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何度も繰り返すタイムリープ!ループものおすすめ小説


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小説のジャンルの中にはタイムリープなどを扱う「時間もの」があります。そして「時間もの」の中で根強い人気があるのが「ループもの」です。「ループもの」とはループする時間の中で起きる出来事を描いた作品です。

「ループもの」の話は「ループを抜け出すため」だとか「ループの中で事件を食いとめる」だとか目的が明確な作品が多く、筋が追いやすいのが特徴です。

そこでここでは、それぞれ読み味の違う「ループもの」を四作紹介してきます。

 

『秋の牢獄』 / 恒川光太郎

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~あらすじ~

『これは十一月七日の水曜日の物語だ。(p7)』

どこにでもいる女子大生の「私」はある秋の一日をひたすら繰り返します。いつまでも終わらない一日。それが次第に彼女の心を蝕んでいきます。彼女はループする時間から抜け出すため、行動や環境を変えてみますが、まるで上手くいきません。

そんなあるとき、「私」に転機が訪れます。「私」の他に十一月七日を繰り返している人間――リプレイヤーと出会ったのです。そこで「私」は彼らと終わらない十一月七日を過ごしていきます。


―恒川光太郎が描く幻想的な世界観―

作者の恒川光太郎さんは、自分の世界観を持った作家です。彼の作品は、デビュー作の「夜市」から一貫して静謐かつ美麗な雰囲気を持って語られています。

日本ホラー小説大賞を受賞してデビューした作家ですが、彼の書く話はホラーというよりファンタジーの趣が強いのが特徴。それは本作も同様です。

本作秋の牢獄は、文章から秋の香りが匂い立つような、美しい話となっています。ループものならではの登場人物の心情もその端正な文体でつづられ、読後は少しの切なさと爽やかさが胸に残るようなそんな作品となっています。

本作は表題作でありループものである秋の牢獄の他に二編が収録された中編集。幻想的な恒川ワールドを堪能できる一作です。

■『秋の牢獄』 / 恒川光太郎(著)、角川書店

 

『空ろの箱と零のマリア』 / 御影瑛路

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~あらすじ~

一万回以上同じ時を繰り返している音無彩矢。彼女はそのループの中でどうしても起きてしまう「とある事故」を食いとめるため、一人で奔走しています。

そんな折、主人公の「僕」は自分の日常に違和感を覚え、時間がループしていることに気づきます。そして、音無彩矢と事故を食いとめるため、ループから抜け出すため、協力していきます。

なぜ、時は繰り返しているのか。なぜ、事故は起きてしまうのか。なぜ、「僕」だけがループに気づくことができたのか。

やがてあらゆる謎が収束し、物語は残酷でありながら救いのある結末を迎えます――。


―面白い構成が魅力―

何万回も繰り返す三月二日。本作はそのループする時間を非常に斬新な構成を持って描いています。それというのも本作はループものとしては珍しい「時系列シャッフル」が頻繁に行われているのです。例えば一万回目の三月二日のあとに千回目の三月二日が挿入されるような。

その構成によって、読み進めていくにつれパズルがはまっていくような快感を得ることができます。

次第に明かされていく謎。繋がっていく伏線。本作はループものの醍醐味がこれでもかというほどつまった作品となっています。

■『空ろの箱と零のマリア(1)』 / 御影瑛路(著)、電撃文庫
■『空ろの箱と零のマリア』セット

 

『七回死んだ男』 / 西澤保彦

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~あらすじ~

主人公の高校生「僕」は、時折「反復の落とし穴」にはまりこむことがあります。「反復の落とし穴」というのは、一日を九回繰り返してしまう現象のことです。「反復の落とし穴」にはまりこむのは毎日ではなくランダムで、いつはまりこむのか「僕」自身もわかりません。

そんなある日「僕」は「反復の落とし穴」にはまりこみます。そしてその日、祖父が亡くなってしまいます。

そこで「僕」は繰り返す時間の中で祖父の死の原因を探りはじめます。


―ループもの×本格ミステリー―

本作は何故祖父が死んでしまうのかを「僕」が推理し、食いとめようとする本格ミステリー作品です。

ファンタジー的設定やSF的設定を使って本格ミステリーを書くのは非常に難しいものがあります。それというのも、そういった設定は時として話を「なんでもあり」にしてしまうからです。ミステリーというのは、いくつかある可能性を論理的に一つずつ排除していき、やがて一つの真相にたどりつくジャンル。「なんでもあり」では話が成立しないのです。

ただ本作はその困難を見事にやってのけます。ルールを明確にすることで、ループというSF的設定を使いつつ、本格ミステリーとして話を成立させています。

ループものが読みたい方だけでなく、ミステリー好きにもおすすめできる一作です。

■『七回死んだ男』 / 西澤保彦(著)、講談社文庫

 

『Re:ゼロから始める異世界生活』 / 長月達平

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~あらすじ~

引きこもりの高校生スバルは、コンビニから帰っている途中、異世界に召喚されます。早々にトラブルに巻き込まれたスバルでしたが、その際、銀髪の少女エミリアに助けられ、事なきを得ます。そこでスバルは恩返しのためにエミリアの探し物を手伝うことに。

やがて、探し物の手がかりがあるとされる盗品蔵に足を踏み入れた時、スバルは何者かに襲われます。深手を負ったスバルが次に目を覚ますとそこは昼間いた街の中。腑に落ちないものを感じたスバルは、街中でエミリアを発見。彼女に声をかけるが、彼女はスバルのことを知らないと言い張ります。

やがてスバルは自分が死ぬことによって時間が戻ることに気が付き――。


―異世界ファンタジー×ループもの―

本作が面白いのはなんといっても、ループものに異世界ファンタジーを組み合わせた斬新な設定です。

魔法や亜人が当たり前のように存在する世界。そこで、ループする時間を奔走する主人公。先の展開が読めず、次に何が起こるのかわからないページをめくるのが楽しい作品です。

2016年春からアニメも放送されている人気シリーズ。まずは一巻だけでも手にとってみてはいかがでしょうか。

■『Re:ゼロから始める異世界生活(1)』 / 長月達平(著)、MF文庫J
■『Re:ゼロから始める異世界生活』セット

 

まとめ

時間が欲しいわたしなんかですと、「時間がループするなんて羨ましい!」なんて思ってしまいますが、上記の作品の登場人物は大なり小なりループする時間に対して悩みを抱えています。

でも、よくよく考えると彼らの悩みこそがリアルなんだろうなあとも思いました。

どの作品も楽しいエンターテインメント作品です。一読してみてはいかがでしょうか。

ライター

ツナシ
青春小説とミステリー小説が好きな20代。ライトノベルから純文学まで読みますが、浅く広くといった感じです。小説は読むのも好きですが書くのも好きです。 先日某小説新人賞を賜り、現在出版に向けて作業中。