ブックオフオンラインコラム
ブックオフオンライントップへ
ブックオフオンラインコラム > 本に出会う > 小説(テーマ別) > 変人続出!?大学生が主人公のオススメ青春小説三選

変人続出!?大学生が主人公のオススメ青春小説三選


20160520-universitystudent-youthnove-top

大学生活というと「自由」、「楽しい」、「バラ色」などなどポジティブな言葉を連想する方も多いのではないでしょうか。しかし、一口に大学生活といってもそれは人それぞれ。
仲間と一緒に共通の目的をもって何かをする人もいれば、いろいろな事件に巻き込まれる人もきっといて、極力外に出ないようなそんな人も中にはいるでしょう。

そこでここでは、読み味がそれぞれ違う大学生の青春を描いた小説を三作紹介していきます。どの世代の人が読んでも楽しめるようなそんな作品を選びました。

 

抱腹絶倒!笑える青春ホルモー小説!

20160520-universitystudent-youthnove1

鴨川ホルモー』 / 万城目学(著)、角川文庫

~あらすじ~

『「ホルモー」とは、とどのつまりが―― 一種の競技の名前なのだ。(p5)』

京都大学に入学した「俺」こと安倍は、「京大青竜会」というサークルの新観コンパに誘われます。その後、サークルに入会したはいいが、行われるのは毎週の例会やレクリエーションなどなど。ホルモーがなんなのか。そもそもこのサークルは一体何をやるサークルなのか。そのあたりは一切説明されません。

それから一年が経ち、ようやくホルモーの全貌が明かされます。ホルモーは十人で行う団体競技。ただ、普通のスポーツとは違います。ホルモーは、普通の人には見ることのできないオニを使役して戦う珍奇な競技なのです。「京大青竜会」は京都にある他三大学とホルモーのリーグ戦を行うサークル。そこで安倍ら「京大青竜会」は先輩達からサークルを引き継ぎ、リーグ制覇を目指していくが――。


本作は万城目学さんのデビュー作で映画化もされた人気作品です。あらすじだけを追うと見方によっては、汗と涙の熱血スポーツ小説!に見えるかもしれません(いや、見えないかな?)。ただ、本作には青春、恋愛、コメディの要素はあれど、熱血の要素はほとんどありません。はじめから終りまで、終始コミカルに話が展開していきます。

ホルモーという競技にはオニが出てきますが、おどろおどろしさは一切ありません。ホルモーはユニークな競技として描かれています。オニも、赤くて、でかくて、怖い奴なんてことはなく、20センチほどの可愛らしいキャラクターとして登場します。

コメディタッチの本作ですが、衝突、分裂、対決、恋愛、友情などの青春人間ドラマも魅力的に描かれています。
等身大の大学生にホルモーというファンタジー要素を付け加えた青春エンターテイメントの本作。肩の力を抜いて読める傑作となっています。

 

伊坂幸太郎が描く、爽快感溢れる青春小説!

20160520-universitystudent-youthnove2

砂漠』 / 伊坂幸太郎(著)、新潮文庫

~あらすじ~
大学に入学した主人公の「ぼく」こと北村は、名前に「北」が入っているということが理由で麻雀に誘われます。そこにいたのは、四人の男女。北村を含めた五人はそれをきっかけに親睦を深めていきます。そんな彼らの前に登場する数々の事件。

「数百万のかかった賭けボーリング」、「頻発する空き巣事件」、「通り魔プレジデントマン」、「友人の身に起きる悲劇」などなど。それらを通して描かれるのは大学生活にある光と闇。春夏秋冬に起こった四編のストーリーが語られたとき、物語は爽快な結末を迎えます。


本作は直木賞候補にもなった青春小説。伊坂幸太郎さんの持ち味ともいえる洒脱な掛け合いは本作でも健在です。そんな会話劇を織りなす主人公たち大学生五人のキャラクターは、「現実にいるかもしれない」と思わせる地に足がついたところが特徴。それでいて皆個性的かつ魅力的に描かれています。

中でも特に魅力的なキャラクターは、西嶋という少し冴えない容姿の青年です。通り魔の肩を持ち、世界平和のために麻雀で「平和」という役をただひたすら作り、挙句の果てにはその気になれば砂漠に雪を降らすこともできると豪語する西嶋。一見、絶対にいないだろう変人にも見えますが、彼の生い立ちと彼が持つ独自の哲学が、血の通った人間味を演出していて、感情移入のできる変人として描かれています。

こうした魅力的なキャラクターが繰り広げる大学生活を描いた青春小説。しかし、それだけでは終わらせないのが伊坂幸太郎さん!本作は終盤にあっと驚く仕掛けがほどこされています。

 

森見節全開!ファンタジーノベル大賞受賞作!

20160520-universitystudent-youthnove3

太陽の塔』 / 森見登美彦(著)、新潮文庫

~あらすじ~
京都大学に所属する5回生の「私」は、現在自主休学中。その有り余る時間の中で「私」は、元恋人の水尾さんを研究観察(ストーキング)し、240枚分ものレポートを書き上げます。なぜ「私」は彼女にここまで惚れ込んでしまったのか。なぜ彼女は「私」を袖にしたのか。そのあたりをただひたすら「私」が考察していきます。

そしてそんな暗い日常を送っていたある日。「私」は水尾さんをストーキングしている遠藤という男と遭遇。「私」にとって、当然遠藤は敵。また遠藤にとって「私」は敵です。そこでお互い妨害の泥仕合を繰り広げているとやがて世間は、クリスマスを迎えます。

恋人たちのイベント、クリスマス。日陰者の「私」と悪友数名は、クリスマスを台無しにするため、四条河原町でとある騒動を引き起こします。その名も四条河原町ええじゃないか騒動――。


本作はファンタジーノベル大賞受賞作で、森見登美彦さんのデビュー作。森見氏といえば、「夜は短し歩けよ乙女」や「四畳半神話体系」など人気作の著者で、大学生の日常を面白おかしく描くことに定評のある作家です。本作にもその才能がいかんなく発揮されています。

ストーカー行為を行う主人公と冴えない友人たち。普通に書けば、じめじめと陰気な雰囲気が漂いそうなところ、本作はそれをコミカルに描き切っています。
冴えない大学生の飾らない日常。ほろ苦くも笑える青春小説となっています。

 

まとめ

ここで紹介した三つの小説は、高校生以下が読めば大学生活に希望を抱き、大学生が読めば「あるある」と共感し、社会人が読めば目を細めて懐かしむような、どの世代も楽しむことができるだろうそんな作品となっています。

大学時代のモラトリアム時期特有の感情。そういったものに触れたい方は必見です。

 

ライター

ツナシ
青春小説とミステリー小説が好きな20代。ライトノベルから純文学まで読みますが、浅く広くといった感じです。小説は読むのも好きですが書くのも好きです。 先日某小説新人賞を賜り、現在出版に向けて作業中。