村上春樹氏の著書『1Q84』あらすじ・内容
『1Q84』
村上春樹(著)
新潮社
発売日:2009/05/30
あらすじ・本内容
10歳のときに出会って、離ればなれになった青豆と天吾。
互いの消息を知らずに年月は流れたが、1984年4月、2人はそれぞれ「1Q84年」という現実とは微妙に異なる不可思議な世界へ入り込むことに…!
「悪」に対抗するための「別の物語」
本書『1Q84』は12冊目となる村上春樹氏の長編作品で、その名からもわかるようにジョージ・オーウェルの近未来小説『1984年』を意識したものです。村上氏はかねてより同作を土台にした近過去の小説を書きたいという意向があったといいます。
また、世界を揺るがせた地下鉄サリン事件や9.11事件などにも影響を受け、特定の主義による「精神的な囲い込み」を脅威とし、その脅威に対抗するものを物語で表現したかったのだとか。
つまり、「悪」が作り上げた「物語」に対抗する「別の物語」を作り出さなければならなったということのようです。
さて、本書ではかつてのオウム真理教を連想させる新興宗教団体が登場します。団体の成立過程や時代性などのディテールが色濃く反映され、そのリアリティに身震いするほど。
主人公である青豆と天吾はパラレルワールドである「1Q84年」に入り込み、宗教団体を絡めてストーリーは展開されます。推理小説のように構成されていますが、本書は主人公2人の壮大な恋愛物語。
2人の行く末も気になりますが、本書で最も考えさせられるのは「生きるとは何か」ということ。いろいろな方面から刺激を受ける村上ワールドをお楽しみください。
今回ご紹介した書籍
『1Q84』
村上春樹(著)、新潮社
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