは、明治という時代、そしてなんと言っても「世間体」。豊太郎の選択をどう思うのかは、読む時期によって変わってくるかもしれませんね。昔読んでわからなかったことも、大人になって読むと、豊太郎の葛藤や決断も、理解できるはず。

大人になってから読むと、わかることってあるなぁと実感する文学No.1です! 自分の生き方について、立ち止まって振り返りたくなる名作です。

 

何度も読みたくなる 名作文学

みなさんが夢中になって読んだ本もあったでしょうか?どれも最高におすすめの作品ばかりです。

気になった本から読んでみてくださいね! あなたが、おもしろいな~とか、もう一度読んでみよう!と思える作品に出会えるきっかけになったら嬉しいです!

 

今回ご紹介した作品

江戸川乱歩『人間椅子
夏目漱石『夢十夜
横光利一『愛の挨拶・馬車・純粋小説論』より『頭ならびに腹
魯迅『阿Q正伝・狂人日記』より『故郷
森鷗外『舞姫

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