『地下街の雨』のあらすじ・内容|宮部みゆき珠玉の短編集
更新日:2017/7/3
『地下街の雨』
宮部みゆき(著)、集英社
『地下街の雨』あらすじ・本内容
同僚との挙式が破談になり、傷心のままビジネス街の喫茶店で働き始めた麻子。他人に干渉されない日々を淡々と送っていた麻子に、窓際の席に座る女が突然話しかけ……。
表題作「地下街の雨」のほか、「決して見えない」「勝ち逃げ」など、夢を信じて生きる人々を描く珠玉の短編集。
読者の心を動かす短編集
『地下街の雨』は、数多くの文学賞を受賞している有名な作家、宮部みゆきさんの短編集です。1998年に著されました。宮部みゆきさんは、短編の名手とも呼ばれています。
人には、心の動きが鈍く感じられるときがあります。動いてはいるけれど、なんとなくぼんやりとして心が重たい感じ。
日常は過ごせているけれど、外の出来事に敏感になれず、表情筋が硬くなっている感じ――。
本書は、心の動きが鈍くなった状況にいる読者の心に、さざ波を立ててくれる、秀逸な短編集です。
7つの短編には、ゾクゾクするような不思議な展開、自分の心の奥底にもあるのではないかと思わされる悪意の1粒、静かな情熱などが含まれ、読者の心を刺激する空気がひそやかに流れています。
そこに強引さは存在せず、ひんやりとした風や暖かい風となり、読者の元へ不意に訪れるのです。
本書の作品のいくつかには幻想的な世界観が見られ、ショートショートの大家・星新一さんの作品を好む読者層も楽しめる内容。著者の作品の幅の広さを感じさせる短編集とも言えるでしょう。
どこにでもいるように感じられる、都会の片隅で生きる主人公たち。
性別や年齢を超えて「ひょっとしたら私かもしれない」と感じながらストーリーの中に引き込まれたい人におすすめの短編集です。
今回ご紹介した書籍
『地下街の雨』
宮部みゆき(著)、集英社
ミステリーをはじめ、時代小説やSF作品など、宮部みゆきの作品を紹介した特集はこちら。
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