内館牧子『終わった人』あらすじ
王審美:2017/10/2
『終わった人』
内館牧子(著)、講談社
『終わった人』あらすじ
大手銀行に勤めていた主人公は突然子会社に出向になり、定年を迎える。仕事がなくなってしまった彼には、何もやることがない。
家族に「恋でもしたら?」などと言われるが、そんなわけにもいかず、転職を試みる。そしてある日、転機が訪れる。
「いつか自分にも起こり得るかも……」と考えさせられる
『終わった人』は、脚本家であり作家の内館牧子さんの小説です。NHKの連続テレビ小説の原作『ひらり』や『私の青空』などの作品で知られているほか、女性として初の横綱審議委員に就任しました。『ひらり』が第1回橋田寿賀子賞、『てやんでえッ!』が文化庁芸術作品賞するなどの経歴もお持ちです。
その他、武蔵野美術大学客員教授や元東京都教育委員でもあり、マルチに活躍しています。
本書は、シニア世代をはじめ、現役世代にとっても将来避けることができない普遍的テーマを描いた作品となっています。
主人公に自分を重ねて「明日は我が身だ、身にしみるな」、「こうならないように今から準備しよう」と考えるきっかけになるかもしれません。
また、主人公の妻や子供の視点から見るとまた違う発見があるでしょう。本書の面白いところは、読む人によっていろいろな楽しみ方ができることです。
内館牧子さんは「若い頃に秀才であろうとなかろうと、美人であろうとなかろうと、一流企業に勤務しようとしまいと、人間の着地点って大差ないのね……」と語っています。
定年後や終活について考える人にとって、本書は何かのヒントを与えてくれるかもしれません。
今回ご紹介した書籍
『終わった人』
内館牧子(著)、講談社