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戦後最大のベストセラー!『窓ぎわのトットちゃん』の魅力とは


 

『窓ぎわのトットちゃん 新組版』
黒柳徹子(著)、講談社

「きみは、本当は、いい子なんだよ!」小林宗作先生は、トットちゃんを見かけると、いつもそういった。「そうです、私は、いい子です!」

そのたびにトットちゃんは、ニッコリして、とびはねながら答えた。

トモエ学園の個性を伸ばすユニークな教育と、そこに学ぶ子供たちをいきいきと描いた感動の名作。(帯)

 

2017年10月より、12月末までテレビ朝日系で放送された『トットちゃん!』。

原作の『窓ぎわのトットちゃん』は、黒柳徹子さんの自伝的小説であり、「戦後最大のベストセラー」と言われています。

日本国内での売り上げ部数は800万部以上!戦後出版された本の中で最も売れた本が、本書なのです。

35ヶ国以上で愛読され、なんと中国では、売り上げ1000万部以上という(日本の800万部を超えています)驚異的な売り上げを誇っています。

そんな、世界中で愛される『窓ぎわのトットちゃん』とはいったいどのような作品なのでしょうか。その魅力に迫りたいと思います。

 

 

読みどころが数え切れない名作

時代は1940年代。

問題児と判断され、小学一年生で退学処分となってしまったトットちゃん(=作者の黒柳徹子さん)が私立小学校「トモエ学園」に向かうシーンから本書ははじまります。

 

私が初めて『窓ぎわのトットちゃん』を読んだのは小学生のころです。当時も大変感銘を受けた記憶があるのですが、今回改めて読み直してみて、その面白さとメッセージ性の強さに、ますますトットちゃんのファンになりました。

強烈なトットちゃんの個性、おちゃめでコミカルなエピソード、「トモエ学園」のユニークな校風、個性を尊重する教育観など、読みどころは数え切れないほどあります。60以上収録されているエピソードの中から、個人的に印象的だったエピソードを2つ紹介したいと思います。

 

 

印象的だったエピソード1「校長先生」

トットちゃんがはじめてトモエ学園の門をくぐった日のこと。校長先生はトットちゃんの顔を見て言いました。

「さあ、なんでも、先生に話してごらん。話したいこと、全部」と。

 

そして、トットちゃんは話し続けます。今乗ってきた電車が速かったこと。駅の改札口のおじさんに、お願いしたけど、切符をくれなかったこと。トットちゃんが着ている洋服のこと。

校長先生は、笑ったり、うなずきながら、トットちゃんの話を聞いていました。

 

そして、話す話題がなくなったトットちゃんを見て、校長先生は「じゃ、これで、君は、この学校の生徒だよ」と告げるのです。

トットちゃんが話し出して、たっぷり4時間が経っていました。

あとにも先にも、トットちゃんの話を、こんなにちゃんと聞いてくれた大人はいませんでした。

トットちゃんは、なんだか生まれて初めて、本当に好きな人に逢ったような気になります。生まれてから今日まで、こんな長い時間、自分の話を聞いてくれた人は、いなかったのです。そして、その長い時間のあいだ、一度だって、あくびをしたり、退屈そうにしないで、トットちゃんが話してるのと同じように、身を乗り出して、一生懸命聞いてくれたのです。

 

私には一人子どもがいますが、校長先生のように、ちゃんと子ども自身に向き合っているだろうか?と深く考えさせられました。

子ども時代は「子どもだから」と軽視されるのが嫌だったはずなのに、大人になって、あの頃の大人と同じことをしているのではないか?と反省しました。

大人になって読むからこそ、ハッとさせられる気づきも多いですよ。

 

 

印象的だったエピソード2「さよなら、さよなら」

トットちゃんがトモエ学園に入学したのは、第二次世界大戦前の1940年のことでした。

楽しいトモエ学園のエピソードにも、暗雲が立ち込めます。後半部分では、トットちゃんたちの生活の中に、戦争が見え隠れするようになります。

 

そしてある日。トモエ学園は焼け落ちてしまいます。B29の飛行機から、焼夷弾がいくつもいくつも、校舎の上に落ちてしまったのです。

夢だったトモエ学園が、恐ろしい音を立てて崩れていく。それをじっと見つめていた校長先生は、ある一言を発します。

 

「おい、今度は、どんな学校、作ろうか?」

 

校長先生の子どもに対する愛情や、教育に対する情熱は、炎より大きいものでした。決して、戦争によって消されることはなかったのです。

 

小学生の頃このエピソードを読んでから、私は、その言葉が、ずっと忘れられません。

そして大人になった今、思うのです。これほどまでの覚悟と、身命を賭して、夢に向き合うことができる人はどれほどにいるのかと。

戦争について深く考えさせられる作品であることも、本書の魅力ではないでしょうか。

 

 

絶対に読んでほしい「戦後最大のベストセラー」

戦後、日本で一番売れた作品である「窓ぎわのトットちゃん」。

未読の方がいらっしゃったらぜひとも読んでいただきたいですし、昔読んだことのある方も大人になった今だからこそぜひ、読んでいただきたいと思います。

 


今回ご紹介した書籍

窓ぎわのトットちゃん
黒柳徹子(著)、講談社


 

あの頃流行ったベストセラー本をもっと読みたい方はこちらの特集へ。

 

ライター

飯田 萌
フリーランスのライター。一児のママ。出産前まではリクルートで結婚情報誌を担当。現在はWeb媒体にて書籍、音楽、育児など幅広く執筆中。影響を受けた作家は白石一文。趣味はスイーツを愉しむこととドラマ鑑賞。