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2016年10月アニメ化! 辞書にかける情熱を描く「舟を編む」


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2012年に本屋大賞を受賞し、2013年には映画化された三浦しをんさんの小説「舟を編む」。このベストセラー小説が、2016年10月からアニメ化されます。

「辞書の編纂」という一見地味な仕事にスポットライトを当てた「舟を編む」。この作品をご紹介するとともに、「辞書づくり」をさらに深く知ることのできる本も合わせてご紹介します。

■ご紹介書籍
舟を編む』 / 三浦しをん(光文社)

 

トンチンカンだけれども辞書編纂の才能を持った男・馬締

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玄武書房につとめる荒木公平は、その人生を辞書に捧げてきました。定年間近になった彼は、辞書編集部を引き継ぐことのできる人材を探し、営業部にいた馬締光也という社員を引き抜きます。玄武書房で新たに作ることになった辞書「大渡海」の編集を彼に任せようというのです。

律儀だけれどもトンチンカンなところのある馬締。しかし、下宿先のアパートを本で埋め尽くし、大学院で言語学を専攻するほど「言葉」に興味を抱いていました。彼は、言葉に対する鋭い感覚を持ち、整然とした美を愛するという、辞書づくりにはぴったりの才能を持っていたのです。

はじめは辞書編集部になじめずに悩んでいた馬締ですが、下宿先の大家・タケおばあさんに励まされ、自分の中に、言葉を使って「伝えたい」「つながりたい」という感情があることを自覚します。

「みっちゃんは、職場のひとと仲良くなりたいんだね。仲良くなって、いい辞書を作りたいんだ」
タケおばあさんに言われ、馬締は驚いて顔を上げた。
伝えたい。つながりたい。
自分の内心に渦巻く感情は、まさしくそういうことだと思い当たったからだ。

(p.35)

その日の夜、馬締の下宿先に、タケおばあさんの孫、香具矢が引っ越してきます。板前の修業をしているという香具矢に惹かれる馬締。遊園地でデートをしその距離を縮めていきます。そして、香具矢に想いを伝えるため、ついに便箋15枚に及ぶラブレターをしたためます。

 

辞書作りを全力でサポートする同僚たち

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一方、辞書編集部にいるもう1人の社員・西岡は、馬締とは対照的に、お調子者でチャラいところのある男です。辞書には思い入れはなかったものの、辞書の編纂作業に打ち込み、尽くしてきました。しかし、馬締という辞書づくりの才能を持った人間が異動してきたことで、「自分はお払い箱になる」という予感を感じ始めます。

そして、ついに西岡に、広告宣伝部への異動が言い渡されます。西岡は、辞書編集部を去る前に、馬締が苦手とする対外交渉に励むようになります。そして、どの部署へ行っても、同僚として「大渡海」を全力で支えることを決意します。

大切なのは、いい辞書ができあがることだ。すべてをかけて辞書を作ろうとするひとたちを、会社の同僚として、渾身の力でサポートできるかどうかだ。(p.140)

この物語には、辞書編纂に人生をかける人々が大勢登場し、それぞれが情熱を持って仕事に邁進する姿が描かれます。常に用例採集カードを持ち歩き、語釈に頭を悩ませ、辞書を印刷する紙にもこだわりぬく。そんな彼らの仕事ぶりを読んでいるうちに、辞書というものの奥深さに気付かされます。

 

「辞書」に興味を持った方に

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さて、今回は、「舟を編む」で辞書に興味を持った方のために、作中にも登場した、2つの「辞書を知ることのできる本」を紹介します。


◆『言葉の海へ』 / 高田宏(洋泉社)

馬締たちが編纂する辞書「大渡海」は、「言葉の海を渡る舟」であると荒木は言います。この名前は、作中にも何度も登場する、日本で初めての近代的辞書「言海」を意識して付けられた名前であることは間違いありません。

「言海」は、明治時代、仙台藩の儒学者の息子として生まれた大槻文彦が編纂した国語辞典です。この「言海」が生まれるまでを描いたノンフィクション作品が、この「言葉の海へ」です。戊辰戦争を経て「日本」というものを見つめ、辞書という形でその思いを残していった大槻文彦。その情熱を鮮やかに描く一冊です。


◆『新解さんの謎』 / 赤瀬川原平(文藝春秋)

馬締が「恋愛」という言葉について調べようと、「新明解国語辞典」を開くシーンも印象的です。西岡は、「新明解国語辞典」の語釈が独特で面白いといいますが、実際にこの辞書は「新解さん」と呼ばれているちょっとした人気者なのです。

「新解さん」の面白さを紹介した本はいくつか出版されていますが、やはりその火付け役となったのはこの「新解さんの謎」でしょう。「新解さん」に出てくるユニークな語釈を集め、ツッコミを入れていくという本です。クスッと笑えるネタが満載で、「辞書を読む」ということの面白さを教えてくれます。

 

「舟を編む」で辞書の面白さに触れる

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誰もが一度は使ったことがありながら、あまり注目をされてこなかった「辞書」という存在。「舟を編む」は、その面白さに気づかせてくれる一冊です。ぜひ一度手にとってみてください。

■ご紹介書籍
舟を編む』 / 三浦しをん(光文社・単行本版)
舟を編む』 / 三浦しをん(光文社・文庫版)

 

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ライター

ラッテ
3度の飯より本が好き。興味のおもむくままに、いろいろな分野の本を読んでいます。特によく読むジャンルは、IT、美術、語学、旅行、インテリア、漫画など。本好きが高じて、書店員をしていたこともあります。